【美容室の開業】にはどんな資格やどのくらいの資金が必要になる?
- 記事監修 大堀 優
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税理士・大堀優(オオホリヒロシ)スタートアップ税理士法人代表。1983年、愛媛県出身。2013年に税理士登録をした後、2015年2月に独立開業しスタートアップ会計事務所を設立。 2017年1月、社会保険労務士事務所を併設する。2021年6月に会計事務所を税理士法人化、8月に横浜オフィスを開設。
【会社設立をしたい方へ一言】みなさんの不安を払拭できるように、“話しやすさNo.1の事務所”として寄り添ったサポートを心掛けています。なんでもお気軽にご相談ください!
「美容室を開業するには、どんな資格がいるんだろう?」
「美容室を開業したいけど、資金はいくら用意しておけばいいの?」
そんな疑問を抱えている方のために、今回は次のトピックを中心にお送りしていきます。
- 美容室開業に必要な資格
- 美容室開業に必要な届出
- 美容室開業に必要な資金
- 美容室開業までの流れ
- 目次
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美容室開業に必要な資格
美容室の開業に必要な資格は、次の2つです。
- 美容師免許
- 管理美容師免許
①:美容師免許
美容室の開業にあたっては、国家資格の1つである美容師免許を取得しておく必要があります。
厚生労働省が指定する美容師の養成施設で学科を習得し、実技試験と学科試験の両方に合格することで取得可能です。
②:管理美容師免許
美容室の開業にあたっては、自分以外の従業員を雇う場合には管理美容師免許もあわせて取得しておく必要があります。
美容師としての実務経験が3年以上あることに加えて、各都道府県で指定の講習を受講することで取得可能です。
美容室開業に必要な届出
美容室の開業に必要な届出は、次のとおりです。
- 美容室開業届
- 消防検査申請
- 開業届
- 各種社会保険(従業員を雇う場合)
①:美容室開業届
美容室を開業する場合、全店舗において美容室開業届の提出が必要です。
また許可が降りるまでには、保健所による立入検査が発生します。
主なチェック項目は、次のとおり。
- 作業空間の面積指定
- 美容椅子の設置面積
- 備品の成分や材質
細かいところまでチェックされるため、事前に図面を持ち込み、相談することが大切です。
②:消防検査申請
美容室を開業する場合、全ての店舗において消防検査申請の提出が必要です。
火器や避難経路に問題がないかなど、立ち入りでの検査となります。
内装や外装の工事など、あらかじめ消防署の定める規定を満たすように設計しなければならないため、工事業者や消防署へ確認しておくのがおすすめです。
③:開業届
美容室を個人で開業する場合においては、開業届(個人事業の開業・廃業等届書)も忘れずに提出しておきましょう。
開業から1カ月以内に所管の税務署への提出が必要です。
提出しないことによる罰則規定はありませんが、最大65万円の控除を受けられる青色申告のときに必要になるため、特殊な事情がなければ提出しておくことをおすすめします。
④:各種社会保険(従業員を雇う場合)
従業員を雇う場合、社会保険に加入しなければなりません。
社会保険は、次のとおりです。
- 健康保険
- 厚生年金
- 雇用保険
- 労災保険
美容室開業に必要な資金
ここからは、美容室の開業にどのくらいの資金が必要なのか確認していきましょう。
結論からお伝えすると、一般的な美容室を開業するには、1000万円~1300万円が必要です。
内訳としては、次のとおり。
- 内装・外装工事費用
- 什器・備品等の費用
- 運転資金
- テナント費用
もちろん開業する美容室の規模によっても資金額は変動するので、あくまで一例としてご覧ください。
自己資本比率について
美容室の開業には1000万円~1300万円必要とお伝えしましたが、全額を自己資金でまかなうのは難しいという方もいらっしゃるでしょう。
その際に金融機関などから融資を受けるというケースもあるかと思います。
そこで気をつけてほしいのが、自己資本比率。
開業費用に関して式を用いて説明すると、「開業費用=自己資金+他人資金(借入)」と表すことができ、この開業費用における自己資金の割合を自己資本比率と呼びます。
例えば開業に際して1200万円が必要である場合に自己資金が300万円であれば、自己資本比率は25%ということになります。
融資などを考えている場合には、あらかじめこの自己資本比率を把握しておく必要があるでしょう。
融資を受ける際に最も重視されるのは返済能力です。
金融機関や公的機関が審査を行う際には本当に借りたお金を返済することが出来るのかどうかをチェックすることになり、その際に自己資本をどれだけ用意できるかも参考にされます。
必要な資金のうち約1/4は自分で用意することを目安とするといいでしょう。
美容室開業までの流れ
ここからは、美容室開業までの流れを確認していきましょう。
主に8つのステップを踏めば、開業できます。
- コンセプトの立案・事業計画の策定
- 店舗物件を選ぶ
- 資金の調達
- 店舗の工事
- 人材の確保
- 保健所・消防署での手続き
- 税務署で開業届等を提出
- 労働保険関連の届出(従業員を雇う場合)
①:コンセプトの立案・事業計画の策定
美容室を開業するにあたって、まずはお店のコンセプトを作成しましょう。
この場合のコンセプトとは、「誰に、どんなサービスを、どのように提供するお店にするか」ということを指します。
コンセプトを明確にしておけば開業の準備をスムーズに進めることができるうえ、開業後に売上が伸びないときは原点に立ち返ることが可能です。
