【法人】青色申告承認申請書・決算書など主流の青色申告について

【法人】青色申告承認申請書・決算書など主流の青色申告について

法人税を毎年なんとなく青色申告で申告している人も多いでしょう。

実際、法人の99.2%が青色申告をしているというデータもあります。(参考:平成29年度分 会社標本調査ー調査結果報告ー

しかし、なぜそこまで多くの企業が青色申告を利用しているのでしょうか?

その点も踏まえながら、青色申告について下記を順に説明していきます。

  • 青色申告とは
  • 青色申告を利用するための要件
  • 青色申告承認申請書
  • 決算書類
  • 青色申告を利用するメリット
  • 承認取消のケース

この記事を通して、法人税を青色申告で申告するべきかしっかりと考えてみましょう。

目次

【法人】青色申告とは

法人が行う青色申告は、法人税を申告する際に税制上、優遇される制度です。

法人税の申告は、個人事業主の所得税の確定申告と同じく、青色・白色と2種類あります。

本記事では、“法人税の申告に関する内容”を確認していきましょう。

法人税申告

法人税申告とは、あなたの会社の1事業年度における収益と費用を計算して算出した利益を基に、会社が支払うべき法人税額を確定するもの。

この際に行う収益や費用、資産や負債、純資産を確定することを「決算」と言います。

法人税の申告・納付期限は、1事業年度が終わった日から2ヶ月以内です。

(例:事業年度が4月1日~3月31日の会社→申告・納付期限は5月31日)

【一口メモ】社長は、個人で確定申告が必要?

社長になり役員報酬を受け取っても、従業員と同様に年末調整を行えば、確定申告は必要ありません。

ただし以下の条件のいずれかに当てはまる方は、確定申告が必要になるので、ご注意ください。

確定申告が必要になる条件
  1. 給与の年間収入金額が2,000万円を超える
  2. 1か所から給与の支払いを受けていて、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える
  3. 2ヵ所以上から給与の支払いを受けていて、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える
  4. 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子資産の賃貸料などを受けている
  5. 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている
  6. 源泉徴収義務のない人から給与等の支払いを受けている
  7. 退職所得について税額を計算した場合に、その金額が源泉徴収された金額よりも大きくなる

(参考(一部抜粋):国税庁/給与所得者で確定申告が必要な人

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【法人】青色申告を利用するための要件

青色申告を利用するには、以下2点が欠かせません。

  • 税務署に「青色申告承認申請書」を提出
  • 法定の帳簿書類を備え付け+取引を記録+一定期間保存

もう少し詳しく、それぞれの説明をしていきます。

税務署に「青色申告承認申請書」を提出

「青色申告承認申請書」とはその名の通り、青色申告を利用する前に申請する書類です。

法人税法121条によると、その書類を提出して納税地の所轄税務署から承認を受けると、青色申告を利用できます。

この申請に関する詳しい内容については、下記にて詳しく説明していますので、確認していきましょう。

 【参考】法人税法121条

(青色申告)
第百二十一条 内国法人は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、次に掲げる申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができる。
一 中間申告書
二 確定申告書

(引用:法人税法(昭和四十年法律第三十四号)

法定の帳簿書類を備え付け+取引を記録+一定期間保存

法人税法第126条によると、以下3点が求められます。

  1. 法定の帳簿書類を備え付け
  2. 取引を記録
  3. 一定期間保存
 【参考】法人税法第126条

第百二十六条 第百二十一条第一項(青色申告)の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。
2 納税地の所轄税務署長は、必要があると認めるときは、第百二十一条第一項の承認を受けている内国法人に対し、前項に規定する帳簿書類について必要な指示をすることができる。

(引用:法人税法(昭和四十年法律第三十四号)

帳簿書類の具体例

具体的に帳簿書類を挙げると、以下の通りです。

  • 帳簿…総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳
  • 書類…棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書

上記に当てはまる帳簿書類に取引を記録し、下記期間において保存しておかなければなりません。

ただし全てを作成する義務はなく、総勘定元帳あなたの会社で必要とする帳簿書類のみで大丈夫です。

帳簿書類の保存期間

  • 7年間…欠損金が生じていない(≒黒字)事業年度
  • 9年間…平成30年4月1日以前の欠損金の生じた(≒赤字)事業年度(平成23年12月税制改正)
  • 10年間…平成30年4月1日以後の欠損金の生じた(≒赤字)事業年度(平成27年度・平成28年度税制改正)

