個人だけでなく、法人にも住民税の納付義務があることをご存知ですか?

法人住民税は、法人税等と呼ばれる税金の1つです。

ほかに法人税法人事業税がありますが、順番に学んで法人税等全般の理解を目指しましょう。

本記事で解説するのは、法人住民税における下記の内容です。

  • 法人住民税とは
  • 2種類の課税方法
  • 申告・納付方法

主に東京都にある法人を具体例に挙げましたが、各地方公共団体異なる点も多くあります。

その点に注意しながら、一緒に確認していきましょう!

法人住民税とは

法人住民税とは、事務所が所在する都道府県・市町村に対して、法人が納税する地方税です。

法人住民税は都道府県が課す都道府県民税と、市町村が課す市町村民税を総称しています。

さらに都道府県民税と市町村民税は、それぞれ下記2種類に分けられているので覚えておきましょう。

  • 各自治体によって税率が異なる法人税割
  • 資本金や従業員数などに応じて定められている均等割

法人住民税として納税する額は、法人税割と均等割の合計金額です。

課税の目的

地方自治体は、防災やゴミ処理など様々な行政サービスに費用をかけています。

この費用を、行政サービスから利益を受ける個人・法人に負担させ、資金確保することが住民税の目的です。

住民税のうち、法人が負担する税金が法人住民税となります。

行政サービスの充実は、法人にとっても大切だよね!

法人住民税の注意点

法人住民税について注意すべき点は、下記の2つです。

  1. 赤字の際にも税金が発生する
  2. 損金算入ができない

①:赤字の際にも税金が発生する

所得を課税標準とする税金は、赤字*の場合なら基本的に税金が発生しません

*…所得が0円以下の会社と定義した場合。

しかし、所得以外の課税標準が設定される場合には、赤字会社でも税金が発生することになります。

法人税割均等割の合計額である法人住民税の場合、所得が0円以下のときの考え方は下記の通りです。

赤字会社の場合
  • 法人税割…課税標準は法人税

→法人税は基本的に、所得が0円以下の場合は発生しないため、法人税割発生しない

  • 均等割…課税標準は資本金従業員の数

均等割発生する。

したがって、この場合でも均等割の分は税金が発生します。

つまり法人住民税は、赤字で法人税額が0円であったとしても納税義務生じるので注意して下さい。

②:損金算入ができない

法人住民税は、損金算入することができません

そのため利益から引くなどといった、節税目的には利用できない税金だと覚えておきましょう。

2種類の課税方法

法人住民税には下記2種類課税方法があります。

  1. 法人税割
  2. 均等割

それぞれの概要税率について確認していきましょう!

