2020年10月から酒税率が改正されます。

いわゆる「新ジャンル」のビールや、ワインなどの果実酒の酒税が引上げられる一方で、ビールや発泡酒などの酒税は引下げれられます

この改正により、すべての酒類を販売する事業者は、2020年10月1日時点の在庫量を確認しなければなりません。

引上げになる酒類が多い場合は「手持品課税(てもちひんかぜい)」、引下げになる酒類が多い場合は「手持品戻税(~もどしぜい)」の対象となります。

事前の確認をすれば所持している酒類次第で、税金が戻ってくるかもしれません。

一緒に詳細を確認していきましょう。

●酒税改正日:2020年10月1日

●申告期限:2020年11月2日

●納付期限:2021年3月31日

【酒税率改正】手持品課税・戻税とは?

手持品課税(てもちひんかぜい)とは…

  • 酒類を取り扱う業者・経営者(居酒屋、レストラン等で酒類を提供する店の経営者も含む)が、
  • 販売のために所持している対象酒類の税率の
  • 引上げ分に相当する酒税を課税すること。

手持品戻税(てもちひんもどしぜい)とは…

  • 酒類を取り扱う業者・経営者(居酒屋、レストラン等で酒類を提供する店の経営者も含む)が、
  • 販売のために所持している対象酒類の税率の
  • 引下げ分に相当する税額を、手持品課税の酒税額から控除・還付される税のことです。

【酒税率改正】申告が必要な事業者

今回の酒税率改正によって申告が必要になる対象者は、次のとおり。

  1. 引上げ対象酒類を1800ℓ以上所持する事業者
  2. 新旧税率の差額分の還付を受けたい事業者

①:引上げ対象酒類を1800ℓ以上所持する事業者

ポイントは1800ℓという数字です。

販売のために引上げ対象酒類を1800ℓ以上所持していない場合、①はスルーして構いません。

ただし複数の場所(店舗など)で所持している場合は、合計数量が1800ℓ以上所持していると申告の対象になるので、気を付けましょう。

引上げ・引下げ対象酒類のリストは、もう少し先で紹介してるよ!

②:新旧税率の差額分の還付を受けたい事業者

引上げ対象酒類を1800ℓ以上所持していなくても、酒税率の改正により引下げ額が大きくなった場合は、申告することで、差額分の還付を受けられます。

還付を受けるには、2020年11月2日までに貯蔵場所の所在地の所轄税務署長に対し、手持品課税等の適用を受ける旨の届出が必要です。

その場合、引上げ対象酒類を所持する貯蔵場所についての申告も必要になります。

【酒税率改正】対象酒類リスト

引上げ、引下げの対象となる酒類と変動額を、リストで確認していきましょう。

【ちょっと寄り道】新ジャンルと発泡酒の違いとは?

「ビール類」と括られることが多いですが、新ジャンルと発泡酒では、

  • 原材料の種類
  • 使用比率

主に上記がそれぞれ異なります。

そこで「新ジャンル」と「発泡酒」の違いを見比べてみると…

  • 新ジャンル…麦・麦芽以外が原材料 or 発泡酒にスピリッツなどのアルコール飲料を加えている
  • 発泡酒…麦芽の比率が50%未満 or 副原料の使用割合が5%超

引上げ対象酒類

引上げ対象酒類は、いわゆる「新ジャンル」第三のビールとも)ワインなどの「果実酒」です。

引上げ対象酒類引上げ額(1ℓあたり)引上げ額(350㎖あたり)引上げ額(750㎖あたり)
新ジャンル28円9.8円
果実酒10円7.5円

引下げ対象酒類

引下げ対象酒類は、ビール、発泡酒、醸造酒、清酒、雑酒(みりん類似以外)です。

引下げ対象酒類引下げ額(1ℓあたり)引下げ額(350㎖あたり)引下げ額(1800㎖あたり)
ビール20円7円
発泡酒20円7円
発泡酒(麦芽比率25%以上50%未満)11円3.85円
その他の醸造酒20円36円
清酒10円18円
雑酒(アルコール分21度未満)20円18円
雑酒(アルコール分21度以上)1度につき1円加算

