会社を設立する際に提出しなければならない書類の1つに定款(ていかん)があります。

定款とは会社の基本的な規則を記したもの。

会社を設立するためには、定款を作成して公証役場から認証を受けることが必須です。

しかし定款は書く項目が多いうえに、一度作ってしまうと変更する際に手間がかかってしまいます。

そこでこのページでは

  1. 定款を書く際に決めること
  2. 作成後に公証役場から認証してもらうまでの流れ
  3. 定款を変更するときの手続き

上記の3本柱でわかりやすく解説。

これから定款を作る人はもちろん、ほかの書類も揃い終えてまとめる段階の人も提出前にチェックすることをオススメします。

定款以外の提出書類については、以下の記事にまとめてあるので参考にしてみてください。

定款作成で決める10個の事項。テンプレートを参考にしながら会社に合わせた定款を作ろう!

定款は会社の形態や株主の数などによって内容が変わってくるので、ちらのテンプレート一覧から雛形を選んでダウンロードすることをオススメします。元記事:「電子定款のひな型」)

基本的に記入することは主に以下10個の項目です。

  1. 会社の名前
  2. 事業目的
  3. 本店の住所
  4. 公告の方法
  5. 発行可能株式総数と株式の譲渡制限について
  6. 取締役会設置の有無
  7. 取締役の人数・任期
  8. 事業年度(決算月)
  9. 資本金の額
  10. 発起人の人数

会社の名前

まずは商号(会社の名前)を決めていきます。

会社名をつけるときは、商標登録されている名前有名企業と同じ名前を使っていないか注意しましょう。

事業目的

事業目的

会社がどのような事業をするのかを記入しよう!

事業目的を記入する際のポイントは以下。

  • 具体的で明確な事業目的を記入

事業目的は明確なイメージができるよう具体的に記入する必要があります。非営利な事業や違法な事業の場合は受理されません。

  • 事業目的を書く数の目安は3~5個

事業目的を書く数に制限はないですが、極端に多くなると法人口座を開設するときの審査に引っかかる可能性があるので、注意しておきましょう。

  • 最後に「その他上記に関連する業務」の一文を挿入(事業目的と実際の事業内容のズレをなくすため)。

事業内容と実際の事業が違うことで罰則はありません。しかし定款に記載のない事業をして取引先と訴訟問題になると、取引自体が無効になることもあるので、最後に上記の一文を挿入しておくのが一般的です。

本店の住所

本店の住所

ここでは本店(本社)の住所を記入していきます。

自宅兼事務所賃貸店舗を借りている場合は、その住所を記入しましょう。

住所を記入する際は細かい番地まで書いてもOKですが、「本店を東京都新宿区に置く」のようにざっくりと記入することもできます。

住所をざっくりと書くメリットとしては、上記の例で言うと新宿区内で移転する場合に定款の変更をしなくて済むということです。

ただし番地まで書かない場合は*発起人の決定書も必要なので、会社設立時の必要書類が増えることは覚えておきましょう。

*発起人の決定書…本社の所在地(住所)を発起人全員の合意のもとで決めたことを証明する書類のこと。

バーチャルオフィスを本店の住所にすることもできる

また最近増えてきているのは、バーチャルオフィスを本店として登録する会社です。

バーチャルオフィスとは文字通り架空の会社のこと。

メインの業務内容は住所を貸すことですが、ほかにも電話・郵便の転送作業やオフィスの会議室を開放するなどのオプションもお好みでつけられます。

バーチャルオフィスのメリット/デメリットを検証

メリットとしては…

  • 個人情報を伏せられる

たとえばインターネット上で商品を販売する場合、特定商取引法で販売元の住所や氏名などの記載が義務付けられていますが、バーチャルオフィスを借りれば代わりにその住所や電話番号を掲載できるので、個人で商品を販売している方は自宅の住所をさらさずに済みます。

  • 実際にオフィスを賃貸するよりもコストを削減できる

バーチャルオフィスは安いところで月数千円から借りられるので、実際に本店用の建物を削減するよりもコストを削減が可能です。

  • 都心の一等地を本社の住所として記載できる

バーチャルオフィスを貸す会社は主に都心にある場合が多いので、まだ売上高が少ない会社でも都心の一等地を本店の住所として記載することで、ビジネス上で有効活用ができます。

 

一方デメリットとしては…

  • 法人口座を開設する際の審査が厳しくなる

バーチャルオフィスは詐欺などの犯罪でもよく使われるため、法人口座を開設するときの審査に通らない可能性があります。

対策として同時並行でいくつかの金融機関で審査をしてもらうことがオススメ。

  • 同じ住所の会社が複数ネット上に存在

本店の住所をそのままネットで検索したときに同じ住所の会社が複数出てくるので、外部の人にバーチャルオフィスだとバレてしまう危険性があります。

  • バーチャルオフィスでは会社設立ができない業種

そもそもバーチャルオフィスでは会社を設立できない業種もあるので、利用する前に確認しておきましょう。

公告の方法

「広告」は知ってるけど、「公告」って何だろう。。

公告の方法

続いて公告の方法を記入していきますが、まずは公告の意味から解説します。

公告とは?