法人税割と均等割の合計が法人住民税額になるよ♪

①:法人税割

法人税割とは、法人税額をもとにして算定される部分です。

法人税額に、法人の規模などに応じて定められている税率を掛けることで法人税割を算出します。

そのため、税務申告の際にはあらかじめ法人税の申告書を作ってから、その法人税額を住民税の申告書に転記しましょう。

税額を求める式は、下記の通りです。

【法人税割】
法人税額(税額控除前の税額)* × 法人税割の税率=法人税割額

*…連結法人(課税上一体の組織としてみなされた複数の法人)の場合は、法人税額の代わりに個別帰属法人税額(個々の法人に最終的に帰属する額)を用いる。

複数の都道府県に事務所がある法人の場合

2つ以上の都道府県に事務所・事業所がある法人の場合は、課税標準の総額を一定の基準で分割し、地方団体ごとの分割課税標準額税額を算定します。

これを分割基準といいます。

分割課税標準額は法人税額*を用い、これを従業員数により分割して各都道府県または各市町村に納付しましょう。

*…連結法人の場合は個別帰属法人税額を用いる。

    法人税割の税率

    法人税割税率には、国から標準税率が定められています。

    各地方公共団体は標準税率を目安にしながら、原則として自由に税率を定めることが可能です。

    しかし、標準税率とは別に制限税率というものも定められており、この税率を超えた税率は定められません。

    そのため具体的な法人税割の税率は、事務所・事業所がある地方公共団体ごとに確認しましょう。

    法人の規模により、税率は下記のように分類されます。

    • 資本金1億円超の法人や、法人税額が1000万円超の法人…超過税率
    • 上記以外の法人…標準税率

    東京都の場合、令和2年現在の税率は下表の通りです。

    区分 法人税割の税率(%)
    令和元年10月1日以降に
    開始する事業年度
    平成26年10月1日から令和元年9月30日までに開始する事業年度 平成26年9月30日までに開始する事業年度
    標準税率 超過税率 標準税率 超過税率 標準税率 超過税率
    23区内に事務所などがある場合 7.0* 10.4* 12.9* 16.3* 17.3* 20.7*
    市町村に事務所などがある場合 1.0 2.0 3.2 4.2 5.0 6.0

    *…すべて道府県民税相当分と市町村民税相当分を合わせた税率。

    (参照:東京都主税局HP「都民税法人税割の税率表」

    ②:均等割

    均等割は、従業員数資本金の金額をもとに算出し、課税する住民税です。

    地方団体ごとに金額が定められています。

    税額

    均等割も法人税割と同様に、標準税率制限税率があります。

    しかし、均等割で制限税率が設けられているのは市町村税のみです。

    • 都道府県税…制限税率なし
    • 市町村税…制限税率あり

    都道府県税の均等割には制限税率が無いので、各都道府県は均等割の金額を自由に設定できます。

    東京23区における令和2年時点での均等割額は、下表の通りです。

    【23区内のみに事務所などを持つ法人】

    法人の区分など 主たる事業所などが所在する特別区

    (都道府県分+特別区分)

    特別区内の従業者数 均等割額
    公共法人・公益法人など 7万円
    上記以外の法人 資本金などの額 1千万円以下 50人以下 7万円
    50人超 14万円
    1千万円超〜1億円以下 50人以下 18万円
    50人超 20万円
    1億円超〜10億円以下 50人以下 29万円
    50人超 53万円
    10億円超〜50億円以下 50人以下 95万円
    50人超 229万円
    50億円超〜 50人以下 121万円
    50人超 380万円

    (参照:東京都主税局HP「均等割額の計算に関する明細書」

    均等割が免除されるケース

    法人が存続する限り課税される均等割ですが、下記いずれかに該当すると、納付が免除されることもあります。

    • 非営利法人として活動している場合
    • 収益事業を営んでいない場合
    • 法人としての活動を休業している場合

    このような場合には地方公共団体問い合わせ、均等割を免除してもらえるか確認しましょう。

    各地方公共団体ごとに設けられている条件を満たせば、免除される可能性は高いです。

    計算例

    下記のような法人の法人住民税を、実際に計算してみましょう。

    【法人の条件】

    1. 東京23区内に主たる事業所を1つ所有
    2. 事業開始年月日:令和元年12月1日
    3. 法人税額:800万円
    4. 法人の区分:営利法人
    5. 資本金:1000万円
    6. 従業者数:80人

    法人税割均等割をそれぞれ計算し、最後に合計することで法人住民税額を求めます。

    法人税割

    条件①〜③より、法人税割の税率は標準課税7.0となる。

    800万円×7.0%=56万円

    均等割

    条件④〜⑥を【23区内のみに事務所などを持つ法人】の表に当てはめると、下記のようになる。

    14万円

    合計 56万円+14万円=70万円

    この法人にかかる法人住民税は、70万円となります。

    申告・納付方法

    法人住民税を申告・納付する手続きについて、次の内容を解説していきます。

    • 申告納付先
    • 申告書の作成・提出
    • 申告納付期限
    • 納付方法

    地方公共団体ごとに手続き方法が変わるから注意してね!