(参考:国税庁/帳簿書類等の保存期間及び保存方法

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【法人】青色申告承認申請書の提出期限

青色申告承認申請書の提出期限は、会社を設立してから3ヶ月以内です。

ただし3ヶ月より早く事業年度が終了する場合は、その事業年度終了日の前日までとなります。

また白色→青色に変更する方は、青色申告を利用したい事業年度開始日の前日までに提出しましょう。

(例:事業年度4月1日~3月31日の場合、3月31日までに申請書を提出すれば、次の4月1日からの事業年度に青色申告を適用できます。)

もし会社設立から3ヶ月を過ぎて提出すると、白色申告から青色申告に変更する方同様、翌事業年度から青色申告が適用となるのでご注意ください。

青色申告承認申請書の書き方

申請に必要な青色申告申請書の書き方は、以下の見本を参考にしてみてください。

ちなみに、国税庁HPにてフォーマットをダウンロードできます。

青色申告の承認申請書の書き方

上記写真に割り振っている番号ごとに、記載内容をご紹介!

記入項目 記入内容
年月日

提出日

(受領印が押してもらえるので、空欄でもOK)

税務署殿 あなたの会社を管轄する税務署長
納税地

□ 登記してある本店住所

□ 連絡先(会社の電話番号 or 携帯電話番号)

法人名等

正式名称にフリガナ

(手書きでもゴム印でも可)

法人番号 設立まもなくだと分からないはずなので、空欄でOK
代表者氏名 法人の実印を押印
代表者住所 本店住所ではなく、代表者の住所
事業種目 定款に記載されている事業目的
資本金又は出資金額 登記事項証明書に記載されている資本金額
自~至事業年度 青色申告を開始したい事業年度
次に該当する…

該当するものに✔

(会社設立年度なら、上から2つ目に✔)

帳簿組織の状況

□ 帳簿名(例:仕訳帳、現金出納帳など)

□ 帳簿の形態(例:ノート、エクセルなど)

□ 記帳の時期(例:毎日、1週間ごとなど)

特別な記帳方法の採用の有無

会計ソフトなら、ロ 電子計算機に〇

(電子計算機=パソコン)

税理士が関与している…

□ 税理士が関与している業務

(例:伝票整理から一切の事務など)

□ 契約している税理士本人が署名・押印

(税理士が関与していないなら、2つとも空欄)

※登記が完了しているけど法人番号が分からない方は、国税庁法人番号公表サイトにて調べてみるのも手かもしれません。

申請方法

申請方法は、あなたの納税地を管轄する税務署に持参もしくは郵送します。

提出する際は、必ず提出用控え用の2枚をご用意ください。

また郵送する方は控えを返信してもらうために、返信用封筒を同封しましょう。

必要事項がしっかりと埋まっていれば、申請書は自動的に承認されます。

一度申請が承認されると、やめる手続きをしない限り、ずっと青色申告の利用が可能です。

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【法人】青色申告の決算書

法人の「決算」というと、“莫大な数の資料から決算書を作成していく”イメージをお持ちかもしれません。

実はその通りで「決算」を行うには、以下2種類を用意する必要があります。

  • 保存する決算書類
  • 提出する決算書類

保存する決算書類

保存する決算書類は以下の3つです。

書類名 内容
総勘定元帳 すべての取引を勘定科目ごとに記録したもの
領収書綴り 領収書関係を整理し、綴ったもの
勘定科目明細書 主要な勘定科目ごとの収支詳細を記載したもの

詳しい保存期間については、上記要件にて説明しているので、ご確認ください。

また3つ目の勘定科目明細書は、提出書類でもあるので注意が必要です。

これらの書類は、1事業年度(12ヶ月)を通して作成しておくと、決算のときに焦らなくて済みます。

毎月会計処理を行う余裕のない会社や、経理担当者がいない会社などは、会計事務所に一度相談してみるといいでしょう。

提出する決算書類

提出する書類は以下4つに加えて、勘定科目明細書を加えた5点。

書類名 内容
決算報告書 貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書・株主資本等変動計算書などをまとめたもの
法人税申告書 定められた複数の別表に決算報告書を添付したもの(会社により必要な書類が異なる)
法人事業概況説明書 事業内容・従業員数・取引状況・経理状況などを記載したもの
税務代理権限書 申告書提出・税務調査立ち合い・問い合わせ対応などを記載したもの

