株の取引で得た配当金などの収益は、確定申告が必要です。

その際に検討したいのが、配当控除の活用。

配当控除は税額控除の一種で、利用すれば節税に繋がります。

そこで今回は税額控除の中から「配当控除」にフォーカスした情報をお届け。

  • 配当控除のキホン
  • 配当控除の対象となる所得と対象外の所得
  • 配当控除の計算方法

配当控除の中身を理解して、損をしないようにしましょう!

【まずはキホンから!】配当控除とは?

配当控除は株式の配当金などを、一定額以上受け取ったときに利用できる税額控除の1つ。

国内の株式の場合は法人税がすでに差し引かれた状態で、株主は配当金として受け取ります。

その配当金に所得税がかかって二重課税になるのを防ぐことを目的に作られました、

ちなみに確定申告時に申告分離課税を選択している場合、配当控除の利用はできません。

【関連記事】申告分離課税の詳細はコチラ

この配当所得は控除の対象になる?

すべての配当所得が控除の対象になるわけでありません。

  • 「対象となる配当所得」
  • 「対象外の配当所得」

あなたの配当所得は、控除の対象となるのか確認してみましょう。

◎配当控除の対象となる配当所得

配当控除の対象となるのは、主に次のような所得です。

  • 剰余金の配当・分配
  • 利益の配当
  • 金銭の分配
  • 証券投資信託の収益の分配

いずれも…

  1. 日本国内に本店のある法人
  2. 確定申告時に総合課税を選択

上記2つを満たしていることが必須です。

×対象外の配当所得

次のような配当所得は、控除の対象外となります。

(参照:No.1250 配当所得があるとき(配当控除)|国税庁

  1. 基金利息
  2. 私募公社債等運用投資信託等の収益の分配に係る配当等
  3. 国外私募公社債等運用投資信託等の配当等
  4. 外国株価指数連動型特定株式投資信託の収益の分配に係る配当等
  5. 特定外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当等
  6. 適格機関投資家私募による投資信託から支払を受けるべき配当等
  7. 特定目的信託(特定目的会社)から支払を受けるべき配当等
  8. 投資法人から支払を受けるべき配当等
  9. 確定申告不要制度を選択したもの
  10. 申告分離課税制度を選択したもの

対象外のものが、こんなにあるんだ!

①:基金利息

基金利息とは、保険相互会社(=株主のいない保険会社)から分配された収益のことです。

保険相互会社からの利益は、剰余金として計上されるため、配当所得には含まれません。

②:私募公社債等運用投資信託等の収益の分配に係る配当等

「私募公社債等運用投資信託等」と一口に言っても混乱しかねないので、「私募」「公社債」「投資信託」に分解して1つずつ意味を確認していきましょう。

単語 意味
私募 50人未満の少数の投資家に向けた債券の募集のこと。適格機関投資家*のみを対象にした募集は「プロ私募」と言います。(⇔公募)

*適格機関投資家…有価証券投資に関する専門家として、知識・経験があると認められた人

公社債 「公共債(=国・地方公共団体が発行する債券)」と「民間債(=民間企業・特定の金融機関)」を総称した言葉で、債券全般を一言で表すときなどに使われます。
投資信託 投資家から募ったお金を、専門家がまとめて債券などに運用・投資する商品のこと。元本の保証はありません。