コンセプトを作成するにあたり、まずは出店を検討するエリアにどのような人が多く住んでいるのかを知っておきましょう。
- どの年齢層や性別が多いのか
- オフィス街 or 繁華街
などについて調査をしておくことが大切です。
また、ライバル店となる美容室についても調査しておきましょう。
自分の得意領域と同じジャンルの店が多い場合、競争が激しくなると想定されます。
理想は、次のようなエリアです。
- 地域の人々のニーズと自分の強みが合致している
- 競合となる美容室が少ない
ある程度のコンセプトが決まったあとは、事業計画を立てましょう。
事業計画は、自分の頭の中のアイデアを明確にするという役割だけでなく、融資を受ける際の説得材料としても重要になります。
計画には、次の要素を盛り込みましょう。
- 開業の動機
- コンセプト
- 提供するサービス
- 消耗品の仕入先
- 開業後の売上の見込み
- 黒字化までの時間
②:店舗物件を選ぶ
コンセプトや狙うべき客層などが固まってくれば、実際に店舗を構える物件探しの作業に入りましょう。
コンセプトと狙っている客層に合致する店舗を探していくと、スムーズに作業を進めることができます。
まずはインターネットを通じて物件情報をしっかりとリサーチすることから始め、ある程度の物件をピックアップすることができたら実際に下見を行っていきましょう。
この時、ネットの情報だけで決めてしまわないことが大切です。
必ず現地に行き、実際の店舗の内部についてもよく見ておく必要があります。また、実際の店舗の立地を確認することも大切です。
③:資金の調達
事業計画や店舗などが程度定まれば、開業に必要な資金が明確になってきます。
また開業後にも、家賃や消耗品の購入費や水光熱費など、様々なコストが発生してきます。
それらを可能な限り事前に洗い出し、シミュレーションしておくことが重要です。
必要な資金額を計算したら、次のステップとして資金調達方法について考えておきましょう。
自己資金で開業できる場合には融資をしてもらう必要はありませんが、自己資金だけでまかなえない場合は、次の選択肢もあります。
- 銀行に融資を依頼する
- 日本政策金融公庫の融資制度を利用する
- クラウドファンディングを実施する
④:店舗の内装・外装工事
店舗の工事を行う際には、コンセプトと一致するような内装になるよう業者の方と相談することが大切です。
工事の内容をあまり明確にしないまま工程を進めてしまうと、完成してからイメージと違う店舗になってしまうリスクがあります。
また、内装工事は物件によってかかる費用も異なります。
店舗のデザインやレイアウトなどを提示して、イメージ通りの店舗を作り上げるためにはどれほどの資金が必要になるのかについてもよく確認しておくようにしましょう。
⑤:人材の確保
開業するにあたって、人材の確保も必要です。
人材確保の方法としては雑誌などの紙媒体や、ウェブ媒体のほかSNSを利用して求人を掲載する方法などがあります。
どちらの方法を用いても、不特定多数に対して募集を掲載することができるので幅広い人材を募ることが可能ですが、コストがかかるという点は避けられないでしょう。
また、人材紹介会社を通してスタッフを雇用するというのも1つの手段です。
法人を通じて募集を行えば、こちらのニーズに見合った人材を選定して紹介を行ってもらえます。
もし、人材の確保を全て自分で行いたい場合は、理容美容の専門学校やスクールなどに自ら営業に行ってみるという方法もあります。
人材確保は美容室を運営していく上で非常に大切な工程になりますので、どの手法を用いて行うのかはよく考えておくようにしましょう。
⑥:保健所・消防署での手続き
美容室として開業するためには、営業を許可してもらうために美容室開設届を保健所に提出することが必要です。
ただし、保健所の許可を得るためには様々な条件が揃っている必要があります。
具体的には次のような条件です。
- 作業室の床面積が最低13㎡必要になること
- 美容椅子を6台以上設置するために1台につき3㎡を追加する必要があること
また備品の材質なども細部までチェックされるので、内装工事や設備工事を行う場合にはあらかじめ保健所へ図面を持参して相談することが大切です。
また、消防署による消防検査も受ける必要があります。
こちらは内装や外装の工事は消防署の定める基準を満たすように進める必要があるので、工事業者や管轄の消防署に確認をしましょう。
⑦:税務署で開業届等を提出
基本的に開業後1~2ヶ月以内に、開業届等の書類を税務署に提出する必要があります。
提出する書類は開店する従業員がいるかどうかでも変わってくるため、詳しくは税務署に問い合わせてみてくださいね。
提出する書類のうち「青色申告承認申請書」を提出することで青色申告ができるようになります。
青色申告は経理上の処理がやや複雑になりますが、その分税金面で優遇されるので、確定申告を行う場合は青色で行うとメリットが大きいでしょう。
また、県民税・市民税等の手続きのために都道府県税事務所市町村役場窓口にも開業等届出書を提出する必要があります。
詳しくは開業する地域の自治体に問い合わせてみてください。
⑧:税務署で開業届等を提出
また、従業員を雇用する場合や法人を設立している場合は、雇用後や開業後に年金事務所やハローワーク、労働基準監督署にも届出が必要になります。
雇用する人数によっても提出する書類が変わるので注意しましょう。
まとめ
今回は、美容室の開業について下記のトピックを中心にお送りしてきました。
- 美容室開業に必要な資格
- 美容室開業に必要な届出
- 美容室開業に必要な資金
- 美容室開業までの流れ
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