これらの書類は法人税を申告する際に、1事業年度についてまとめるために作成します。

年に一度のことなので、会計事務所などに決算作業を依頼する会社も多いです。

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【法人】青色申告3つのメリット

これから「青色申告の方がいい」と言われている理由である、3つのメリットをご紹介します。

  1. 特別償却・特別税額控除が利用できる
  2. 欠損金(≒赤字)の繰越・繰戻ができる
  3. 30万円未満の資産を一括で費用にできる

どのメリットも法人税額を抑える効果があるので、節税に繋がるはずです。

①:特別償却・特別税額控除が利用できる

青色申告をした方のみが利用できる特別償却・特別税額控除制度はたくさんあり、それぞれに要件が定められています。

今回は制度を1つずつ説明するのではなく、ここからは特別償却・特別税額控除を紹介。

特別償却も特別税額控除も基本的には、機械・設備(資産)などを高額で購入した時に利用するもの。

  • 特別償却…購入した資産の通常の減価償却費に加えて、取得価額に一定割合を乗じた金額も償却できる制度
  • 特別税額控除…購入した資産の購入価額に一定割合をかけた金額を、法人税額から差し引ける制度

制度によってはどちらか決められているものもあれば、選択適用できるものもあるので確認してみましょう。

 青色申告法人が利用できる特別償却・特別控除制度】

下記表にある16個は、青色申告を利用している法人が前提となっています。

①:中小企業投資促進税制 ⑨:平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る税額控除制度(高水準額)
②:中小企業経営強化税制 ⑩:繰越税額控除限度超過額等の繰越控除制度
③:商業・サービス業・農林水産業活性化税制 ⑪:高度省エネルギー増進設備を取得した場合の特別償却又は税額控除
④:地域未来投資促進税制 ⑫:環境関連投資促進税制
⑤:革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は税額控除 ⑬:企業主導型保育施設用資産の*割増償却
⑥:試験研究費の総額に係る税額控除制度(総額型) ⑭:地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除
⑦:中小企業技術基盤強化税制 ⑮:給与等の引上げ及び設備投資等を行った場合等の税額控除(原則)
⑧:特別試験研究費の額に係る税額控除制度(オープンイノベーション型) ⑯:給与等の引上げ及び設備投資等を行った場合等の税額控除(中小企業者等の特例)

*割増償却…通常の減価償却費に、通常の減価償却費に一定割合をかけた金額を上乗せして、毎年減価償却を行う制度です。特別償却は初年度のみ、購入価額に一定割合をかけた金額を上乗せなので、ご注意ください。

それぞれの詳しい概要は、国税庁のHPでご確認ください。

選ぶならどっち?【特別償却・特別控除税額】

特別償却・特別控除税額を利用できることは分かっても、どちらを利用した方がオトクなのか悩みますよね。

今回は一例として、どのような違いがあるのか、一緒に確認していきましょう。

<例>特別償却・特別税額控除のどちらがオトク?

あなたは下記2点を税理士に伝えると、以下のような回答がありました。

  1. 中小企業投資促進税制が受けられる機械を購入
  2. 耐用年数いっぱいまで利用する

特別償却だと当期に通常の減価償却費と、取得価額に一定割合をかけた償却額を費用にできます。

そして特別税額控除だと当期に通常の減価償却費に加えて、初年度に一定割合を法人税額から直接差し引くことが可能です。

あなたの会社は当期、今までにないほどの黒字なので、当期に多くの節税効果が得られる特別税額控除の方がいいでしょう。」

計算して当期の節税効果を考えてみると…以下のような事実が判明。

  • 特別償却だと「取得価額×30%」(1000万円×30%×15%(法人税率*)=450,000円)
  • 特別税額控除だと「取得価額×7%」(1000万円×7%=700,000円

今回は当期に多くの節税効果が得られる「特別税額控除」を利用することに決めました。

法人税率*…会社規模により税率は異なる。今回は、資本金1億円の普通法人と仮定。

 

長い目で見た場合、特別税額控除の方がオトクだというのは分かっても、当期の利益が多いと選択に間違いがないのか不安になりますよね。

不安なときや分からないときは1人で判断せずに、専門家に数字を出してもらえないか、相談してみてくださいね。

②:欠損金(≒赤字)の繰越・繰戻ができる

青色申告法人は、下記年数において繰越ができます(平成28年度税制改正)。

  • 9年間…平成30年4月1日以前に生じた欠損金(≒赤字)
  • 10年間…平成30年4月1日以降に生じた欠損金(≒赤字)

