「会社の人員整理をしなければならない…」

「一緒に働いていくのが難しい社員がいる…」

経営者として従業員の退職解雇の問題は、悩ましいもの。

人びとの未来に関わる難しい決断だからこそ、スムーズに行いたいですよね。

本記事で退職・解雇の種類や会社としての心構えを学び、着実に進めていきましょう。

退職と解雇の違い

退職と解雇の違い

従業員が辞める際は、退職か解雇の形式をとります。

両者の違いは、従業員が誰の意思で辞めるかという点です。

  • 退職労働者の意思で会社を辞めること
  • 解雇会社側の意思で労働者を辞めさせること

退職・解雇それぞれに種類があり、下記のように分けられます。

  • 従業員が自発的にする辞職…自己都合退職
  • 会社から従業員へ働きかけがある辞職…会社都合退職解雇全般

これらをふまえ、退職と解雇についてくわしく見ていきましょう。

退職とは

退職とは雇用契約が解消する形式の1つです。

退職のケースとして定年や労働者の死亡などがありますが、中でも経営者として意識すべき退職は、以下の2種類。

  • 自己都合退職
  • 会社都合退職

自己都合退職

自己都合退職

自己都合退職とは、退職の主な原因が従業員側にある退職のこと。

【具体的な事由】

  • 転職
  • 病気療養
  • 転居
  • 結婚

基本的に会社側は退職を希望する従業員に対し、雇用契約の継続を強制することはできません。

ただし雇用形態によって、従業員が辞められるタイミングは異なります。

雇用形態別の自己都合退職

従業員が退職できるタイミングは、下記の雇用形態別に異なります。

①:無期雇用の場合

雇用期間の定めがない無期雇用の場合、従業員はいつでも退職の申し入れが可能です。

退職の申し入れが使用者*に伝わってから2週間で、雇用契約は終了します。

法律上、退職にあたって使用者側の合意は必要ありません

退職申し入れの意思表示が、書面・口頭・メールなどで使用者に届けば、2週間経過によって退職の効果は発生します。

使用者*…この場合は会社において、雇用関係に権限・責任を持つ人

②:有期雇用の場合

期間の定めがある有期雇用の場合、雇用契約期間の途中で退職するには、やむを得ない事由が必要です。

例外的に1年を超える労働契約の場合、労働期間が1年を経過すれば、労働者は使用者に申し出ることでいつでも退職できます。

従業員が自発的にやめるのは、自己都合退職だけ!

会社都合退職

会社都合退職

会社都合退職とは、退職の主な原因があなた(=雇用主側)にある退職のこと。

あなたが退職を働きかけ、従業員が応じると成立します。

従業員にとっては、やむなく退職するケースが会社都合退職です。

【具体的な事由】

  • 経営難による人員削減
  • 倒産や事務所の廃止に伴う離職
  • 会社からの退職勧奨に応じた合意退職

また以下のような場合は、従業員から辞職を申し出ても会社都合退職となります。

  • いじめやハラスメントによる退職
  • 給与の減額があった
  • 会社の法令違反があった
退職勧奨とは

会社から従業員へ「自主退職のお願い」をすることを退職勧奨と言います。

あくまでも労使双方の合意によって成立するので、辞めるかどうかは従業員の自由

退職勧奨に従業員が応じた時点で退職について合意が成立し、合理的な理由がなくても有効になります。

しかし、執拗な退職勧奨や理不尽な理由を用いた場合は違法になるので注意が必要です。

解雇とは

解雇とは、退職と並び雇用契約が解消する形式の1つです。

簡単に言うと、会社側の意思で従業員を辞めさせること

解雇は使用者に認められた権利です。

しかし、自由に従業員を解雇できるわけではありません。

会社は人を雇用することについて大きな責任が課されているため、解雇には法律で厳しい制限が設けられています。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

(引用:労働契約法第16条)

解雇は法律的に見ると、その従業員に退職してもらいたいという会社側の一方的な意思表示です。

効力の発生には、従業員がその意思表示を受ける必要がありますが、従業員の同意までは必要ありません。

解雇するときに知っておくべき3つのこと

解雇を行う際に知っておくべきことは、大きく以下の3点です。

  1. 解雇事由が必要
  2. 解雇予告または解雇予告手当が必要
  3. 不当解雇に注意

①:解雇事由が必要

解雇を有効にするには、解雇事由を就業規則内に定めることが必要です。

解雇事由は労働基準法上、就業規則に必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項と、労働基準法89条3号で定められています。

