雇用者は、就業規則に関する以下の3つの義務を守らなくてはなりません。

  1. 作成義務
  2. 届出義務
  3. 周知義務

前回は「就業規則の基本事項」から、1つ目の【作成義務】に基づいて「作成方法」を紹介しました。

そして今回は2つ目、3つ目の【届出義務】【周知義務】について、以下の内容を解説していきます。

  • 就業規則の届出に必要な書類
  • 届出方法
  • 周知方法

どれも就業規則の効力を保つための大切な作業なので、間違いなく行えるかが肝心です!

流れに沿って進めていけば大丈夫!ボクに任せて!

【届出義務】就業規則を届け出る

就業規則が完成したら、届出作業を確認しましょう。

  • 就業規則の届出に必要な書類
  • 届出方法
  • 変更・改定があった場合の処理方法

一度で正確に届出られるように、しっかりと確認しながら進めてみてくださいね。

就業規則の届出時の必要書類

就業規則の届出に必要なのは、以下3つの書類。

  • 就業規則本体…2部(提出・控え)
  • 就業規則届出書…2部(提出・控え)
  • 意見書…2部(提出・控え)

もしいくつかの事業所において、本社と同じ就業規則を届出る場合、*一括届出制度の利用も可能です。

しかし今回は、本社のみの会社が提出する3つの書類に焦点を当てて説明していきます。

*一括届出制度とは

*一括届出制度とは、本社と事業所の就業規則をまとめて届け出られる便利な制度です。

この制度を利用する場合、上記で紹介した書類に加えて以下の書類を提出する必要があります。

  • 一括届出の対象事業所一覧表…2部(提出用・控え)
  • 一括届出の対象事業所の意見書…事業所ごと1部
  • 一括届出の対象事業所の就業規則本体…事業所を管轄する労働基準監督署ごとに1部

就業規則本体…2部(提出・控え)

あなたが作成した就業規則を、提出する用」「会社で保管する控え用」の2部をご用意ください。

2部提出し受領印を押して返却された方の1部を、会社に保管しておきましょう。

就業規則届出書…2部

就業規則届出書の形式は定められていませんが、東京労働局のホームページからダウンロードできます。

就業規則届

この形式は、就業規則届もしくは就業規則変更届として利用が可能です。

就業規則届として利用する場合には以下の点を修正してから記入するようにしてください。

  1. 「就業規則(変更)届」の「(変更)」を消す
  2. 冒頭の一文(「今回、別添のとおり~」)中の「・変更」を消す
  3. 「主な変更事項」その下の枠」をなくす

上記を修正してから残りの項目を埋めていきましょう。

意見書…2部

意見書も東京労働局のホームページからダウンロードできますが、とくに定められた形式はありません。

このフォーマットは、修正せずに利用可能です。

労働者の代表に意見を求める際は、以下の注意事項を先に伝えておきましょう。

  • 下の画像にある水色の吹き出しの内容
  • 記載する意見が特にない場合、空欄ではなく「特になし」「異議なし」などを記載すること

万が一労働者代表から賛同を得らえれなくても、意見に耳を傾けた証明として活用できるので、提出する必要があります。

意見書

【一口メモ】労働者が意見書の提出を拒んだ場合

前回の記事でも、意見書の提出を労働者に拒まれても問題ないという旨をお伝えしました。

しかし就業規則を作成するのであれば、労働者の意見を無視せずに、反対意見に真摯に向き合った方が良いでしょう。

なぜなら反対意見を無視していると、労使間の関係悪化により、同意の必要な労使協定を結べない可能性もあるからです。

実際に反対意見が出た場合は、

  • 就業規則説明会の実施
  • 代替措置の提示

などの策を講じてみてはいかがでしょうか。

2つの届出方法

就業規則を届け出るには、以下のどちらかの方法で行いましょう。

  1. 労働基準監督署に持っていく
  2. 労働基準監督署に郵送する

労働基準監督署に持っていく場合は、すぐに受理印が押された控えを受け取ることができます。

就業規則に違反などがあると、後々連絡が来るので、修正が必要です。

郵送する場合は、以下の2つも一緒に同封して郵送してください。

  • 返送用の封筒・切手
  • 送付状(送付した書類の種類・数量を記載)

控えに受理印が押されて返送されるまでに、1週間以上かかることもあるので、お急ぎの方は直接持っていった方がいいでしょう。

変更・改定するには?

