災害・盗難など不測の事態で資産が損失したときに利用するのが、雑損控除

もちろん災害や盗難などが起きないことが一番ですが、こちらで未然に防ぐことはできません。

万が一のときに備えて、あらかじめ雑損控除のことをチェックすることが大事です。

そこで本記事では、次のトピックを順番に紹介。

  • 雑損控除とは?
  • 雑損控除の対象となる災害・原因
  • 雑損控除の対象となる資産
  • 雑損控除の公式と計算例
  • 雑損控除を受けるための必要書類一覧
  • 『災害減免法による所得税の軽減免除』について

災害などで大事な資産が損失して出費がかさんでも、控除を利用してダメージを最小限に抑える知恵をお教えします!

雑損控除とは?中身をまるっと大解剖!

雑損控除とは、災害盗難横領など予測できないことが原因で資産が損失した場合、その損失額を所得から控除できる制度のこと。

確定申告の対象となる年に、次に挙げるような原因で損害を受けた場合、所得から差し引けます。

雑損控除の対象となる災害・原因

雑損控除の対象となる原因は、次に挙げる5つです。

  1. 自然災害(震災、風水害、冷害、雪害、落雷など)
  2. 人為災害(火災・火薬類の爆発など)
  3. 生物による異常災害(害虫被害など)
  4. 盗難
  5. 横領

ちなみに詐欺恐喝による損害は盗難の部類に入らないため、雑損控除の適用ができません。

不測な事態とはいえ、詐欺や恐喝は騙されるつもりがなくても、被害者自身が未然に防げたものとして扱われるので、雑損控除の適用外になります。

詐欺には細心の注意をはらわないとね…。

雑損控除の対象となる資産

雑損控除の対象となる資産には、次のような条件があります。

  1. 納税者本人の資産
  2. 納税者と*同一生計の親族の資産
  3. 生活するうえで*通常必要な資産

「同一生計の親族」判断基準

同一生計には明確な定義はないですが、判断の基準となる例は次のとおりです。

  • 日常生活で同居
  • 普段は別居しているが、休暇中は親族と同居
  • 別居中だが、親族から生活費などの送金がある

簡潔にまとめると、納税者と同じ財布で生活している親族(配偶者含む)と定義づければ、イメージが湧きやすいかもしれません。

さらにもう1点忘れてはいけないのは、同一生計の親族の総所得金額等が38万円以下(収入が給与のみの場合は103万円以下であるということです。

通常必要な資産として認められないもの

通常必要な資産ではない例は、主に次のようなものが挙げられます。

  • 事業に関連する棚卸資産や固定資産
  • 趣味・娯楽・保養・鑑賞目的の不動産
  • 1個(組)の価額が30万円超の贅沢品

ただし事業に関連するものは事業所得として、不動産や贅沢品は譲渡所得として控除可能な場合もあるので、雑損控除以外の控除も視野に入れて確認してみましょう。

雑損控除額の公式と算出するまでの2ステップ

「実際に雑損控除額は、どのように計算していくのか?」

ここからは、雑損控除額を算出するための公式具体的な計算例を確認していきましょう。

雑損控除額は次の2つの計算結果のうち、額の大きい方が採用されます。

  1. 差引損失額ー総所得金額等×10%
  2. 差引損失額のうち「災害関連支出金額」ー5万円

うん?難しい言葉が出てきたな…

ステップ①:まずは差引損失額を算出!

いきなり公式に当てはめる前に、まずは差引損失額を算出するところからスタートです。

差引損失額=損害金額+災害等に関連したやむを得ない支出の金額ー保険金による補填額

ここで言う損害金額とは購入時の金額ではなく、損害を受けた時点での金額(=時価)。

そのため減価償却ができる資産は、減価償却後の価額を計算します。

具体的な計算方法は、国税庁HPを参考にしてみてくださいね。

そして「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」に該当するのは、主に次のような費用。

  • 損害を受けた住宅・家財の取り壊しや撤去費用
  • 盗難・横領で損害を受けた資産の回復費用

ちなみに損失額が莫大で1年では控除しきれない場合、翌年以降3年に渡って繰越控除が可能です。

ステップ②:災害関連支出金額とは?

2つ目の計算方法にある「災害関連支出金額」に当てはまるのは、災害により損害を受けた住宅・家財の取り壊しや撤去費用のみです。

ステップ①で紹介した「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」は、盗難・横領で損害を受けた分も含まれるという点で、災害関連支出と細かな違いがあります。

雑損控除額の具体的な計算例

公式が理解できたら、具体例に則って雑損控除額を計算していきましょう。

例)自然災害により、資産が次のような損害を被った場合の雑損控除額は?

・総所得金額等:300万円

・損害金額:150万円

・災害等に関連したやむを得ない支出の金額:40万円

・保険金による補填額:50万円

【公式①】差引損失額ー総所得金額等×10%

差引損失額=150万円+40万円ー50万円=140万円

140万円ー300万円×10%=110万円

【公式②】差引損失額のうち「災害関連支出金額」ー5万円

40万円ー5万円=35万円

110万円>35万円

よって、公式①の110万円が雑損控除額です。

雑損控除を受けるための必要書類一覧

雑損控除を受けるための必要書類は、主に次の5種類です。

  1. 災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収書
  2. 被害の証明書類
  3. 保険金による補填金額がわかる書類
  4. 確定申告書A or B
  5. 給与所得の源泉徴収票の原本(給与所得者の場合)