解雇に相当する事例を、具体的に記載しておかなければなりません。

②:解雇予告または解雇予告手当が必要

②:解雇予告または解雇予告手当が必要

通常、解雇をする場合は解雇の30日前までにその旨を労働者に通知しなければなりません。

予告せず解雇するには30日分以上の賃金を解雇予告手当として支払う必要があります(労働基準法20条1項)。

解雇予告や解雇予告手当の支払いが不要のケース

労働者を保護するための解雇予告・解雇予告手当ですが、従業員の責に帰すべき事由に基づく解雇の場合、不要になるかもしれません。

労働者の責に帰すべき事由とは、労働者を保護する必要がないほど重大、または悪質な行為を指します。

【事由例】

  • 職場内での窃盗や横領、傷害など、刑法犯に該当する行為をしたとき
  • 会社の名誉や信用を著しく失墜させる行為をしたとき 
  • 出勤不良で、数回にわたって注意・指導を受けても改めないとき

上記のような事由の場合、会社の定める懲戒解雇事由に該当するかは問われません。

解雇予告・解雇予告手当の支払いを省略するためには、労働基準監督署の解雇予告除外認定を受ける必要があります。

これを受けないまま解雇予告・解雇予告手当の支払いを省略して解雇すると、労働基準法違反になるので要注意です。

③:不当解雇に注意

不当解雇とは正当な理由がなかったり、必要な条件を満たさずに行われる解雇のこと。

不当解雇は違法行為なので、経営者として正当な理由なく解雇を行わないようにしましょう。

解雇の種類

解雇にも種類があり、それぞれ適用される事由意味合いが異なります。

主な解雇は4種類です。

  1. 普通解雇
  2. 整理解雇
  3. 懲戒解雇
  4. 諭旨解雇

①:普通解雇

普通解雇とは、従業員が労働契約における義務を果たさないときに、就業規則に準じて行う解雇のこと。

従業員側が原因で労使間の信頼関係が破綻し、会社側の改善努力にも効果が見られなかった場合に行われます。

【事由例】

  • 病気による就業不能
  • 協調性の欠如
  • 度重なる無断欠勤や遅刻

②:整理解雇

整理解雇は、経営上の事由に基づく人員整理として行なわれる解雇のこと。

従業員側には落ち度のない解雇なので、権利の濫用に当たらないかは、普通解雇よりも厳しく判断されます。

整理解雇を行うには、適法となるための4要素に当てはまるかを、個別に検討することが必要です。

整理解雇の4要素

①:人員削減の必要性

人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること。

②:解雇回避の努力

配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと。

③:人選の合理性

整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること。

④:解雇手続の妥当性

労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法について納得を得るために説明を行うこと。

(引用:労働契約の終了に関するルール)

③:懲戒解雇

懲戒解雇は、事業主が会社の秩序を乱した労働者に課すことができる制裁罰の1つで、会社の罰則の中で最も重い処分です。

懲戒解雇では会社規定で退職金や解雇予告手当を不支給とする場合も多く、再就職も大変難しくなるなど従業員が受けるダメージは計り知れません。

そのため懲戒解雇を下すには、

  • 雇用契約や就業規則に懲戒処分となる事柄が具体的に定められていること
  • 処分の理由を明らかにした上で本人に弁明の機会を与えること

などが必要です。

【事由例】

  • 重大な経歴詐称
  • 会社の名誉を著しく害する重大な犯罪行為
  • 業務上横領

懲戒解雇を下すような事態が起こりませんように…

④:諭旨解雇

諭旨(ゆし)解雇とは、本来なら懲戒解雇になる重大な事由があるものの、会社側から温情措置がとられた解雇です。

諭旨とは、趣旨や理由を言い聞かせること。

一般的には処分対象者の反省具合や、過去の業績・功労が考慮されます。

諭旨解雇は法律用語ではないため、会社によってさまざまに取り扱われますが、解雇として処分を行う以上は、

  • 客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められること
  • 諭旨解雇にする理由の明示

が必要です。

(参照:「しっかりマスター労働基準法 解雇編」)