就業規則を初めて作成し届出を行った方も、変更・改定する可能性がないとは言い切れません。

問題の発生する可能性がある場合は、速やかに変更・改定に向けて動き出しましょう。

ただし変更・改定については、労働契約法で以下のように定められています。

(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

(参考(一部抜粋):労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)

つまり労働者が不利になる内容への変更は、労働者の合意がない限りできません。

ただし変更後の就業規則を周知し、その内容が合理的である場合は、変更が認められます。

就業規則の変更・改定方法

就業規則の変更・改定は、作成時と手順はあまり変わりません

  1. 変更を反映した就業規則の作成
  2. 従業員などに意見を聴く
  3. 届出に必要な書類の作成

注意点も作成時とほとんど変わらないので、作成時の注意点を再確認しながら作業を行いましょう。

ただし届出の際に提出する書類については、以下の点において異なります。

  • 就業規則届出書ではなく、*就業規則変更届を提出
  • 就業規則本体については、変更部分のみを提出しても可

ちなみに、就業規則全体を提出する際は変更部分が目立つよう印をつけるなどの工夫が必要です。

*就業規則変更届作成の注意点

就業規則届出書の項目において、ダウンロードした形式を、就業規則変更届として利用できます。

就業規則変更届として利用する場合は、先に以下の点を修正しましょう。

  1. 「就業規則(変更)届」の「()」のみを消す
  2. 冒頭の一文(今回、別添のとおり~)中の「制定・」を消す

不要な箇所を消したあと、残りの項目を記入していけば、就業規則変更届の完成です。

就業規則変更届

【周知義務】就業規則を周知しよう!

就業規則が完成し届出も終えたら、就業規則を周知する作業です。

周知する作業において、押さえておくべき2つのポイントを説明していきます。

  • 周知するとは?
  • 周知の方法

周知方法を誤っていると、後々大変なことになるかもしれないので、ぜひ最後までご確認ください。

周知するとは?

周知するとは、従業員が就業規則を見たいときに見られる状況を提供すること。

つまり、就業規則を見る時に、誰かの許可や確認が必要な場合、周知しているとは言えません。

たとえば以下のようなケースは、周知できていないと見なされます。

  • 一部の人間のみが見られるような場所に保管する
  • 口頭のみで説明する

もし周知ができていないと、これからご紹介する裁判例のようなことが起きてしまうかもしれません。

A社には昭和61年8月に作成・届出が行われている就業規則(旧就業規則)がありました。

その後平成6年6月に就業規則を変更し、届出も済ませ、新就業規則を実施。

新就業規則を実施後、新就業規則に従い、トラブルを発生させたり上司に反抗的な態度を取る社員を懲戒解雇しました。

その社員は違法な懲戒解雇だと、損害賠償を請求。

裁判の結果、周知の手続きが取られているか認定されず、原審に差し戻されました。

なぜなら、その社員が働く事業所には就業規則が備え付けられてなく、周知されているとは断定できないからです。

(参考:フジ興産事件

つまり、周知していると認められない限り、その就業規則の効力は認められません

会社の秩序を乱す人を懲戒解雇しようとしても、就業規則が周知できていないと窮地に追い込まれる可能性も…。

このような事態にならないためにも、周知を徹底しましょう。

周知方法

最後に、実際に周知する方法をご紹介!

前回説明した第百六条において、以下の方法により周知することが定められています。

  1. 常時各作業場の見やすい場所へ掲示、又は備え付けること
  2. 書面を交付すること
  3. その他の厚生労働省で定める方法

①:常時各作業場の見やすい場所へ掲示、又は備え付けること

従業員にとって見やすい場所といえば、

  • 食堂
  • 休憩室
  • 図書を保管している場所

などが考えられるでしょう。

上記の場所であれば、誰もが自由に出入りできて、誰でも見られる場所なので周知していると言えます。

②:書面を交付すること

従業員が入社時に、就業規則を書面として手渡すのも手です。

就業規則を手渡しておけば、従業員が見る見ないは別として、周知していることにはなります。

しかし就業規則を変更したときなどは、再度交付する必要があるので、お気をつけください。

③:その他の厚生労働省が定める方法

それは、就業規則を磁器ディスクなどに記録し、各作業場にその記録内容を常時確認できる機器を設置する方法。

つまり、パソコン内に共有のデータとして就業規則を記録しておくことです。

普段からパソコンを使う業務の方は、いつでも確認できます。

しかしパソコンを日常的に使わない業種の場合、誰でも自由に使えるパソコンを数台用意しておくと良いでしょう。

雇用者の義務である届出・周知を忘れずに行いましょう。

今回は【届出義務】【周知義務】の2つに関する以下の内容を説明してきました。

  • 届出に必要な書類
  • 届出方法
  • 周知するとは
  • 周知の方法

いざという時に、あなたの会社を守ってくれるのは、就業規則です。

しかし届出を行うだけでは、法的効力はありません。

周知まで行ってこそ法的効力が認められるので、従業員全員に周知するようにしましょう!

ただし誤った方法では意味がないので、ご注意ください。

※就業規則の法的効力を味方に付けましょう!

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