    まとめると「少数の投資家に向けた債権全般を専門家に運用・投資」してもらったときの収益は、配当控除の対象ではないということです。

    ③:国外私募公社債等運用投資信託等の配当等

    ②で説明した「少数の投資家に向けた債権全般を専門家に運用・投資」は、国外でも対象外ということです。

    ④:外国株価指数連動型特定株式投資信託の収益の分配に係る配当等

    「外国株価指数連動型特定株式投資信託」は、外国の株価指数に連動した運用をする投資信託のことです。

    株価指数とは、取引所の特定の株価の動きを表すものです。

    ⑤:特定外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当等

    「特定外貨建等証券投資信託」は、

    • 外貨建資産割合

    …信託財産の総額のうち、外貨建資産(=円以外の通貨で価値がつく資産のこと)が占める割合

    • 「非株式」割合

    …信託財産の総額のうち、非株式(=株式以外の資産の額)が占める割合

    上記のいずれも75/100以下に定められているもの以外のもので、これらは配当控除の対象になりません。

    また上記に該当しなくても、次の2つの割合が次のように定められている場合も配当控除の対象外です。

    • 制限なし
    • 約款規定なし

    ⑥:適格機関投資家私募による投資信託から支払を受けるべき配当等

    ②でも記述したように、有価証券投資に対する深い知識・経験がある方にのみ認められるのが「適格機関投資家」

    適格機関投資家(=プロ私募)による投資信託からの配当も、控除の対象にはなりません。

    ⑦:特定目的信託(特定目的会社)から支払を受けるべき配当等

    特定目的信託特定目的会社からの配当等も、配当控除の対象にはなりません。

    特定目的信託とは資産の流動化を目的とした信託のこと(=別名SPT)です。

    資産の流動化は一口で言うと、資産を売却・証券化して資金調達(=現金化)すること。

    企業が保有する資産を、信託会社や特定目的会社に預けることで、企業の信用力に左右されずに資金調達ができます。

    特定目的会社とは、資産の流動化にまつわる業務を行う会社です。

    ⑧:投資法人から支払を受けるべき配当等

    投資法人とは、資金を株式・債券で運用することを目的とした会社のこと。

    不動産投資に特化した投資法人は、J-REIT(ジェーリート)と呼ばれています。

    運用収益は配当という形で投資家に還元されますが、その配当等は配当控除の対象にはなりません。

    ⑨:確定申告不要制度を選択したもの

    公的年金等の収入で生活している方は、ある一定の条件を満たすと確定申告をしなくても済む「確定申告不要制度」というものがあります。

    ただし確定申告不要制度を選択すると、たとえ配当等を得ても控除の対象にはならないので、気をつけましょう。

    ⑩:申告分離課税制度を選択したもの

    「配当控除の対象となる配当所得」で先述したように、配当控除の対象となるのは、確定申告時に「総合課税」を選択した場合のみです。

    申告分離課税を選択した場合は、配当控除の対象にはなりません。

    配当控除を4つのパターンで計算してみた

    配当控除の対象と対象外になるものが見極められたら、実際に計算してみましょう。

    ただし様々な条件により計算方法は異なります。

    次の4つのパターンでの計算を見ていきましょう。

    (参照:No.1250 配当所得があるとき(配当控除)|国税庁

    • 課税総所得金額等(以下、総所得)が1000万円以下の場合
    • 総所得が1000万円超かつ「総所得ー証券投資信託の収益の分配に係る配当所得(以下、投資信託配当所得)」が1000万円以下
    • 「総所得ー投資信託配当所得」が1000万円超
    • 「総所得 ー(剰余金に係る配当所得+投資信託配当所得)」が1000万円超
    「課税総所得金額等」の定義

    「課税総所得金額等」は、次の金額が該当します。

    • 課税総所得金額
    • 土地等に係る課税事業所得等の金額(平成10年1月1日から令和2年3月31日までの間は適用なし)
    • 課税長期(短期)譲渡所得の金額
    • 上場株式等に係る課税配当所得の金額
    • 株式等に係る課税譲渡所得等の金額
    • 先物取引に係る課税雑所得等の金額の合計額

    (参照:No.1250 配当所得があるとき(配当控除)|国税庁

    パターン①:総所得が1000万円以下の場合

    総所得が1000万円以下の場合の計算は、次の2つの合計額です。

    1. 剰余金に係る配当所得の金額×10%
    2. 投資信託配当所得の金額×5%*

    *外貨建等証券投資信託の配当所得の場合は2.5%。(ただし「“特定”外貨建等証券投資信託」はそもそも控除対象外なので除く)

    計算例を挙げると、以下のようになります。

    • 剰余金に係る配当所得の金額:500万円
    • 投資信託配当所得の金額:300万円

    500万円×10%+300万円×5%=65万円

    パターン②:総所得が1000万円超かつ「総所得ー投資信託配当所得」が1000万円以下

    • 総所得が1000万円超
    • 「総所得ー投資信託配当所得」=1000万円以下

    上記のいずれも満たすパターンの場合、次の3つの合計額配当控除になります。

    1. 剰余金に係る配当所得の金額×10%
    2. 投資信託配当所得のうち、「総所得ー1000万円」に相当する金額×2.5%
    3. 投資信託配当所得のうち、「総所得ー1000万円」を超える部分×5%

    パターン③:「総所得ー投資信託配当所得」が1000万円超

    総所得から投資信託配当所得を差し引いたときに1000万円を超える場合は、次の3つの合計額が配当控除です。

    1. 剰余金に係る配当所得の金額のうち、「総所得ー(1000万円+投資信託配当所得)」×5%
    2. 剰余金に係る配当所得のうち、「総所得ー(1000万円+投資信託配当所得)」を超える部分の金額×10%
    3. 投資信託配当所得×2.5%*

    *外貨建等証券投資信託の配当所得の場合は1.25%。(ただし「“特定”外貨建等証券投資信託」はそもそも控除対象外なので除く)

    ただしパターン④に該当する場合は、そちらを適用します(下記参照)。

    パターン④:「総所得ー(剰余金に係る配当所得+投資信託配当所得)」が1000万円超

    • 剰余金に係る配当所得
    • 投資信託配当所得

    総所得から上記の合計額を差し引いたときに、1000万円を超える場合は、次の2つの合計額が配当控除になります。

    1. 剰余金に係る配当所得の金額×5%
    2. 投資信託配当所得の金額×2.5%*

    *外貨建等証券投資信託の配当所得の場合は1.25%。(ただし「“特定”外貨建等証券投資信託」はそもそも控除対象外なので除く)

    配当控除のことを理解して、漏れのない申告を!

    今回は配当控除に関して…

    • 配当控除の対象となる所得
    • 対象外の所得
    • パターン別の配当控除計算方法

    上記のトピックを軸に紹介してきました。

    「この所得は配当所得に該当するのか?」

    「配当控除はどのように計算すればいいんだ…」

    そんなお悩みが解決できていたら、幸いです。

    また新型コロナウイルスの影響で4/16まで延長になっていた確定申告の期限ですが、4/17以降でも柔軟に受けつけるという発表がありました(詳細は国税庁発表のPDFへ)

    もしまだわからないことがあるなら、今のうちにスタートアップ会計事務所までお問い合わせください!

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    ※配当控除にまつわるお悩み、お待ちしております!

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