また、不当解雇としてトラブルにならないように、

  • 会社の就業規則及び労働契約書に諭旨解雇事由を明記すること
  • 会社からの諭旨を行うこと
  • 従業員に弁明の機会を与えること

など他の解雇と同様のステップを踏みましょう。

会社都合退職や解雇を行う際の心構え

従業員に対して会社都合退職や解雇を行うのは、会社として大きな決断です。

会社にとって悪いが起こる可能性もあります。

さまざまなケースを想定し、心構えを持ちましょう。

助成金受給への影響

助成金は、厚生労働省が管轄している雇用に関係した支援金です。

助成金を利用する条件の1つに、“労働関係の法令違反がないこと”が挙げられます。

そのため助成金を利用することで、厚生労働省に認められた労働環境の良い会社だとアピールすることが可能です。

一方で6ヶ月以内会社都合退職があると、労働者の生活の安定や健康維持といった助成金の趣旨にそぐわないため、助成金は受け取れません

もしあなたが助成金を受け取る目的で従業員に自己都合退職を促すと、助成金の不正受給になります。

不正受給が発覚すると、会社情報が公開されるなどの重いペナルティがあるので絶対にやめましょう。

また助成金の申請と同時に解雇が発覚すると、助成金を返還しなければならない場合もあります。

訴訟などのトラブルに発展する可能性

退職・解雇関連では、労使間でのトラブルもよく発生します。

こじれると、訴訟に発展することもあるので要注意です。

会社都合退職・解雇のそれぞれで考えられる問題をみていきましょう。

  1. 会社都合退職におけるトラブル
  2. 解雇におけるトラブル

①:会社都合退職におけるトラブル

会社都合退職によって従業員と揉めるケースは、主に退職勧奨によるものです

退職勧奨の方法を間違えると退職強要となり、不法行為になります。

退職強要になるのは、以下のような方法です。

  • 長時間・複数回に渡り行う
  • 脅迫的な態度や言動で行う
  • 退職させるべく仕事を取り上げたり、配置転換をする

上記のような手段は決してとらず、言葉選びに注意した退職勧奨を心がけましょう。

また退職勧奨に従業員が同意して話し合いがまとまったら、退職届を提出してもらうことも重要です。

退職届は、従業員による退職の承諾を示す書類になるので、忘れずに提出してもらいましょう。

②:解雇におけるトラブル

会社が従業員を解雇するには、数多くの条件をクリアしなければなりません。

条件を満たさないまま解雇を突き付けると、不当解雇になります。

トラブルの元凶になる不当解雇を行わないよう、解雇は慎重に行いましょう。

【不当解雇に該当しうるケース】

  • 業務態度への注意・指摘をせずにいきなり解雇
  • 業務上で発症した疾病に対する解雇
  • 労働組合に加入したことへの解雇

不当解雇と訴えられて敗訴すると、金銭面や会社に対するイメージへの打撃は避けられません。

会社のイメージや社内への影響

会社のイメージや社内への影響

解雇や退職者の数は離職率に直結するので、あまりにも処分が多いと「働きやすい会社」というイメージから離れてしまいます。

また解雇や退職はナイーブな問題なので、従業員の不安をあおったり、モチベーションの低下を招きかねません。

元従業員にネット上で悪評を流される可能性もあります。

労働契約を解除する手順

ここからは、実際に従業員との労働契約を解消しようと考えた場合に、どのような手順で進めるべきかをご紹介します。

大まかな流れは以下の通り。

  1. 本人に問題点を注意し、改善を促す
  2. いきなり解雇ではなく退職勧奨をする
  3. 最終手段として解雇を検討する

①:本人に問題点を注意し、改善を促す

まずは問題のある従業員にはっきりと注意し、改善を促します

改善が見られず解雇に至る場合でも、「会社として従業員を雇用し続ける努力をした」という事実が必要です。

それでもダメなら始末書の提出減給などの重い懲戒処分を与えて様子を見ます。

基本的に犯罪行為や業務上の横領などの悪質なケースでなければ、改善を図るステップを踏みましょう。

②:いきなり解雇ではなく退職勧奨をする

注意・指導の結果、改善が見られなかったときに行うのが退職勧奨

従業員と話し合いの機会を設け、退職の了解を得ることを目指しましょう。

了解を得て、退職届を提出してもらえれば会社都合退職となります。

できるだけ解雇を避け、不当解雇トラブルを回避することが大切です。

③:最終手段として解雇を検討する

退職勧奨に応じなかった場合の最終手段解雇です。

対象となる従業員の問題点によって、適正に解雇の種類を決定します。

さらに解雇には予告解雇即日解雇がありますが、オススメは即日解雇です。

即日解雇のメリット

即日解雇のメリット

即日解雇には以下のメリットがあります。

  • 情報持ち出しの防止
  • 解雇を予告された従業員による嫌がらせの防止
  • 解雇日以降、対象従業員に対する社会保険料の負担がなくなる

他の従業員を守る意味でも、金銭面においてもメリットがあるので、引継ぎなどの事情がなければ即日解雇を適用しましょう。

退職・解雇は、法律に照らし合わせて適正に行いましょう!

本記事では、

  • 退職と解雇の違い
  • 退職と解雇の種類
  • 会社としての心構え
  • 実際に行う際の手順

について説明してきました。

従業員に退職を促したり、解雇を行うのはデリケートな問題です。

法律に沿って適切に行うことはもちろん、一緒に働いてきた「仲間に接する」という意識を忘れずに、誠意をもって進めましょう。

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