    申告納付先

    法人税は都道府県民税市町村民税ごとに申告納付します。

    申告納付先は下記の通りです。

    • 都道府県民税 … 県税事務所など
    • 市町村民税 … 市役所など

    ただし東京23区内の場合は、上記2つを合わせて都民税とし、所管の都税事務所に1回で申告・納付することが可能です。

    東京都内の市町村にある法人は、都税事務所(都税支所)・支庁に都民税を、市役所・町村役場に市町村民税別々に申告して納めます。

    申告書の作成・提出

    法人住民税は申告納税制度となっています。

    都道府県民税・市町村民税ごとに、それぞれ下記の書類を作成・提出しましょう。

    • 都道府県民税…第6号様式
    • 市町村民税…第20号様式

    東京23区内の場合は都民税第12号の2様式*で申告するため、上記の申告書類は不要です。

     

    それぞれの様式は地方団体ごとに異なる場合があるので、必ず法人の所在地ごとに確認して下さい。

    *…クリックするとダウンロードが始まります。

    申告書類の様式例

    東京23区にのみ事業所がある法人以外は、第6号・第20号様式をともに作成する必要があります。

    ここでは大阪市に法人がある場合を例に、実際の書類様式を見ていきましょう。

    • 第6号様式(令和元年9月30日以前に開始する事業年度用

    第6号様式

    (画像出典:大阪府HP「地方税法施行規則様式」

    ① 法人の基本情報を記載する。
    ② 法人住民税のうち都道府県民税についての申告情報を記載する。

    • 第20号様式(平成30年4月1日以降に開始する事業年度用)

    第20号様式

    (画像出典:大阪府HP「大阪市民税の申告書」」

    ① 法人の基本情報を記載する。
    ② 法人税の額や均等割額の情報等をもとに申告情報を記載する。

    中間申告が必要な法人

    法人住民税には中間申告制度があります。

    東京都の場合は、事業年度6ヶ月を超える法人の場合、中間申告が必要です。

    該当する法人は、事業年度開始の日以降6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に、中間申告を行わなければなりません。

    中間申告書を提出して、住民税を納付しましょう。

    申告納付期限

    法人住民税の申告納付期限は原則として、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。

    例えば会計年度が4月1日から翌年3月31日までの場合は、翌年5月31日が期限となります。

    ただし、何らかの理由により事業年度内に決算が確定しない場合は、申請書を提出すれば申告期限を1ヶ月延長することも可能です。

    会計監査を受けるときなどが当てはまります♪

    納付方法

    納付方法は、地方公共団体ごとに異なります

    東京都の場合は、下記6つの方法で納付することが可能です。

    1. 金融機関・都税事務所での窓口納付
    2. コンビニエンスストアでの窓口納付
    3. スマートフォン決済アプリ
    4. クレジットカード
    5. ペイジー
    6. eLTAX電子納税
    納付方法 窓口 インターネット 自動引落し
    金融機関・
    都税事務所など
    コンビニエンスストア スマートフォン決済アプリ クレジットカード ペイジー eLTAX電子納税
    領収証書の有無
    納税証明書が発行可能になるまでの期間 1週間程度 1週間程度 1週間程度 10日程度 1週間程度 1週間程度
    備考 ペイジー対応のATM*でも納付可能
    (*…領収証書は発行されない)
    30万円までの納付書のみ ・100万円未満の納付書のみ利用可能

    ・別途、決済手数料が必要

    ・ペイジー対応の金融機関のみ

    事前に金融機関への利用申込が必要

    注意点 領収証書(コンビニの場合はレシートも)を必ず受け取り、金額や領収印の日付などを確認する 納付先、事業年度および申告種類を必ず確認のうえ納付する

    (参照:東京都主税局HP「都税の支払い方法について」

    領収書の有無注意点を確認して、手続きしやすい方法を選びましょう。

    まとめ

    法人住民税について、下記の内容を解説しました。

    • 法人住民税とは
    • 2種類の課税方法
    • 申告・納付方法

    都道府県民税市町村民税があり、さらに法人税割均等割によって分類されているという複雑な税金でしたね。

    しかし1つずつ確認していけば、きっと理解できるはず。

    申告や納付方法など、法人住民税について悩んだら弊所までご相談ください!

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