個人事業主だけど、最近、“法人化”が気になっている方。

“法人化”すると…

  • 融資
  • 節税
  • リスクマネジメント

などの面で、アドバンテージが得られると聞いたことがあるかもしれません。

実はその通りで、あなたのビジネスを円滑に進めるには、法人化”がオススメ!

あなたがきっと法人化したくなる!メリット・デメリットをご紹介します。

【個人事業主と法人】それぞれの特徴

まずはじめに、個人事業主と法人の特徴をカンタンに理解しておきましょう。

個人事業主とは

個人事業主とは、個人で継続的に事業を行っている人のこと。

(例:商店街にありそうな八百屋や、CDショップなどの店主)

個人事業主が支払う主な税金は、所得税です。

所得税は以下の式から算出した課税所得に所得税率をかけて、税額を求めます。

  • 収入ー必要経費ー所得控除額=課税所得
法人とは

法人とは法律上、人と同様の権利を持つ組織のこと。

(例:株式会社、合同会社など)

法人化した場合に支払う主な税金は、法人税です。

法人税は以下の式から算出した課税所得に法人税率をかけて、税額を求めます。

  • 益金(≒収益)ー損金(≒費用)=課税所得

個人事業主でも法人でも、課税所得が小さければ小さいほど、払う税金は少なくなります。

つまり課税所得を減らす必要経費・損金(≒費用)が多ければ、その分節税効果があるということです。

ここからは、個人事業主から法人化するメリット・デメリットをご紹介しましょう。

株式会社を設立して法人化するメリット

“法人化”すると、主に以下6つのメリットがあります。

  1. 資金調達時に有利
  2. 社会的な信用が増す
  3. 様々な節税対策が可能
  4. 万が一破産しても、個人資産を守れる
  5. 決算日の設定が自由
  6. 事業継承するのに便利

それぞれのメリットを見ながら、本当に“法人化”した方が円滑にビジネスを進められるのか検討してみましょう。

①:資金調達時に有利

金融機関から融資を受ける場合、法人化した方が取引の成功率がアップします。

なぜなら法人だと、

  • 会社と代表者の財布(=会計)が分かれている

と認識され、会計のあいまいさが排除されるからです。

また法人は、決算で貸借対照表と損益計算書を作成するため、財産・収支がハッキリとしています。

このお金の使い道の明確化こそが、融資審査において個人事業主と比べてアドバンテージとなる点です。

②:社会的な信用が増す

これはズバリ

  • 法人=国に認められた組織

だと認識されるため、社会的信用が高いからです。

社会的信用が増すことは、

  • 仕事が請け負いやすくなる
  • 人材の採用活動もしやすくなる

などのメリットにも繋がります。

ただし資本金額によって社会的信用度も変わるため、資本金額が低すぎると逆効果かもしれません。

③:様々な節税対策が可能

“法人化”すると、様々な節税対策を講じることが可能です。

  1. 社長が給与所得控除を使える
  2. 家族に給与を支給できる
  3. 所得税率より法人税率の方がオトク
  4. 費用として計上できるものが増える
  5. 最大4年間、消費税が免除される
  6. 欠損金(=赤字)を9年間繰り越せる

(1) 社長が給与所得控除を使える

“法人化”すると、社長自身が給与所得控除を利用できます。

なぜなら、法人から役員報酬として給与を受け取るという形になるからです。

法人税を計算する際に、役員報酬は損金(≒費用)となるため、役員報酬の分だけ法人税が節税できます。

そして、役員報酬として受け取った給与には給与所得控除が使えるので、所得税も節税!

一方、個人事業主で得た所得は事業所得に該当し、給与所得控除を利用できません。

給与所得控除とは?

給与所得控除とは、所得税を計算する時に、収入から*税法上経費とみなされる部分が引かれること。

*税法上経費とみなされる部分仕事上の必需品であるスーツ、文房具など、購入する見込みがあると税法上で想定されているもの

(2) 家族に給与を支給できる

“法人化”することで、家族に支給した給与を損金(≒費用)にできます。

つまり、元は経営者の収入が法人の収益(=益金)に変わるため、法人税の節税が可能です。

さらに家族に給与として収入を分配することにより、家族全体としての所得税も安くなります。

ところが個人事業主が家族に給与を支給したとしても、必要経費にはできません。

(「青色事業専従者給与に関する届出書」*を税務署に提出すれば、必要経費にすることも可能。)

