2002年時点では45%いた白色申告者が、2016年には13%まで下回りました。

(参考:個人の青色申告者数の推移個人事業主店舗の8割が青色申告を利用

このデータによれば青色申告者が大多数を占めるものの、まだ1割ほどの方が白色申告を利用しています。

その方達は、どのような理由があって利用しているのでしょうか。

もしその1割ほどの方が白色申告を利用している理由に当てはまった場合、白色申告の方が適している可能性も…。

今回は青色申告と白色申告を比較した上で、白色申告の概要を説明していきます。

あなたは、白色申告の方が向いてるタイプ?

①:青色申告と白色申告の違い

青色申告と白色申告の大きな違いは、以下4点です。

  • 事前申請
  • 優遇措置
  • 帳簿づけの難易度
  • 確定申告書類の量

これらの点について、1つずつどちらの方が有利か考えてみましょう。

事前申請

青色申告 白色申告
青色申告申請書を作成

期限内に提出

(取り消される場合もアリ)

事前申請なし

白色申告の場合は事前申請の必要はなく、確定申告期限までに申告すれば、白色申告で申告したことになります。

事前申請がある青色申告に比べれば、白色申告は事前申請の必要がないので便利です。

優遇措置

青色申告 白色申告
アリ

所得からの控除・赤字の繰越

経費にできるものが多い

ほぼナシ

(「事業専従者控除」は利用できる)

青色申告だと受けられる優遇措置がいくつかありますが、白色申告ならではの優遇措置がほぼないため、青色申告の方が有利です。

しかし基本的に受けられる社会保険料控除などの所得控除は受けられます。

白色申告だと何も控除されないという訳ではないので、ご安心ください。

「事業専従者控除」の利用

白色申告の場合は、基本的に家族の給与は必要経費として認められません。

ただし以下の事業専従者の条件に当てはまると、「事業専従者控除」が受けられます。

  • 白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
  • その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
  • その年を通じて6月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること

(国税庁/「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」)

この控除を利用すると、事業専従者に該当した人の給与を必要経費とみなし、所得から以下の控除額を差し引くことが可能です。

  • 配偶者…86万円
  • 配偶者以外…50万円

この控除を受けると、その家族は配偶者控除などを受けられなくなるので、どちらの方が節税になるのかあらかじめ確認しておきましょう。

帳簿づけの難易度

青色申告 白色申告
難易度高め

(複式簿記の場合、簿記の知識を要する)

難易度低め

(簿記の知識がなくてもできる)

白色申告の帳簿づけは、簡易簿記よりカンタンな方法なので、家計簿が書ける方は大丈夫です。

青色申告で選択できる簡易簿記は、帳簿の形式が定められていますが、白色申告にはそのような制約はありません。

そのため青色申告より、白色申告の方が帳簿づけの負担は少ないでしょう。

確定申告書類の量

青色申告 白色申告
最大3種類

(受ける特別控除の金額

決算の状況により、提出書類は異なる)

3種類

青色申告と白色申告の書類の種類数は一緒ですが、青色申告の方が書類作成の難易度が高いです。

その点からも比較的に書類作成がカンタンな白色申告の方が、楽に確定申告できるでしょう。

白色申告向きの方

以上4点を踏まえて手間暇がかからないのは白色申告ですが、手間暇はかかるとしても優遇措置がある青色申告は魅力的に見えますよね。

しかし以下に当てはまる場合は、白色申告の方が向いている可能性は高いでしょう。

  • 事業規模が小さい
  • 毎年赤字が確実
  • 帳簿の動きが少ない
  • 事務処理をする時間が取れず、手伝いができる人もいない

青色申告は黒字を前提として優遇措置が設けられているため、赤字が続いている方節税効果はありません

節税効果がないのに、わざわざ会計処理の難しい青色申告を選択する必要はないでしょう。

また複雑な会計処理や事務処理を行うのが厳しい方は、白色申告を利用した方が無難です。

私のことだ!と思ったあなた。しっかりと読み進めていきましょう。

②:白色申告とは?

