会社設立時に必ずすること、それは資本金の振り込みです。

会社を設立してからしばらくのうちは、資本金の額と会社の信用度が直結します。

言ってしまえば、会社設立時の資本金は多ければ多いほど有利です。

しかしもしあなたが資本金の調達に困っていたなら・・・

せっかく会社を設立しても信用度の低い会社になってしまいます。

できるだけ資本金を増やしたい、でもお金がない・・・

そんなときに頭をかすめるのは、見せ金の資本金。

バレないようにすれば、「見せ金で資本金を多く見積もればいい」と思う人もいるかもしれません。

しかし結論から申し上げると、見せ金を使ってバレない方法はありません

あなたが用意した資本金がコツコツ貯めたお金なのか、ハッタリの見せ金なのかはすぐに見抜かれることでしょう。

そこで本記事では、

見せ金がバレるポイントと見せ金で会社設立をすることによるデメリットを紹介。

見せ金の危険性について一緒に確認していきましょう。

そもそも資本金を見せ金でまかなうとは?

見せ金について

 

見せ金とはカンタンに言ってしまうと、相手を信用させるために、実際よりも多くのお金があると見せかけることです。

設立したての会社にどれくらいのパワーがあるのかを測る指標は、資本金の額が大部分を占めています。

<例:実際に手元にあるお金が800万円の場合>

あなたは、資本金の額が1000万円の会社を設立したいと思い、他の金融機関やカードローンなどで200万円を借りることにしました。

この借りた200万円は、見せ金ということになります。

しかし、預けた800万円から借りた200万円を引き出して返済するので、会社設立後すぐに使えるお金は600万円です。

見せ金を使うより、コツコツと貯めた方がいいね。

【あとで読みたい!】資本金の額の決め方について

預合(あずけあい)はさらに悪質!

預合について

またもっと手を込んだ見せ金のやり方は預合(あずけあい)です。

預合とは発起人と金融機関が裏を合わせて、借りたお金を返済するまでは出資金を引き出さないという合意のもと、発起人が個人で借りたお金を資本金として払い込むこと。

帳簿上で操作するので実際には、現金の移動がないことが多いです。

しかし見せ金を使用したり預合を利用して会社を設立するとデメリットがあるうえ、違法行為なので場合によっては罪に科せられるかもしれません。

それでは見せ金で会社を設立するとどのような罰則があるのか、解説していきます。

見せ金は違法! 預合との刑罰の違いは?

見せ金と預合の違法性

見せ金や預合で会社設立をするのは違法行為です。

具体的にはどんな刑罰がくだるのかを見ていきましょう。

まず見せ金で会社を設立すると、公正証書原本不実記載罪の罪に問われる可能性があります。

公正証書原本不実記載罪とは?
  1. 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  2. 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
  3. 前2項の罪の未遂は、罰する。

刑法第157条 - Wikibooksより抜粋)

公正証書原本不実記載罪は、簡単に言うと、大事な書類である公正証書にウソを書かせると5年以下の懲役または50万円以下の罰金を払うことになるということです。

さらに預合を行った場合の刑罰は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(会社法965条)となってしまいます。

会社法第965条

(預合いの罪)

第960条第1項第1号から第7号までに掲げる者が、株式の発行に係る払込みを仮装するため預合いを行ったときは、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。預合いに応じた者も、同様とする。

会社法965条 - 会社法の条文と解説Webより抜粋)