①:災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収書

損害を受けた資産の撤去・回復費用など、災害等に関連したやむを得ない支出の金額がわかる領収書を保存しておきましょう。

この金額がわからないと、差引損失額の計算ができないため、雑損控除額を算出することができません。

②:被害の証明書類

被害に遭ったことを証明する書類も必要です。

  • 災害→被災(罹災)証明書
  • 盗難→盗難証明書
  • 横領→告発書(写し)

被災(罹災)証明書は、各自治体の役所で交付申請ができます。

盗難証明書や告発書に関連するものは、届出を受理した警察署へ発行依頼をしましょう。

③:保険金による補填金額がわかる書類

保険に加入していて災害等により保険金が支払われた場合は、補填された金額がわかる書類が必須です。

補填金額がわからないと、正確な雑損控除額が出せないので、手元にない場合は加入している保険会社などに問い合わせてみましょう。

④:確定申告書A or B

雑損控除だけに限らず控除全体に通ずるものですが、確定申告書を用意するのは大前提です。

  • 確定申告書A→会社員・パート・アルバイトなど給与所得者
  • 確定申告書B→個人事業主・フリーランス

該当する確定申告書の「雑損控除」の欄に、計算した控除額を記入して申告しましょう。

⑤:給与所得の源泉徴収票の原本(給与所得者の場合)

給与所得者の場合は、源泉徴収票の原本も忘れずに用意しておいてください。

2019年4月1日以降、源泉徴収票の添付や提示は不要になりました。

しかし確定申告書を作るときには、必要になってくるので、手元には用意しておくようにしましょう。

広がる選択肢!『災害減免法による所得税の軽減免除』

実は雑損控除以外にも、控除をする方法「災害減免法による所得税の軽減免除」があります。

場合によっては災害減免法のほうがオトクになるケースもあるので、一緒に確認していきましょう。

  • 災害減免法とは?
  • 災害減免法に該当する条件
  • 災害減免法を適用したときの控除額
  • 雑損控除との違い

ただし「雑損控除」と「災害減免法による所得税の軽減免除」の併用はできないので、その点は注意してくださいね。

災害減免法とは?

災害減免法は、災害によって住宅・家財が損失した場合に、所得税が軽減もしくは免除になる特例です。

災害による損失でやむを得ない支出が発生した場合でも、災害減免法を利用すれば、最大で所得税の全額が免除されるケースもあります。

ただし災害減免法を利用するには、いくつか条件があるので、あらかじめ確認しておきましょう。

災害減免法を利用する条件

災害減免法を利用するための条件は、次の3つ。

  1. 損害金額が損失を受けた住宅・家財の時価の1/2以上
  2. 災害に遭った年の*所得金額の合計額が1000万円以下
  3. 雑損控除と併用していないこと
*「所得金額の合計額」に含まれるもの

「所得金額の合計額」に含まれる金額は、次のとおりです。

・総所得金額(純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除後)

・分離課税の土地等に係る事業所得及び雑所得の金額

・特別控除後の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額

・申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額

・上場株式等に係る譲渡損失及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除後の申告分離課税の株式等に係る譲渡所得等の金額

・先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除後の申告分離課税の先物取引に係る雑所得等の金額

・山林所得金額及び退職所得金額の合計額

(出典:災害減免法による所得税の軽減免除|国税庁

上記すべての条件を満たせば、災害減免法を利用することが可能です。

実際に災害減免法による所得税の軽減免除を利用する際、どのくらいの控除額になるのでしょうか。

以下で確認していきます。

災害減免法を適用したときの控除額

災害減免法を適用したときの控除額は、次の表のとおり。

所得金額の合計額軽減・免除額
500万円以下所得税の額の全額
500万円超~750万円以下所得税の額の1/2
750万円超~1000万円以下所得税の額の1/4

所得金額の合計額が500万円以下なら、所得税が全額控除(=免除)になるので、雑損控除よりも災害減免法を利用したほうがメリットが大きくなることがほとんどです。

雑損控除と災害減免法を利用したときの違いはまだあるので、一緒に確認していきましょう。

雑損控除との違い

「雑損控除」「災害減免法を利用した軽減免除」の違いを、わかりやすく紹介していきます。

どちらの控除額が大きくなるのか、違いを確認しながら2通り試算してみましょう。

  1. 適用となる原因の幅が違う
  2. 所得金額の合計額が1000万円超だと一択
  3. 繰越控除の有無

①:適用となる原因の幅が違う

雑損控除は災害関連だけでなく、盗難や横領にも適用できましたが、災害減免法では災害関連の損失のみ適用されます。

災害関連での損失なら、控除額を比べる価値がありますが、盗難や横領での損害の場合は、雑損控除を選択するしかありません。

②:所得金額の合計額が1000万円超だと一択

災害減免法による所得税の軽減免除は、所得金額の合計額が1000万円を超えていると利用できません

そのためあなたの年間所得が1000万円以上だと、必然的に雑損控除のみとなるので、注意しましょう。

③:繰越控除の有無

雑損控除を選択すると、災害等による損害額が所得金額の合計額より大きい場合、翌年以降最長3年間にわたって繰り越して控除することができます。

一方、災害減免法を利用する場合はその年でしか利用できないので、損害額が大きい場合は雑損控除を選択したほうがいいでしょう。

控除額が多くなる方法を利用して確定申告しよう!

今回は雑損控除について…

  • 対象となる災害・原因と資産
  • 控除額の公式と計算例
  • 必要書類一覧

上記のトピックをはじめ、災害減免法による所得税の軽減免除についても紹介しました。

今回は2種類の方法を確認しましたが、ほかにも自治体などの救済措置はあります。

選択肢はあなたが思っている以上に多岐にわたるので、まずはリサーチして、一番メリットのあるものを選びましょう。

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