ただし繰戻は、前年度分の1年間のみ利用可能です。

欠損金(≒赤字)の繰越・繰戻により、黒字が出ても赤字と相殺すれば、納税額を減らせます。

具体例は下記2つの例をご覧ください。

<欠損金の繰越例>赤字→黒字

1年目:300万円の赤字→法人税額は0円

2年目:150万円の黒字→欠損金(≒赤字)を繰越でき、納税額は0円(残り150万円の赤字は繰越)

3年目:150万円の黒字→欠損金(≒赤字)を繰越でき、納税額は0円(赤字の繰越はなし)

<欠損金の繰戻例>黒字→赤字

1年目:300万円の黒字→法人税額は45万円

2年目:350万円の赤字→欠損金(≒赤字)を繰戻でき、1年目に納めた45万円が還付(残り50万円の赤字は繰越)

3年目:50万円の黒字→欠損金(≒赤字)を繰越でき、納税額は0円(赤字の繰越はなし)

控除限度額をご存知ですか。

下記3つの法人については、所得全額が控除限度額のため、あまり触れられていないのが事実です。

  • 中小法人

…普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下の法人、または資本・出資を有しないもの。

  • 再建中の法人

…更生手続き開始の決定があったこと、再生手続き開始の決定があったこと等の事実が生じた法人。

  • 新設法人

…大法人の100%子法人と100%グループ内の複数の大法人に発行済株式等の全部を直接または間接に保有されている法人(株式移転親法人を除く)。

一方、大法人(=普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が5億円以上の法人)は、事業年度ごとに控除限度額が定められています。

事業年度 控除限度割合
平成27年4月1日~平成28年3月31日開始事業年度 所得の65%
平成28年4月1日~平成29年3月31日開始事業年度 所得の60%
平成29年4月1日~平成29年3月31日開始事業年度 所得の55%
平成30年4月1日~開始事業年度 所得の50%

また大法人による完全支配関係のある中小法人・新設法人については、所得の65%等の制限があるのでご注意ください。

(一部抜粋:欠損金の繰越控除制度の見直しについて~平成28年度税制改正~)

③:30万円未満の資産を一括で費用にできる

30万円未満で購入した資産については、一括で費用にすることが認められています。

通常は10万円以上だと減価償却をして、年々費用処理しなければなりません。

その点一括で費用にできると、法人税率がかかる所得額を減らせるので、法人税額を抑えられます。

ただしこの制度は「令和2年3月31日までに取得したもの」と期限が付されているので要注意です。

【注意】青色申告特別控除(最大65万円控除)は個人事業主のみ

青色申告特別控除は、法人税申告では利用できません

個人事業主から法人になったばかりで、続けて青色申告を利用している方の中には、勘違いしている方も多いです。

そのため65万円控除ありきで申請する予定だった方にとっては、大ダメージかもしれません。

65万円控除は利用できない分、他の節税対策を検討してみてはいかがでしょうか。

また節税対策について専門家に聞いてみたい方は、ぜひスタートアップ税理士法人へ。

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【法人】青色申告承認取消のケース

青色申告の申請は、基本事項が埋まっていれば、大抵は受理されるので心配はいりません。

しかし一度申請が通ったとしても、その後の申告で以下のようなことがあると、「青色申告の承認の取消通知書」が届いて、青色申告の承認が取消されます。

  1. 帳簿書類を提示しない
  2. 税務署長の指示を無視
  3. 無申告・期限後申告
  4. 隠ぺい・仮装等をしている

一度取り消されると、向こう1年は再申請しても、税務署側に却下されることがほとんどです。

再申請のタイミングは、1年を経過してから再度提出するのが一般的です。

①:帳簿書類を提示しない

1つ目は税務調査の際に、帳簿書類を提示しないこと。

実は法人税法127条で規定されている帳簿書類の備付け、記録又は保存には、税務職員への提示も含まれています。

そのため帳簿書類があると言い張っても、実物を税務職員に最後まで見せないと、青色申告は取消です。

しかし何らかの理由で当日見せられなくなくても、即刻取消しにはなりません。

何度目かの注意もしくは説得に応じない場合には、取消されるので覚悟しておきましょう。

この違反行為では提示しなかった事業年度のうち、1番古い事業年度以降の事業年度に対する承認を取り消されます。

②:税務署長の指示を無視

2つ目は税務署長から受ける帳簿書類の提示・修正指示に従わなと、青色申告の取消事由に該当します。

この違反行為による取消対象事業年度は、その指示に係る事業年度以後の事業年度に対する承認です。

<例>あなたの事業年度が4月1日~3月31日の場合

2016年度分(=2016年4月1日~2017年3月31日)に対して、2019年12月にあった指示に無視した場合、2016年度分、2017年度分・2018年度分が対象です。