公告とは会社が株主や取引先などに大きな影響を与える重要なことがある場合、公にして伝えること。

株式会社にはこの公告が義務付けられています

具体的には会社の決算の内容を知らせる決算公告や、合併資本金の減少など会社に重大な変化が起こった場合のお知らせも公告です。

公告は法令上で義務付けられていて、違反すると100万円以下の罰金が課せられます。

公告の方法は以下の3種類があります。

  • 官報

法律や各省庁の動向などが載っている官報(国の機関誌)で公告する方法。

  • 日刊新聞

朝日新聞や読売新聞などの一般紙や地方紙である日刊新聞で公告する方法。

スポーツ紙や業界紙は含まれません。

  • 電子公告

自社のホームページなど、インターネット上に載せて公告する方法。

3種類の公告方法のメリット/デメリットとコストを徹底比較!

どの方法で公告するかは下表のメリット・デメリットに加え、公告掲載時のコスト面を考慮して決めることをオススメします。

公告方法メリットデメリット公告掲載時のコスト(目安)
官報・低コスト
・フォーマットがあるので手軽
・発行まで1~2週間7万円~10万円
(※掲載スペースによる。一般的には2枠で掲載)
日刊新聞・PR効果大
・発行まで数日
・コストが高額数十万円~数百万円
電子公告・コストが0円(決算公告の場合)
・データをアップロードするだけで手軽
・不特定多数の人に閲覧される
・決算公告以外は調査機関を通す必要アリ
0円
(※決算公告以外のときの調査費は5万円~15万円)

発行可能株式総数と株式の譲渡制限について

発行可能株式総数

次に発行できる株式の上限数(=発行可能株式総数)を決めていきましょう。

発行可能株式総数を決めるためにまず考えることは、1株あたりの金額。

とくにこだわりがない場合、日本の会社は1株5万円にすることが多いです。

たとえば資本金が1000万円で1株を5万円にすると、会社は200株を持つことになります。(1000万÷5万=200)

このようにして現在の株数=発行可能株式総数にしてもOKですが、今後事業を拡大していく予定がある場合は、発行可能株式総数をもっと多く設定しても大丈夫です。

株式の譲渡制限について

株式の譲渡制限の有無は、公開会社にするか非公開会社にするかで、変わってきます。

公開会社と非公開会社の違いを解説
  • 公開会社

株式の譲渡制限をしない(=会社の承諾なしで自由に株式を第三者に渡せる)会社のこと。

株式を自由に譲渡できるので、外部からも資金を調達が可能です。

しかし、たとえば発行可能株式総数が200の会社が設立時に50株を発行したとします。

その後、事業が拡大したために増資して発行した残りの150株が第三者の手に渡ると、経営権も自動的にその人の手に渡ってしまうので、注意しましょう。

ちなみに公開会社には、一部の株式だけ譲渡制限している会社と、全株を譲渡制限していない会社があります。

  • 非公開会社

会社の承認がないと株主になったり全株式を譲渡できない会社のこと。

新しく会社を設立する場合は、社長がほとんど株式を持っているので、ほぼ非公開会社です。

また非公開会社は取締役会を設置しなくてもいいので、会社の内部構成や方針などを比較的自由に決めることができます。

 

発行可能株式総数には上限がある!?
※株式の譲渡制限がない公開会社の場合は、発行可能株式総数に上限アリ

株式の譲渡制限のない公開会社の発行可能株式総数は、すでに発行している株数の4倍までの上限が設定されています。

たとえば200株を発行している会社の発行可能株式総数は、最大で800株までです。(200×4=800)

取締役会設置の有無

取締役会の設置

取締役が2名以下の場合は、取締役会を設置する必要がありません。

取締役会がない会社が取締役会非設置会社

逆に取締役会設置会社には3名以上の取締役が必ずいます。

ただし取締役会を設置した場合は*設立時代表取締役選定書も必要なので、会社設立時の必要書類が増えることは覚えておきましょう。

*設立時代表取締役選定書…代表取締役を定款に記載することができないため、取締役会で決まった際に作成する書類

取締役会とは?

