数ある所得控除の中でも、医療費控除は多くの人が関係してきます。

なぜなら個人事業主はもちろん、会社員も確定申告が必要な控除の1つだからです。

しかしいきなり確定申告をする局面になっても、慌ててしまうことは請け合い。

そこで本記事では、医療費控除の基本をおさらいしつつ、

  • 医療費控除の対象と対象外の費用
  • 還付までの流れと必要書類
  • 還付金の計算方法
  • 【特例】セルフメディケーション税制とは?
  • 【医療費控除】3つの注意点

上記内容を掘り下げて、紹介していきます。

この記事を読みながら、医療費控除を利用して還付金を受け取る準備を始めていきましょう!

【医療費控除】基本をイチからおさらい!

医療費控除とは、納税者および同一生計者(配偶者、親族など)が病院の治療費や薬代を支払ったときに、一定額の控除を受けられるもの。

基本的には年間の医療費が*10万円を超えると、医療費控除が受けられます。

*総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額の5%

控除額は「支払った医療費ー保険金で補填される金額ー10万円」です。(最大200万円

そして確定申告シーズン(基本的には2/15~3/15)に必要書類と合わせて、税務署に提出して還付申告をすると、還付金が受け取れます。

会社員でも確定申告が必要⁉

「会社員だから確定申告とは無縁だ」と思っている方がいたら、それは誤った解釈です。

数ある所得控除の中でも、会社で年末調整ができないものが3種類あります。

それが…

  1. 医療費控除
  2. 雑損控除
  3. 寄付金控除

上記3種類の控除は会社の年末調整で処理ができません。

そのため控除を受けたい場合は自身で行うことになります。

しかしここで見落としがちなのが、「すべての医療費が控除できるわけではない」ということ。

医療費控除の対象になる費用と対象外の費用

ここからは、医療費控除の対象となる費用対象外の費用を確認していきましょう。

医療費控除の対象になる or ならないケースは多々ありますが、

  • 病状などにより必要不可欠
  • 常識的な支出の範囲を超えない

という2点が守られているか?が、ざっくりとした線引きです。

対象となる費用 対象外の費用
医師による診療・治療費 診断書の作成・予防接種の費用
病気・ケガのために購入した医薬品 サプリメント、エナジードリンクなどの購入費
通院・入院するための交通費 マイカーで通院したときのガソリン代・駐車場代
治療のためのマッサージなど施術代 美容目的の施術代
レーシックの治療費 メガネ、コンタクトの購入費
病人の付き添いなど療養上の世話への対価 医師への謝礼金
妊娠・出産に関わる費用(定期健診、分娩介助、不妊治療費など) 無痛分娩の講座受講料
介護保険制度の下で提供された施設・居宅サービス 補聴器の購入費(医者が必要だと診断した場合は除く)
入院時の部屋代・食事代 異常がなかった場合の健康診断費
6ヶ月以上寝たきりの人のおむつ代(医師発行のおむつ使用証明書が必須) 転地療養のための引っ越し費用

上表はあくまでも一例なので、もし医療費控除の対象になるか不明な点があれば、コチラからお問い合わせもしくは、国税庁HPをご覧ください。

還付までの流れと必要書類

実際に医療費控除を申請して還付を受けるまでは、基本的には次のような流れです。

  1. 自分が医療費控除の対象者か確認
  2. 必要書類の準備
  3. 確定申告の時期(だいたい2/16~3/15)に税務署に提出
  4. 1~2ヶ月で還付金の受取

あなたが医療費控除の該当者なのかは、健康保険組合から送られてくる医療費通知をチェックしましょう。

冒頭でも説明しましたが、あなたもしくは同一生計者(配偶者、親族など)が*年間10万円を超える医療費を支払っていれば、控除の対象者です。

*総所得金額が200万円未満の場合、総所得金額の5%

申請時の必要書類は主に次の4種類。

  • 確定申告書A or B
  • 医療費控除の明細書
  • 医療費通知
  • 源泉徴収票(原本)※給与所得者のみ

確定申告書A or B(A→会社員、B→個人事業主)

確定申告書のAとBの違いは、ざっくりと以下のように区別しておけば大丈夫です。

厳密には、確定申告書Aは「給与所得、雑所得、配当所得、一時所得」のみ申告する場合で、確定申告書Bは所得に関係なく誰でも申告できるものです。

医療費控除の明細書

医療費控除の明細書も、申請するのに欠かせません。

次に紹介する「医療費通知」があれば、病院・薬局などの名称や費用を逐一記入する必要がなくなりました。(医療費通知に記載のない費用は記入が必要です)

そのため記入する箇所は、次の3つがメインです。

  1. 医療費通知に記載された医療費の額
  2. ①のうちその年中に実際に支払った医療費の額
  3. ②のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額

あとは住所・氏名・合計額などを記入すれば完成。(下図黄色枠参照)

医療費控除の明細書

医療費通知

毎年2月頃に健康保険組合、協会けんぽから送られてくる医療費通知があると、申請時の手間を大幅に減らすことが可能です。

医療費通知には、6つの事項

  1. 被保険者等の氏名
  2. 療養を受けた年月
  3. 療養を受けた者
  4. 療養を受けた病院・診療所・薬局等の名称
  5. 被保険者等が支払った医療費の額
  6. 保険者等の名称