2019年度分は基本的に承認が受けられないので、青色申告を利用することはできません。

③:無申告・期限後申告

3つ目は無申告、期限後申告2事業年度連続行った場合、青色申告の承認が取り消されます。

そしてこの違反行為の対象は、2事業年度目の青色申告の承認です。

④:隠ぺい・仮装等をしている

4つ目の青色申告承認取消事由は、下記いずれかのケースにおける隠ぺい・仮装などです。

  1. 無申告のために所得金額の決定更正をした場合
  2. 欠損金額を減額する更正をした場合(所得金額がある更正を含む)
  3. 帳簿書類への記載等が不十分などの事情がある場合

上記の場合において、どのような隠ぺい・仮装等が取消対象になるのか見ていきましょう。

ちなみにこの取消事由に該当した場合、これらの違反行為があった事業年度以後の事業年度の承認が取り消されます。

ケース①:無申告のために所得金額の決定・更正をした場合

あなたが「申告をしなかった」「申告はしたけど間違っていた」場合、税務署が決定・更正の手続きをします。

  • 決定申告すべき人が何も申告してなかったときに、税務署が法人税額を決めること。
  • 更正税務署が申告書を確認し間違いを見つけた際に、正しい法人税額に直すこと

これらの手続きにより「更正所得金額」が算定されます。

もし不正所得金額(=更正所得金額のうち隠ぺい・仮装された所得金額)が更正所得金額の50%相当額を超えると、青色申告の承認は取消です。

ケース②:欠損金額を減額する更正をした場合(所得金額がある更正を含む)

欠損金とは「税法上の赤字」を指すため、欠損金の繰越・繰戻などの説明においては(≒赤字)と記載していました。

そしてその赤字を減額する更正をした場合、以下のような2パターンが考えられるでしょう。

  1. 赤字は減るけど赤字のままの場合
  2. 黒字と赤字を相殺してて、黒字(≒所得金額)が増える場合

①の減少した部分の欠損金額、②の加算された所得金額のうち、不正欠損金額(=隠ぺい・仮装された欠損金額)に対して、

  1. の場合…当初の申告に係る欠損金額
  2. の場合…所得金額を加算した金額(≒申告欠損金額)

50%相当額を超えると、青色申告の承認は取消になります。

不正欠損金額*…隠ぺい・仮装された欠損金額

【青色申告の承認取消がなくなる!?】

まず上記ケース①,②において、不正所得金額・不正欠損金額が500万円未満は取消の対象ではありません。

そしてこれから挙げる2つの条件に当てはまる場合は、青色申告の承認取消が見合わせになります。

1つ目の条件は、ケース①,②に該当した事業年度より前の7年間にて、以下のいずれかに該当すること。

  • 過去に青色申告承認取消処分を受けていない
  • 過去の調査で明らかになった不正所得金額・不正欠損金額が500万円未満

2つ目の条件は、今後適正な申告をするという申出などがあることです。

もし悪意なく間違えてしまったときは、すぐに間違いを認め、これらを税務職員の方に伝えてみてくださいね。

③:帳簿書類への記載等が不十分などの事情がある場合

帳簿書類への記載等が不十分などの事情がある場合も、青色申告の承認取消の対象になりかねません。

もし第131条による推測のもと計算を行わなければ、正しい所得金額を算定できないと認められる場合、青色申告の承認は取消されます。

もし下記第131条にあるような情報をもとに、推測・計算を行う必要がある場合は危険です。

(推計による更正又は決定)
第百三十一条 税務署長は、内国法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合には、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合を除き、その内国法人(各連結事業年度の連結所得に対する法人税につき更正又は決定をする場合にあつては、連結子法人を含む。)の財産若しくは債務の増減の状況収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量従業員数その他事業の規模によりその内国法人に係る法人税の課税標準(更正をする場合にあつては、課税標準又は欠損金額若しくは連結欠損金額)を推計して、これをすることができる。

【法人】青色申告を利用してみよう。

青色申告を利用するまでには、下記のような様々なハードルがありますが、

  • 要件を満たす
  • 期限までに申請する
  • 決算の難易度が高い

一度申請が通ると、下記のような、今後の会社をよりよくする効果が得られます。

  • 優遇措置を受けられる
  • 健全な経営に繋がる
  • お金の動きが把握できる

このような効果を利用しつつ将来の見通しを立てて新たな事業を進めるていき、会社を発展・繁栄させていきましょう。

会社設立のこと、お気軽にご相談ください
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