白色申告とは、優遇措置が受けられない分、簡単に所得税を申告できる申告方法です。

白色申告で申告していて以下に当てはまると、推計課税が適用される可能性があります。

  • 帳簿書類が存在しない
  • 税務調査・帳簿書類の提示を拒否する
  • 帳簿書類の信用性に疑問がある

確定申告*…確定申告とはどんなことをするのかと疑問に思った方はコチラをご覧ください。

推計課税とは

推計課税とは売上や所得、経費の実態が分からない場合に、さまざまな基準に則して推測し、課税金額を計算する方法です。

本来ならば、税務調査で信用性の高い帳簿書類を確認できれば、正しい課税金額を決められます。

ただしその際に帳簿書類が確認できないからと言って、課税しない訳にはいきません。

そのため、税務署側が以下のような基準に則して推計課税を行い、税負担の公平性を保っています。

  • 同規模同業者の収入金額と仕入金額の差
  • 水道光熱費やその他事業に必要な経費の金額

もし同業他社より稼いでいない場合、本来の納税額より多く税金を納めることになりかねません。

先に挙げた3つに当てはまらないように、常日頃からしっかりと帳簿書類の作成・管理をしましょう。

白色申告における“経費”とは

“経費”とは基本的には「事業運営のために必要な支出」のことです。

たとえば、以下のように様々なものが挙げられます。

  • 交通費・宿泊費
  • インターネット代・通信費
  • 接待費
  • 修理費用
  • 文房具・パソコンなどの備品
  • 自動車
  • 保険料
  • 家賃

ただし事業のために利用した分のみ経費として計上できるので、注意しましょう。

つまり水道光熱費などまとめて支払っているものでも、私用で利用した分計上できません

“家事按分”ってどういうこと?

個人事業主の方にとっては、私用とまとめて支払っている支出のうち、いくらを事業用とするのかを判断する“家事按分”が必要不可欠です。

以下の具体例を見て、どのように“家事按分”するのか見てみましょう。

<例>10万円の家賃

フリーライターY田さんの仮定条件は以下の通りです。

  • 妻との2人暮らし
  • 2LDK(55㎡)のうち、1部屋(11㎡)を仕事部屋として利用
  • 家賃は、20万円
  • 仕事時間は1日あたり9時間

この場合は、仕事に利用している面積がしっかりと把握できるため、以下の計算により1ヶ月分の家賃が求められます。

  • 部屋の面積から仕事に使う割合(11㎡÷55㎡=0.2=20%)を出して、20万円×20%=40,000円

もし仕事で利用する面積が分からないときは、以下のように時間から算出しましょう。

  • 1ヶ月の仕事時間(270時間)から算出して、20万円×270時間÷720時間=75,000円

どちらにせよ、客観的かつ合理的で、誰もが納得する方法により算定しなければいけません。

節税したくても、多めに事業用にしちゃダメだよ~
家事按分は個人の裁量?

経費としていくら計上するかは、裁量に任されていると言っても過言ではありません。

そのため一口に「いくらからはおかしい!」と言えないのが実情です。

しかし以下2点の視点から見て、税務署が「おかしい。」と判断すると、税務署から指摘される可能性が高まります。

  1. 収入に比べて、経費がかかりすぎている(売上高100万円の会社が接待1回あたり5万円)
  2. 業種ごとの平均値と逸脱している(備品の消耗が激しい業種ではないのに、備品がたくさん計上されている)

そして税務調査の対象となり、その経費が認められなかった場合、修正・納付しなければなりません。

またこの際に推計課税が適用されると、本来の納税額より多く税金が請求されることもあります。

【税務調査の対象】

個人事業主が税務調査の対象となる確率は、平成28年時点で1.1%(引用:税務行政の現状と課題)