取締役会とは、会社が業務をする際の意思決定をする機関のこと。

3名以上の取締役がいる会社に設置されており、そのうち1名が代表取締役となります。

また取締役会設置会社に必要になってくるのは、監査役の存在です。

会社の意思決定は取締役会だけで完結してしまうので、取締役会がきちんと意思決定をできているのかを監視する役割を担っています。

一方、取締役会を設置していない取締役会非設置会社は、株主総会が意思決定の機関となります。

取締役の人数・任期

取締役の人数・任期

続いて取締役の人数と任期を決めていきます。

取締役の人数は最低1名いればOKです。

しかし上場している公開会社などは、最低3名の取締役が必要になってきます。

一方、人数が多い分には制限がありません。

極端な話、取締役が何百人いても問題はありませんが、実際には会社の規模感や実情を考慮して人数を決めている会社がほとんどです。

また任期については原則2年とされていますが、定款に記入することで短縮もしくは最長で10年まで延長がOK。

任期を長く設定する場合、任期後に改めて取締役を選んで登記をする際の登録免許税のコストを削減が可能です。

逆に任期中に交代させる場合は、解任ということになるので正当な理由がない限りは、本来の任期までの報酬を渡す必要が出てくるので、リスクが高くなります。

事業年度(決算月)

事業年度

続いて決めるのは事業年度です。いわゆる決算月のこと。

基本的に1年以内ならどこを事業年度にしても構いません。

一般的な会社でよくある事業年度は「4月1日から翌年3月31日まで」「1月1日から12月31日まで」です。

事業年度を決めるうえで注意しておきたいポイントは…

  • 会社の繁忙期を避ける

決算業務は多忙を極めることが多いので、通常業務が忙しい繫忙期に設定してしまうと二重苦になってしまいます。

  • 資金繰りがいい時期にする

決算での税金は決算日から2ヶ月以内に納付する必要があるので、ほかの支払いと重なるような月は避けたほうが吉です。

  • 最初の事業年度は会社設立日から離れた日にする

たとえば一般的な会社にならって事業年度を「4月1日から翌年3月31日まで」にして、2月末に会社を設立してしまうと最初の事業年度まで1ヶ月しかなくなってしまいます。そうすると定款を作成し直す手間が発生してしまうので、確認しておきましょう。

資本金の額

資本金の額

続いて資本金の額を決めていきます。

資本金は株式会社の運営のために出資した金額のこと。

基本的に資本金はいくらでもOKなので、1円の資本金でも株式会社を設立することは可能です。

しかしはじめのうちは、資本金額=会社の信用度になると言っても過言ではありません。

そのため極端に資本金を少なくしてしまうと、融資を受けられなくなる可能性もあります。

資本金額を決めるときの以下のことを考慮したうえで決めていきましょう。

  • 会社設立~半年までの運転資金=資本金額にする

会社設立したての期間は事業が軌道に乗らないということも考えられます。

そのため仮に事業が回らなくても大丈夫なように、半年分の運転資金を資本金額に設定する方法です。

  • 消費税の免税を受ける前提で資本金額を決める

資本金を1000万円未満で会社設立した場合、消費税が免税になるという特例があります。

免税を受けるために、資本金を1000万円未満にするという基準で決めることも可能です。

  • 取引先が法人の場合をふまえた資本金額にする

法人相手に取引をするB to Bの会社を起業する場合は、資本金額が信用度に関わってきます。

そのため企業によっては資本金が少ない会社との取引が難しくなることもあるので、その点も考慮しつつ決めていきましょう。

  • 業種によっては最低限の資本金額が決められている

業種によっては資本金額の下限が設定されています。

たとえば有料職業紹介事業は500万円、一般労働者派遣事業は2000万円の資本金が最低限必要です。

そのためこれらの業種は、資本金1円では会社設立ができないので注意しましょう。

最初のうちは資本金額が会社の信用度に繋がるんだね。

発起人の人数

発起人の人数

続いて発起人の人数を決めていきましょう。

発起人とは?

発起人とは資本金を出資や定款の作成など、会社を設立するときに必要な準備を行う人のこと。

会社設立後に発起人は必ず株主となります。

小規模の会社を設立する場合は、発起人が取締役を兼ねることがほとんどです。

発起人は最低1人でもいれば人数に制限はありません。しかし発起人が複数いる場合は持っている株の割合にも注意しておきましょう。

なぜなら会社設立後、発起人は出資した金額の割合=株式の割合になるので、その割合が過半数になると経営権が発起人に移動してしまうからです。

発起人になるための条件

発起人は基本的に誰でもなることができるので、条件についてはあまり気にしなくてもOKです。

しかし以下のようなケースだといくつかの注意点があるので、留意しておきましょう。

  • 発起人が未成年の場合

発起人は未成年でもなれます。

しかし発起人になる際に必要な書類である印鑑証明書は、15歳未満では作れないので注意が必要です。

  • 発起人が外国人の場合

印鑑証明書があれば外国人でも発起人になることは可能です。

海外に住んでいる外国人でも大使館でサイン証明書(署名が本人のものであるという証明書)を取得すれば、発起人になれます。

  • 自己破産した発起人の場合

自己破産した人を発起人にすることもできますが、融資を受ける際に不利に働く可能性があります。

  • 法人を発起人にする場合

法人(会社)を発起人にすることも可能です。

その際は最低でも1つの事業目的は一緒にしておかなければならないので、共通の事業目的を記入しておきましょう。

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