「青色事業専従者給与に関する届出書」*

この届出書を提出したら家族の給与を必要経費にできるというのは、青色申告の方にのみ認められている優遇措置の1つです。

個人事業主の場合、確定申告する際に以下のどちらにするか選択しますよね。

  • 青色申告
  • 白色申告

すでに青色申告を行っている方は、この措置を利用すれば節税できます。

一方で、白色申告を行っている方は、白色事業専従者控除の利用が可能です。

法人化しない場合、これらの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

(3) 所得税率より法人税率の方がおトク

所得税率と法人税率では、以下のように税率決定の面で大きな違いがあります。

  • 法人税…法人の種類と規模
  • 所得税…収入金額

法人税は1億円以下の中小法人において、年間所得800万を目途とする税率変動しかありません。

法人規模法人税率
資本金1億円以下の中小法人(年間所得800万円以下)19%
資本金1億円以下の中小法人(年間所得800万円超)23.2%
中小法人以外の普通法人23.2%

それに対して所得税は、収入の分だけ税率が上がる累進課税制度を採用しています。

そのため、稼げば稼ぐほど税率が上がり、払う税金は高くなりますよね。

所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万~330万円10%97,500円
330万~695万円20%427,500円
695万~900万円23%636,000円
900万~1800万円33%1,536,000円
1800万~4000万円40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円

“法人化”も考えるくらい収入があるなら…“法人化”した方が全体的に税金支払い額を減らせるでしょう。

節税できたら…バリ島で1週間くらいのんびりしたいな~
個人事業主が法人化するボーダーライン額

“法人化”して節税できるボーダーラインは、いくら収入があるときなのか考えてみましょう。
一般的には…

  • 課税所得(利益)が500万~800万円のとき
  • 課税売上高が1000万円(消費税込み)のとき

の2つが挙げられます。

なぜなら、法人税は800万円までの税率が19%だからです。

しかし所得税は、330万円を超えた時点で税率が20%になり、法人税率より高い設定。

それに加えて、条件を踏まえて法人化すると消費税が免除になるのも、大きなメリットといえるでしょう。

これらの点を重視すると、上記2つの金額が“法人化”する目安になります。

ところが、あなたのビジネス状況にもよるため、この金額がオススメ!と明記するのは難しいです。

法人化するタイミングが気になる方は、税理士に相談したら、良いアドバイスがもらえるでしょう。

(4) 費用(=損金)として計上できるものが増える

“法人化”すると、費用(=損金)計上できるものが増えます。

費用にする条件さえクリアすれば、

  • 役員報酬・給与(1.と2.で述べた通り)
  • 保険料
  • 住宅費
  • 旅行の費用
  • 退職金

などを費用にすることが可能です。

結果として課税所得額が減るので、節税効果が見込めます。

【注意!】交際費をすべて費用にはできない

資本金1億円以下の中小法人は、800万円まで(もしくは飲食費の50%)しか交際費を費用(=損金)にできません。

(資本金1億円を超えた法人の場合は、飲食費の50%まで費用計上が可能。)