が記載されているので、上記「医療費控除の明細書」内の医療費の明細を記入する手間が省けます。

かさばる領収書も添付しなくてよくなるので、医療費通知はなくさずにとっておきましょう。

ただし領収書は添付する必要はなくても、後々明細書の内容確認のために提出するケースがあるので、5年間の保管が義務づけられています。

源泉徴収票(原本)※給与所得者のみ

サラリーマンなど給与所得者は、源泉徴収票が必要になります。

確定申告時に源泉徴収票から転記する箇所があるので、原本の提出を忘れないようにしましょう。

還付金の計算方法と計算例

医療費控除を申請すると、実際にどのくらいの還付金が得られるのか解説していきます。

本記事の冒頭で医療費控除の控除額は、「支払った医療費ー保険金で補填される金額ー10万円」と紹介しましたが、これがそのまま還付金額になるわけではありません。

控除額=還付金ではない!

控除額が算出できたら、課税所得額に応じた所得税率をかけることで、実際の還付金額が計算できます。

所得税率は、下表をご覧ください。

所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万~330万円10%97,500円
330万~695万円20%427,500円
695万~900万円23%636,000円
900万~1800万円33%1,536,000円
1800万~4000万円40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円

【計算例】次のような額で医療費控除を申請したときの還付金額は?

  1. 課税所得額:500万円
  2. 支払った医療費の合計:100万円
  3. 保険金で補填された額:0円

①まずは医療費控除額を算出。

100万円ー0円ー10万円=90万円

②課税所得額に応じた所得税額を確認。

500万円の所得税率は20%

③医療費控除額に課税所得額に応じた所得税率をかける

90万円×20%=18万円←還付金額!

【特例】セルフメディケーション税制とは?

セルフメディケーション税制(別名:医療費控除の特例)は、2017年1月1日~2021年12月31日までにスイッチOTC医薬品を購入した場合、その費用を最大88000円まで控除することが可能な制度です。

この税制を利用すれば、医療費が10万円以上(総所得金額が200万円未満なら所得の5%以上)でなくても、12000円を超えていれば控除の対象になります。

セルフメディケーション税制の対象になるのは、スイッチOTC医薬品の購入費のほか

  • 特定健康診査
  • 予防接種
  • 定期健康診断
  • 健康診査
  • がん検診

上記の費用も控除の対象です。

ただしセルフメディケーション税制は、通常の医療費控除との併用ができないので、注意しましょう。

スイッチOTC医薬品とは?

スイッチOTC医薬品とは、元々医療用医薬品として販売されていたものが、ドラッグストアなどで手軽に買える一般用医薬品に転換(スイッチ)した医薬品のこと。

ちなみにOTCはOver The Counterの略称です。

厚生労働省によって「安全性が高く、効果に実績があって使い方が分かりやすいこと」が認められれば、スイッチOTC医薬品になります。

対象品目は厚生労働省HPで確認するほか、商品についている共通識別マークで確認することも可能です。(下図参照)

スイッチOTC医薬品

【医療費控除】3つの注意点

ここからは、医療費控除を申請する上での3つの注意点を紹介していきます。

  1. 医療費控除とセルフメディケーション税制の併用は不可
  2. 交通費の領収書がない費用は記録する
  3. マイナンバーの記入が必要

①:医療費控除とセルフメディケーション税制の併用は不可

セルフメディケーション税制の項でも記載しましたが、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制を併用することはできません。

そのため自身のその年の医療費を考慮して、どちらの控除を利用するのか、あらかじめ決めておきましょう。

②:交通費の領収書がない費用は記録する

通院時のバス・電車などの交通費も、医療費控除の対象になりますが、領収書が発行されないケースもあります。

その場合は…

  • いつ行ったのか
  • どこの病院にいったのか
  • いくらの医療費を払ったのか

を記録しておけば、交通費としての合計額を記入して控除することが可能です。

③:マイナンバーの記入が必要

2016年(平成28年)から、確定申告書を提出する際に

  • マイナンバーの記入
  • 本人確認書類の提示 or 写しの添付

が必要になっています。

そのため自身のマイナンバーがわからない場合は、マイナンバーカード通知カード住民票などで確認しましょう。

スマホで確定申告すれば、マイナンバーは不要!

2019年(平成31年)1月から始まったスマート申告を利用すれば、マイナンバーがわからなくても確定申告ができます。

マイナンバーなしで確定申告をする場合は、税務署で職員による本人確認をした後に「ID・パスワード方式の届出完了通知」が発行されるので、その通知にあるIDとパスワードを利用すればスマホからでも確定申告が可能です。

ただし主流はマイナンバーカードとICカードリーダライタを用いて申告する方法なので、あくまでも暫定的な対応ではあります。

スマート申告に関する詳細は、国税庁HPにも記載アリ。

必要事項をチェックして、いざ確定申告へ。

以上、本記事では医療費控除について基本的な事項から、必要書類還付額の計算方法特例注意点と、多岐にわたって紹介してきました。

医療費をある程度支払っている人なら、個人事業主やサラリーマン関係なく申告する必要のある医療費控除。

申告時には、漏れがないように準備を万全にしておきましょう。

もし不明な点があれば、いつでも下記よりご連絡ください。

※医療費控除を利用して、なるべくお金を浮かしていこう!

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