【酒税率改正】計算例と算出方法

ここからは実際の計算例をもとに、算出方法を確認していきましょう。

今回紹介するケースは、次のとおりです。

  1. 引上げ対象酒類が1800ℓ未満のとき
  2. 複数の店舗があるとき

ケース①:引上げ対象酒類が1800ℓ未満のとき

2020年10月1日の段階で所持している酒類

  • ワイン 200ℓ
  • ビール 400ℓ
  • 清酒 50ℓ

ワインは果実酒(=引上げ対象酒類)にあたるので、1ℓあたり10円の引上げ。

200ℓ×10円=2000円←課税額

ビールと清酒(=引下げ対象酒類)にあたるので、1ℓあたり20円(ビール)、10円(清酒)の引下げ。

400ℓ×20円+50ℓ×10円=8500円←戻税額

2000円ー8500円=-6500円←合計戻税額

ただし2500円の還付を受けられるのは、2020年11月2日までに手持品課税等の適用を受ける旨の届出をした事業者のみです。

ケース②:複数の店舗があるとき

2020年10月1日の段階で、店舗①と店舗②で所持している酒類

店舗①

  • ワイン 200ℓ
  • ビール 400ℓ
  • 清酒 50ℓ

店舗②

  • 新ジャンル 150ℓ

店舗①はケース①で算出したとおり、課税額2000円、戻税額8500円です。

店舗②で所持している新ジャンル(=引上げ対象酒類)は、1ℓあたり28円の引上げ。

150ℓ×28円=4200円←課税額

2000円+4200円ー8500円=2300円←合計戻税額

ただし手持品課税等の適用を受ける旨の届出をする場合は、店舗①と店舗②でそれぞれ提出する必要があります。

ケース②の場合、下記のような申告になるので、ご注意ください。

  • 店舗①…6500円の還付申告
  • 店舗②…4200円の納税申告

申告時の書類については、次の項目で説明していきます。

【酒税率改正】届出書・申告書の記入事項

引上げ対象酒類が1800ℓ未満の所持量で、手持品課税・手持品戻税の申告を行う際に必要な書類は、次のとおり。

それぞれ申告期限は、2020年11月2日です。

  1. 酒税の手持品課税等の適用を受ける旨の届出書
  2. 令和2年10月1日現在の手持品課税等対象酒類の酒税納税申告書
  3. 税額算出表

書類①:酒税の手持品課税等の適用を受ける旨の届出書

酒税の手持品課税等の適用を受ける旨の届出書の主な記入事項を紹介していきます。

  • 届出者
  • 貯蔵場所
  • その他参考となるべき事項

提出先は貯蔵場所を所轄する税務署なので、間違えないようにしましょう。

複数の店舗がある場合は、それぞれの所轄する税務署になります。

届出者

届出者の基本情報を記入する項目です。

  • 住所
  • 電話番号

→日中に連絡がとれる番号を記載。(携帯電話番号でもOK)

  • 氏名・名称及び代表者氏名・ふりがな

→個人なら個人印、法人なら代表者印を押印。

  • 個人・法人番号

貯蔵場所

続いて貯蔵場所の基本情報を記入します。

  • 貯蔵場所の所在地
  • 電話番号
  • 貯蔵場所の名称・ふりがな

その他参考となるべき事項

ここの書くのは、上記「貯蔵場所」に記載した場所以外で、対象酒類を所持している場所・店舗がある場合に、記入する項目です。

場所の名称と住所を記載しましょう。(別紙の添付でもOK)

書類②:令和2年10月1日現在の手持品課税等対象酒類の酒税納税申告書

続いて令和2年10月1日現在の手持品課税等対象酒類の酒税納税申告書の主な記入事項についてです。

  • 申告者
  • 貯蔵場所
  • 納付すべき税額等の計算
  • 摘要
  • 還付される税金の受取場所

申告者

申告者の基本情報を記入する項目です。

  • 住所
  • 電話番号

…日中に連絡がとれる番号を記載。(携帯電話番号でもOK)

  • 氏名・名称及び代表者氏名・ふりがな

…個人なら個人印、法人なら代表者印を押印。

  • 個人・法人番号

貯蔵場所

続いて貯蔵場所の基本情報を記入します。

  • 貯蔵場所の所在地
  • 電話番号
  • 貯蔵場所の名称・ふりがな

納付すべき税額等の計算

納付・還付額を算出して記入する項目です。

  • この申告書に対する税額

税額算出表を作成して算出した税額を記入します。

  • 修正申告の場合の修正申告前の確定額
  • 差引納付又は還付税額

摘要

摘要欄には、4つの項目に対してチェックを入れます。

  • 申告する理由
  • 貯蔵場所の区分
  • 一括申告の有無
  • 他署管内の貯蔵場所の有無

還付される税金の受取場所

還付される税金の受取場所を記入する項目です。

銀行受取の場合は、銀行名、支店名、預金種類、口座番号を記入します。

ゆうちょ銀行の場合は記号番号のみ左詰めで記入し、窓口で受取る場合は希望する郵便局名を記入しましょう。

書類③:税額算出表

最後に税額算出表に記入する項目を、確認していきましょう。

  • 申告者の住所及び氏名又は名称

…申告者の基本情報を記入します。押印はいりません。

  • 所持数量

…酒類の品目ごとに所持数量を㎖単位で記入します。(10㎖未満の端数は切り捨て)

  • 新税率・旧税率による算出税額

…所持数量に新旧税率をかけた金額を記入。(1円未満の端数は切り捨て)

  • 差引酒税額

…「新税率による税額」-「旧税率による税額」の金額を記入。

  • 引上・引下対象酒類

…引上げ対象酒類と引下げ対象酒類の合計額をそれぞれ記入します。

  • 合計

…最後にそれぞれの税額を合計した金額を記入しましょう。

所持している酒類を把握して、税改正に備えよう!

今回は2020年10月1日からの酒税率改正にともない、下記の情報をお届けしました。

  • 手持品課税・戻税の説明
  • 申告が必要な事業者
  • 対象酒類リスト
  • 計算例と算出方法
  • 届出書・申告書の記入事項

引上げ対象酒類を1800ℓ以上所持している業者はもちろん、1800ℓ未満でも申告次第で還付金を受け取れるかもしれません。

申告期限は2020年11月2日までなので、今のうちに準備を進めておきましょう。

国税庁のYouTubeでも動画がアップされていますので、こちらもご参照ください。

もし何か不明な点等ございましたら、スタートアップ会計事務所までお願いします!

参考【国税庁YouTube】

※確認するのが大変なときは、まずご相談ください!

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