白色申告であっても、所得金額が少なくても、税務調査の対象ではあります。

そしてその対象となりやすいのは、売上高が900万円~1000万円を行ったり来たりしている会社。

なぜなら消費税の課税対象が「売上高1000万円を超えた会社」だからです。

そのため「消費税の課税対象にならないように、売上高を推移させているのでは?」と怪しまれて、税務調査が入る可能性もあります。

税務職員も様々な企業を見ているので、そう簡単にはごまかせません。

調査により実際の納付額に加えて、ペナルティによる税金が課される前に手を打つべきです。

③:白色申告の帳簿づけ

以前は少額な所得しかない白色申告者は、記帳義務が免除されていました。

しかし平成26年1月より、すべての白色申告者に対して、“記帳”“保存”が義務化

どんなに所得や帳簿の動きが少なくても、以下2点は必ず行わなければなりません。

  • 簡単な方法による記帳
  • 帳簿・領収書などの控えを保存

簡単な方法による記帳

白色申告の場合、以下4点の取引に関する年月日・相手方の名称・金額を整然と、明瞭に記録した帳簿(=法定帳簿)を作成します。

  • 売上
  • 仕入
  • 経費
  • 雑収入

この記載事項さえ記入してあれば、ノートに手書きでも、Excelでも、会計ソフトを利用しても構いません。

帳簿づけを始める際に、あなたが表などを作成する場合、以下の点を意識してみてください。

  • あなたの事業において、仕入れるモノがなければ、仕入欄を帳簿に作成しなくていい
  • 収支内訳書に記載のある経費科目を用いて帳簿づけしておく
  • 納品書や請求書の控えなどで内訳が確認できるなら、1日の合計金額で記帳してもいい
  • 軽減税率対象品目(8%)の記帳方法

(参考:税務署/帳簿の記帳のしかたー事業所得者用ー(令和元年分対応))