そもそもあなたと通謀して裏を合わせてくれる金融機関はないと思いますが、目先の都合ばかりを追いかけて預合をやってしまうと罪に問われてしますので注意しましょう。

見せ金だとバレるポイント

預合はできなくても、別々の金融機関を使えば見せ金でもバレないと思った方もいるかもしれません。

しかし実際には見せ金を使うとバレるポイントがたくさんあるので注意が必要です。

バレるポイント①:急に通帳の残高が増える

急に通帳の残高が増える

普段は口座にお金があまり入っていないのに、急に100万円単位で入金があったら怪しいので見せ金だと疑われても仕方ありません。

毎月の給料と思われる金額以外に数百万円単位で通帳に入金があったら、必ずそのお金を得た経緯を聞かれます。

もし本当に見せ金ではなく親からの資金援助などであれば、証明書類を持参して確定申告も済ませていることを伝えればOKです。

バレるポイント②:振込名義人が個人

振込名義人が個人

通帳に記帳されている振込名義人が法人名ではなく、個人の場合は見せ金だと見なされる可能性が高いです。

通帳にある個人名は誰なのかを質問されたとき、記帳されている個人の人との業務関係を確認できない場合は、借金だとみなされるので注意しましょう。

バレるポイント③:宝くじが当たった

宝くじが当たった

急に増えた通帳残高の言い訳として宝くじが当たったと言っても、金融機関に信用してもらえない可能性のほうが高いです。

しかし確率はかなり低いですが、本当に宝くじが当たった場合は資本金としてまかなうこともできます。

見せ金のカモフラージュとして宝くじを使ってもバレるということは肝に銘じておきましょう。

バレるポイント④:タンス貯金の場合

タンス貯金の場合

見せ金の調達方法として、タンス貯金と言うと怪しまれる可能性大です。

仮に本当にタンス貯金でコツコツと貯めたのなら資本金にすることができますが、たとえば500円玉貯金で資本金の額に達するほど貯めた場合、それを実際に金融機関の担当者の元に持っていくことは難しいですよね。

もしタンス貯金を資本金にして怪しまれたくない場合は、月1回でも定期的に口座に入れる作業をしておけば見せ金だと疑われる可能性は低くなります。

見せ金のカモフラージュとしてタンス貯金と言っても、通用しないということは覚えておきましょう。

見せ金で会社設立したときの問題点

それではもし見せ金を使って会社設立をした場合、どのようなデメリットがあるのか解説していきます。

  • 税務処理上の問題
  • 会社法を破る問題
  • 許認可や補助金申請の問題

問題点①:税務処理上の問題

税務処理上の問題

見せ金を知人もしくは金融機関から借りて会社設立をした場合、その時点で見せ金=会社のお金ということになります。

つまり、“見せ金を会社のお金で返済する”ということになってしまいます。

そうなると、会社設立時に会社に残っているお金は0円どころか、借金しているためマイナスからのスタートです。

さらに会社のお金を借金返済に充てる=社長への賞与として見なされることもあるので、社長個人の所得税課税の対象になってしまうかもしれません。

問題点②:会社法を破る問題

見せ金で会社設立をしてしまうと、上記でも説明したように最悪の場合は公正証書原本不実記載等罪に問われる可能性があります。

会社法の条文は以下。

会社法第52条の2

(出資の履行を仮装した場合の責任等)
発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。

一 第34条第1項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払

二 第34条第1項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)

2 前項各号に掲げる場合には、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。

3 発起人が第1項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

4 発起人は、第1項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払若しくは給付又は第2項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した設立時発行株式について、設立時株主(第65条第1項に規定する設立時株主をいう。次項において同じ。)及び株主の権利を行使することができない。

5 前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

会社法52条の2 - 会社法の条文と解説Webより抜粋)

上記の条文をカンタンにまとめると、「見せ金で会社設立をしたら、その資本金はきっちり払いましょう」ということです。

問題点③:許認可や補助金申請の問題

見せ金で会社設立をしてしまうと、行おうとしている業種に許認可が必要な場合は、まず申請が通りません。

さらに資金繰りに困って補助金助成金の申請をしても、却下されることがほとんどです。

そのためたとえ設立だけは見せ金でできても、後々に不利益を被ることになります。

見せ金というラクな選択肢はありません!

ここまで見せ金で会社設立をすることのリスク問題点を紹介してきました。

設立申請時に見せ金がバレるポイントとは以下の4つ。

  1. 急に増える残高
  2. 個人名義での振込
  3. 宝くじの当選
  4. タンス貯金

上記のポイントをすり抜けて会社設立ができても、後々以下のような問題が発生します。

  1. 税務処理上の問題
  2. 会社法を破る問題
  3. 許認可や補助金申請の問題

これらを踏まえていただければ、もう見せ金で会社設立をしようとは思わないですよね。

会社設立する際は、しっかりと自己資金を貯蓄して万全な状態でスタートが切れるようにしておきましょう。

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