個人事業主のときは認められていた費用が認められなくなるケースもあります。

たとえば事業の性質上、交際費が800万以上必ずかかる場合や個人的な費用を必要経費として落としていた場合などです。

その点も考慮した上で法人化を検討しなければ、節税にはならないかもしれません。

(5) 最大4年間、消費税が免除される

消費税免除される最大4年間の内訳としては…

  • 個人事業主の場合に受けられる開業後2年間
  • “法人化”した場合に消費税の免税事業者として認められた場合2年間

4年間です。

すでに個人事業主として開業して1年が経っている方にとっては、最大で3年ということになります。

ただし個人事業主の場合は、

  • 2年前の課税売上高が1,000万円を超えない限り、免税事業者
  • 起業して半年までに課税売上高が1,000万円を超えた場合、2年目から課税事業者

などのケースもあり、課税売上高により期間が異なるため、注意が必要です。

法人化して免税事業者として認められるには、条件がいくつかありますので、あらかじめ確認しておきましょう。

(6) 欠損金(=赤字)を9年間繰り越せる

法人だと年間の利益が赤字になったとしても、最大9年間は繰り越すことができます。

つまりその間に黒字になれば、赤字の年と相殺が可能ということです。

9年間赤字を繰り越せると、突如大きな利益が出たときや、数年赤字がたまっていたときでも、相殺できます。

税負担額がいきなり跳ね上がる心配はありません。

ただしこれは青色申告を利用した場合に限るので、記事をご確認くださいね。

④:万が一破産しても、個人資産を守れる

法人は万が一破産しても、責任を負うのは…

  • 個人保証した分
  • 自分が出資した分

のみなので、自分の財産にまで返済の手が及ぶことはありません。

一方、個人事業主の場合は、家や車などの自己資産までも差し押さえられてしまいますよね。

最悪の事態に備えたリスクマネジメントとしても、“法人化”は効果的です。

⑤:決算日の設定が自由

“法人化”した場合、

  • 繁忙期を避けた月
  • 売上高が安定している月
  • (免税事業者としての期間を長くするなど)節税を考えた月

に決算日を設定するなど、あなたが行うビジネスの流れに合わせられます。

繁忙期・閑散期が業種によって異なるのは、当然のことです。

それらを踏まえて決算日を設定することで、決算作業に妨げられることなく、ビジネスを進められるでしょう。

⑥:事業継承するときに便利・節税が可能

“法人化”して所有する財産を法人名義にしておくと、万が一のときの事業継承に備えることができます。

なぜなら、代表者が死亡したとしても…

  • 法人は組織として事業を継続できる
  • 財産が相続の対象にならない(=相続税がかからない)

からです。

また法人は採用活動も行いやすいので、備えとして後継者を育成しておくとよいでしょう。

法人化のおかげで、あなたに万が一のことが起きても、ビジネスは後継者の手によって継続していきます。

株式会社を設立して法人化するデメリット

ここまで紹介した6つのメリットを読んで、“法人化”に前向きになったあなたには、

  1. 事務作業・コストが増加
  2. 社会保険への加入が義務
  3. 赤字でも必ずかかる税金がある

という3つのデメリットがあることも念頭に置いておきましょう。

①:事務作業・コストが急増

法人化に伴う会社設立手続きには、以下のような費用がかかります。

  • 資本金…希望額により異なる
  • 法人登記費用…約24万円程度

(専門家・代行業者に頼む場合は、別途手数料アリ)

“資本金”は個人事業主にとっての“元入金”とイメージが近く、資本金についてはコチラで詳細をご確認ください。

それに加えて、毎年行わなければならない決算・税務申告は、確定申告よりも遥かに難易度が高いです。

  • 確定申告…1年間の収入・必要経費を、数枚確定申告書としてまとめる
  • 決算・税務申告…1年間の収益(=益金)・費用(=損金)を、数十枚もの決算申告書としてまとめる

このように事務作業とコストが急増。

もしこれらのデメリットを解消したければ、以下の記事を読んで会社設立手続きを安く済ませましょう。

②:社会保険への加入が義務

法人化すると給与所得控除が使えるというのは、メリットでお伝えしました。

そのメリットの反面、給与の支給に伴って現れるのが社会保険です。

社会保険は、役員報酬・給与を支給する人数分、必ず加入しなければなりません。

個人事業主のときにすでに社会保険に加入していた方は、自分1人分の社会保険料のみを支払っていましたよね。

しかし法人化した場合、給料を支給した人数分の社会保険料も払わないといけないので、実質負担が増えます。

③:赤字でも必ずかかる税金がある

個人事業主のときは赤字だと課税所得がマイナスになるため、税金が発生しません。

法人化した場合、赤字でも法人住民税の均等割を支払う必要があります。

なぜなら、法人住民税の均等割は課税所得に関係なく、資本金額や会社を設立する場所、従業員数に応じて決まる税金だからです。

先にその金額さえ調べておけば、赤字になりそうな時も安心でしょう。

法人住民税の均等割額(東京都)の金額が気になることはコチラ!

事業が軌道に乗ったら、法人化して節税を!

今回紹介した6つのメリット

  1. 資金調達時に有利
  2. 社会的な信用が増す
  3. 様々な節税対策が可能
  4. 万が一破産しても、個人資産を守れる
  5. 決算日の設定が自由
  6. 事業継承するのに便利

を読んで“法人化”することに、前向きになられた方も多いかもしれません。

たしかに、あなたのビジネスを円滑に進めるには、法人化”が得策でしょう。

どうしても3つのデメリットが不安だ…という方は、ぜひスタートアップ会計事務所にご連絡ください。

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