軽減税率対象品目の記帳方法

令和元年10月1日から消費税増税(10%)に伴い、軽減税率(8%)も導入されました。

もし仕入の際に10%と8%のものが混ざっている場合、8%のものは軽減税率対象品目として扱う必要があります。

帳簿づけの際に以下のような習慣をつけておけば、後で10%か8%か迷わずに済むでしょう。

  • 金額はすべて税込みで記入
  • 8%のものは、購入した商品名の横に※を付す
  • 帳簿の隅に「※は軽減税率対象品目」と記載

帳簿づけの例

帳簿・領収書などの控えを保存

記帳している帳簿や、以下に挙げる4点などの書類は保存しておきます。

  • 領収書
  • レシート
  • 請求書の控え
  • 納品書の控え

これらに加えて、事業に関する入出金を把握できる通帳も保存しておきましょう。

事業用と私用を分けた方が楽ではありますが、分けていなくても大丈夫です。

保存期間が以下のように定められているため、税務調査のときに帳簿や書類を提示できないと、申告内容が怪しまれてペナルティを受けるかもしれません。

  • 法定帳簿…7年
  • 任意で作成した帳簿・書類関連…5年

また最大7年前までさかのぼって税務調査される可能性があるので、しっかりと作成・保存しておきましょう。

普段から帳簿をつけるクセをつけないとね。

④:白色申告用紙の書き方

白色申告で確定申告する場合、以下3点を提出する必要があります。

  1. 収支内訳書
  2. 各種控除関係の書類
  3. 確定申告書B

2つ目以外の書類は、国税庁のHPからダウンロードが可能です。

今回紹介する順番で作成していくと、すんなりと作成できるので、実践してみてください。

①:収支内訳書

収支内訳書

収支内訳書とは1年間の

  • 収入
  • 売上原価
  • 経費

などを記載し、その年の事業による所得金額(=利益)を計算する2枚組の用紙です。

この収支内訳書には、一般用・不動産所得用・農業所得用の3種類があります。

不動産所得・農業用所得がない方は、一般用をご利用ください。

②:各種控除関係の書類

白色申告の方が受けられる基本的な所得控除は、最大15個

所得控除を受けるには、それぞれの条件に当てはまり、その控除を受けるための書類を用意する必要があります。

下記の記事で以下2点をご確認の上、書類を準備してみましょう。

  • どの控除が受けられるのか
  • その控除を受ける際に必要な書類

③:確定申告書B

確定申告書B

確定申告書Bは、白色申告・青色申告に関わらず、

  • 事業所得
  • 不動産所得

などがある個人事業主の方が、所得税を申告する2枚組の用紙です。

確定申告書A給与所得、公的年金等・その他雑所得、一時所得、配当所得のみで、予定納税のない会社員の方などが利用する)もあるので、間違えないように注意しましょう。

⑤:白色申告の流れ

白色申告を利用する場合、確定申告の流れは以下のとおりです。

  1. 日々の帳簿づけ
  2. 12月末に決算を行う
  3. 白色申告の必要書類を作成・提出

法人化や廃業をしない限り、毎年この流れに沿って確定申告を行います。

この流れに乗って,スムーズに確定申告しましょう!

①日々の帳簿づけ

日々の帳簿づけについては、上記にて説明しているので、そちらを参考にしてみてくださいね。

確定申告のことを考えて、確定申告書類を作成しやすいように工夫しておくと「決算」のときに慌てなくて済むでしょう。

決算をカンタンに済ます秘訣を知りたい方は、スタートアップ会計事務所にぜひご質問ください。

②12月末から「決算」を行う

所得税の確定申告では、1年間(1月1日~12月31日)の所得を申告するので、12月末から「決算」を行わなければなりません。

下記作業を行い、収入・経費・資産の金額を確定させることを「決算」と言います。

  • 商品や備品の棚卸(12月31日時点の在庫確認)
  • 帳簿残高と領収書・通帳などの書類の照合・科目ごとに合計額の算出
  • 帳簿の整理(その年の収入・費用のみを計上)
  • 固定資産の動きを確認・減価償却費の計上
  • 事業用固定資産が損壊した際の損失額の計上
  • 貸倒れた債権の確認・貸倒引当金繰入(かしだおれひきあてきんくりいれ)の計上
  • 家事按分(決算で行う方のみ)
  • 消費税等の処理(決算で行う方のみ)

12月末時点で終わらない作業もあるので、それは3月の確定申告期限に間に合うように行いましょう。

③白色申告の必要書類作成・提出

白色申告において必要書類は下記3種類です。

  • 収支内訳書
  • 各種控除関係の書類
  • 確定申告書B

詳しい内容は上記にてご確認ください。

これらを3月の確定申告期限までに作成し、提出しなければなりません。

確定申告の受付期間は、青色申告と同様で、基本的には2月15日~3月15日です。

ただしその日が祝日と被っていた場合は、翌平日*にズレます。

翌平日*…令和元年(2019年)申告分は、2020年2月16日も3月15日も日曜日なので、1日ズレて2月17日(月)~3月16日(月)が申告期間です。

キホンを押さえて、白色申告ですんなり確定申告

今回は下記5点のキホンを押さえて、白色申告を選択する方を後押ししてきました。

  1. 青色申告と白色申告の違い
  2. 白色申告とは?
  3. 白色申告の帳簿づけ
  4. 白色申告用紙の書き方
  5. 白色申告の流れ

本当に面倒だけど申告しない訳にいかない方に、白色申告がオススメなのは本当です。

しかし本当に面倒で仕方ないなら、税理士などに依頼して青色申告にした方が何かと安心かつ、ラクかもしれません。

なぜなら、以下のような理由があるからです。

  • 確定申告で何かミスした場合、税務署に目をつけられ、税務調査・推計課税の可能性が生じる
  • 依頼すれば、あなたの会社に適した方法を選択・申告してくれる
  • 税務のプロ・税理士が節税対策などの相談に随時乗ってくれる

とにかくラクして安全に申告したい方は、税理士に一度、相談してみてくださいね。

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