起業したら事業者に降りかかるのは、消費税の支払い。

しかしすべての事業者に支払う義務があるわけではありません。

消費税の課税事業者免税事業者には、あるボーダーがあります。

そこで今回は・・・

  • 消費税の課税事業者になるボーダー
  • 課税事業者になった場合の必要な届出書

上記2つのトピックを中心に解説。

突然消費税の請求がきて慌てふためく前に、あなたの会社が消費税の課税事業者 or 非課税事業者なのか、確認だけでもしておきましょう。

消費税の課税事業者になるボーダー

消費税の課税事業者になるボーダーは、一言でまとめると「2年前の売上が1000万円を超えているか」です。

詳しく説明すると、基準期間課税売上高が1000万円を超えた場合に限ります。

基準期間とは?

基準期間は法人の場合、前々事業年度

つまり3月決算の会社で、2019年4月1日~2020年4月1日分の確定申告をする場合は、2事業年度前の「2017年4月1日~2018年4月1日」が基準期間に該当します。(※個人事業主は1月1日~12月31日の1年間。)

課税売上高とは?

課税売上高とは、消費税課税の対象となる取引の売上のことで、

  • 賃貸料収入
  • 介護保険サービス
  • その他政策的な配慮で非課税になった取引の売上

上記のような売上は除きます。

消費税の課税事業者になった場合、必要になるのは届出書を税務署に提出することです。

以下では、ケース別に必要な届出書を紹介していきます。

ケース別に見る!税務署への届出書 7パターン

あなたの会社が消費税の課税事業者になった場合、必要な届出書はケースにより異なるので、当てはまる書類を提出しましょう。

  1. 課税売上高が1000万を超えた場合
  2. 資本金1000万円以上で起業する場合
  3. あえて課税事業者になるとき・再び免税事業者に戻るとき
  4. 2事業年度以降で課税売上高が1000万円以下になった場合
  5. 簡易課税方式を利用する場合・やめる場合
  6. 課税期間を「1ヶ月ごと・3ヶ月ごと」にする場合・やめる場合
  7. 税抜1000万円以上の高額な商品を仕入れた場合

①:課税売上高が1000万を超えた場合

消費税課税事業者届出書

課税売上高が1000万円を超えたら税務署に必ず提出するのは、消費税課税事業者届出書です。

消費税課税事業者届出書には…

  1. 基準期間用
  2. 特定期間用

2種類があるので、間違えないようにしましょう。

基準期間用特定期間用の違いは、以下で説明しています。

基準期間と特定期間について

基準期間は上記でも説明したように、

  • 法人…前々事業年度
  • 個人事業主…前々年(1月1日~12月31日)

上記いずれかの期間の課税売上高が1000万円を超えた場合に提出します。

一方、特定期間は…

  • 法人…前事業年度の開始日~6ヶ月
  • 個人事業主…前年の1月1日~6月30日

上記いずれかの半年間のこと。

半年間での課税売上高(もしくは給与等の合計額)が、1000万円を超えている場合は、特定期間用の消費税課税事業者届出書を提出しましょう。

②:資本金1000万円以上で起業する場合

消費税の新設法人に該当する旨の届出書

資本金が1000万円以上の会社を設立した場合は、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」を提出します。

新しく会社を設立(=新設法人)の場合は、基準期間という概念がありません。

しかし資本金を1000万円以上で起業すると、最初から資金力がある会社とみなされるため、向こう2事業年度まで消費税課税の対象です。

ちなみに、資本金が1000万円未満でも課税の対象となるケースもあるので、以下で主な例を2つ紹介していきます。

ケース①:バックに別の会社がある場合

ケース①:バックに別の会社がある場合

資本金が1000万円未満でも課税事業者になるのは、

  • 株式の50%以上の出資を受けている会社(子会社)
  • 課税売上高が5億円を超える大企業から出資を受けている会社

など単独の会社でなく、バックに別の会社(親会社など)がついている場合は、資本金の額に関わらず課税対象です。

ケース②:特定期間に課税売上高が1000万円超の場合

ケース②:特定期間に課税売上高が1000万円超の場合

上記の特定期間の説明箇所でも紹介しましたが、特定期間である以下の期間中に、課税売上高が1000万円を超えたときも、課税対象です。

  • 法人…前事業年度の開始日~6ヶ月
  • 個人事業主…前年の1月1日~6月30日

また課税売上高だけでなく、給与等の支払い額の合計も1000万円を超えると課税事業者になるので、頭に入れておきましょう。

【マメ知識】免税事業者が必ずしもおトクとは限らない!?

課税売上高もしくは資本金を1000万円を超えないようにして、免税事業者になったほうがおトクと考える人もいるかもしれないですが、必ずしもそうとは限りません。

なぜなら消費税には還付金制度があるからです。

もちろん還付金を受けるには様々な手続きが必要になりますが、設立時に多額の設備投資をした場合、免税事業者になるより還付金を申し込んだほうがおトクになることもあります。

そのため、何もしなければ免税事業者になるにも関わらず、あえて課税事業者になる届出書もアリ。

以下③では、その届出書について説明していきます。

③:あえて課税事業者になる場合・再び免税事業者に戻る場合

③:あえて課税事業者になる場合・再び免税事業者に戻る場合

上記の【マメ知識】でも紹介したように、還付金を受ける前提であえて課税事業者になる場合もあります。

その場合は、「消費税課税事業者選択届出書」が必要です。

ただし一度課税事業になる申請をすると、課税売上高が向こう2年は取り消して免税事業者に戻ることができないので、注意しましょう。

還付金の額と免税額を天秤にかけたうえで免税事業者に戻る場合は、消費税課税事業者不適用届出書を提出します。

目先の策にとらわれず、長い目で節約になるのか考えよう!

④:2事業年度以降で課税売上高が1000万円以下になった場合

④:2事業年度以降で課税売上高が1000万円以下になった場合

はじめのうちは課税売上高が1000万円を超えていて課税事業者だったものの、2事業年度以降で売上が1000万円以下になった場合、「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」が必要です。

ただし上記「資本金1000万円未満でも課税事業者になるケース」に当てはまる場合は、1000万円以下になっても課税対象になります。

⑤:簡易課税方式を利用する場合・やめる場合

原則課税方式と簡易課税方式

消費税を計算するときに利用する方法は、下記2種類。

  • 原則課税方式
  • 簡易課税方式

簡易課税方式を使って消費税額を計算する場合は、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出します。(簡易課税方式をやめるときは「消費税簡易課税制度不適用届出書」を提出)

以下で原則課税方式と簡易課税方式の違いを見ていきましょう。

消費税の計算方法①:原則課税方式

オーソドックスな計算方法は、原則課税方式。(本則課税方式とも)

単純に「売ったときに得た消費税 ー 仕入れる際に払った消費税」の差額分を納税します。

例)108円で仕入れた商品を324円で売った場合の納税額

・仕入れ時の消費税額…8円

・販売時の消費税額…24円

納税額…24(円)ー 8(円)=16(円)

原則課税方式の場合、売上高のすべてが消費税が課税される取引なら問題ありませんが、非課税になる取引が含まれているときは要注意。

課税対象の取引と非課税対象の取引が混在していると、課税売上高に対応する仕入高を計算する必要があるので、納税額を求めるのに手間がかかります。

計算時の手間を省きたいときは、以下の簡易課税方式を検討することもオススメします。

消費税の計算方法②:簡易課税方式

会社の課税売上高が5000万円以下のときに使える計算方法が、簡易課税方式です。

簡易課税方式では、あらかじめ定められている「みなし仕入れ率」をかけることで控除仕入税額を算出します。(下表参照)

事業種類主な業種名みなし仕入れ率 (%)
第1種事業卸売業90
第2種事業小売業80
第3種事業製造業、建設業70
第4種事業飲食店業など60
第5種事業サービス業、金融・保険業など50
第6種事業不動産業40

この方法なら取引に課税と非課税が混在していても関係なく、控除する税額が決まっているので、納税額を求める手間の大幅な省略が可能です。

具体的な計算例は、以下を参考にしてみてください。

例)小売業を営む会社の課税売上高が税抜800万円だった場合の納税額(消費税率は8%とする)

・800万円の消費税額…800万(円)× 8%=64万(円)

・小売業のみなし仕入れ率=80%

・控除仕入税額=64万(円)× 80%=51万2000(円)

納税額…64万(円)ー 51万2000(円)=12万8000(円)

⑥:課税期間を「1ヶ月ごと・3ヶ月ごと」にする場合・やめる場合

消費税課税期間特例選択・変更届出書

課税事業者になるかは、基準期間の課税売上高が1000万円を超えるかで判断されます。

この基準期間は、通常だと前々事業年度です。

ただし多額の設備を導入するなどで、一刻も早く消費税の還付を受けたいとき、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出すると、課税期間を1ヶ月もしくは3ヶ月ごとに区切ることができます。

課税期間の特例を適用(もしくは変更)したい期間の初日の前日までに税務署へ提出しましょう。

ちなみに特例期間の適用を中止する場合は、「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を提出します。

⑦:税抜1000万円以上の高額な商品を仕入れた場合

課税売上高が1000万円以下でも、税抜1000万円以上の商品(=高額特定資産)を仕入れると、課税事業者になります。

高額特定資産を仕入れる場合は、「高額特定資産の取得に係る課税事業者である旨の届出書」を速やかに提出しましょう。

まずは「課税 or 免税」事業者か確認するところから!

ここまで消費税の課税事業者になるボーダーと、課税事業者になった場合に必要な届出書についてまとめてきました。

最後におさらいすると、課税事業者になるのは「2年前の売上が1000万円を超えているか」です。

また課税事業者になると、届出書が必要になるケースが出てきます。

今回は大きく分けて7つの届出書を紹介。

  1. 消費税課税事業者届出書(基準期間用・特定期間用)
  2. 消費税の新設法人に該当する旨の届出書
  3. 「消費税課税事業者」選択届出書・不適用届出書
  4. 消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書
  5. 「消費税簡易課税制度」選択届出書・不適用届出書
  6. 「消費税課税期間特例選択」変更届出書・不適用届出書
  7. 高額特定資産の取得に係る課税事業者である旨の届出書

難しい言葉ばかりで理解するのが大変なこともありますが、少しずつかみ砕いて自分の会社に必要な届出書を見極めましょう。

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