【デイサービス開業】するには? 条件と開業までの流れを確認!
- 記事監修 大堀 優
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税理士・大堀優(オオホリヒロシ)スタートアップ税理士法人代表。1983年、愛媛県出身。2013年に税理士登録をした後、2015年2月に独立開業しスタートアップ会計事務所を設立。 2017年1月、社会保険労務士事務所を併設する。2021年6月に会計事務所を税理士法人化、8月に横浜オフィスを開設。
【会社設立をしたい方へ一言】みなさんの不安を払拭できるように、“話しやすさNo.1の事務所”として寄り添ったサポートを心掛けています。なんでもお気軽にご相談ください!
「デイサービスの開業を考えているけど、何から手をつけたらいいのだろうか?」
「デイサービスを開業するには、どんな条件が必要?」
そんな疑問にお答えすべく、今回はデイサービス開業に関して下記のトピックを中心にお届けしていきます。
- デイサービス開業するには、法人の設立が必須!
- デイサービス開業する際のあらゆる基準
- デイサービス開業までの流れ
それぞれ1つずつ確認していきましょう。
- 目次
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デイサービス開業するには、法人の設立が必須!
デイサービス(介護保険事業所)を開業するためには、必ず法人格を取得しなければなりません。
法人の形態は、株式会社や有限会社などの営利法人だけでなく、社会福祉法人やNPO(特定非営利活動法人)など、様々なものがあります。
- 株式会社
- 合同会社
- NPO法人
- 一般社団法人
株式会社
株式会社は、発行した株式と引き換えに出資者からお金を集め、その資金を用いて経営者が経済的な活動を行う会社。
株式会社は会社全体の90%以上を占めるので、あなたが起業を考える際に有力候補となります。
主なメリットは、次のとおりです。
- 資金調達時に有利
- 社会的な信用度が増す
- 様々な節税対策が可能
- 万が一破産しても、個人資産は守れる
- 決算日の設定が自由
- 事業承継するときに便利・節税が可能
一方で、デメリットは次のようなものが挙げられます。
- 事務作業・コストが急増
- 社会保険への加入が義務
- 赤字でも必ずかかる税金がある
合同会社
合同会社とは、持分会社のうち、出資者が全員有限責任社員の会社。
合同会社の主なメリットは、次のとおり。
- 会社設立費用が安く済む
- 会社設立に時間がかからない
- ランニングコストが抑えられる
- 経営がスムーズに進む
一方で、デメリットは次のようなものが挙げられます。
- 認知度が低いため、信用度も低い
- 社員を増やしづらい
- 上場できない
NPO法人
NPO法人は、社団法人の一種として、NPO法に基づいて都道府県または指定都市の認証を受けて設立された法人のこと。
主な特徴は、次のとおりです。
- 設立費用がかからない
- 設立するためには最低でも10名以上が必要
- 都道府県の認可を受けないと設立ができない
- 設立まで約6ヶ月かかることもある
一般社団法人
一般社団法人は、ある目的をもって「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき設立された非営利法人のこと。
主な特徴は、次のとおりです。
- 2人以上から設立可能
- 資本金が不要
- 設立費用は約15万円
- 2~3週間ほどで設立可能
デイサービス開業する際のあらゆる基準
デイサービスを開業するためには、あらゆる指定基準が存在します。
- 人員に関する基準
- 設備に関する基準
- 運営に関する基準
①:人員に関する基準
介護サービス提供に必要な人員の基準は、デイサービス事業でも厳格に定められています。
その基準は利用定員により異なる職種もあるため、1つずつ確認していきましょう。
- 管理者
- 看護職員
- 介護職員
- 生活相談員
- 機能訓練指導員
管理者
デイサービス事業所の管理者は、利用定員に関わらず必ず配置しなければならない職員です。
管理者は事業所の責任者としてサービスの運用や業務全般を取りまとめるという役割があり、常勤で1名配置する必要があります。
主に管理者は、次のような業務を行います。
- 介護業務管理
……利用者に対して適切なサービスを提供できているかを管理する。
- スタッフの管理や調整
……職員採用や人員配置など。
- 運営管理
……稼働率の管理やサービス担当者会議の実施など。
- 収支管理
……介護報酬や人件費など。
- 行政管理
……自治体との関連業務など。
看護職員
デイサービス事業所の看護職員は、利用者の健康チェックや機能訓練の指導に加え、必要に応じて看護業務にも携わります。
看護職員を何人配置するかは、事業所の利用定員によって異なるので、下記をご参照ください。
- 事業所の利用定員11名以上…看護職員を1名以上配置
- 事業所の利用定員10名以下…看護職員か介護職員のどちらか1名の配置
介護職員
介護職員はデイサービスにおいても利用者の介護を主に担当するという重要な役割を担います。
資格要件はとくにありませんが、人員基準は下記のとおりです。
- 事業所の利用定員15名まで…1名以上
- 事業所の利用定員15名以上…15を超える分を5で割った数+1人
生活相談員
生活相談員は、利用者のサービス利用開始および終了の手続きや各種相談といった対応などの役割を担います。
必ず常勤で1名以上配置をしなければなりません。
次の資格要件を満たしていれば、生活相談員になることができます。
- 社会福祉士
- 社会福祉主事
- 精神保健福祉士
- 介護福祉士
- 介護支援専門員
機能訓練指導員
機能訓練指導員は、利用者に機能訓練や指導を行い、身体機能回復のサポートをする役割を担います。
1事業所あたり1人という配置基準が定められており、次の資格要件を満たしていなければなりません。
- 看護師または准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
- 鍼灸師
②:設備に関する基準
事業所としての指定を受けるためには、人員基準に加え設備面での基準もクリアしなければなりません。
- 食堂・機能訓練室
- 浴室
- トイレ
- 相談室
- 静養室や厨房など
食堂・機能訓練室
利用者の食事場所である食堂や機能訓練を行う機能訓練室は、「利用者数×3平方メートル」の面積を確保しなければなりません。
自治体の中には、有効面積で基準を適用するところもあるので注意が必要です。
また、狭い部屋を合算することにより面積を確保することは認められていません。
それぞれ1つの部屋で基準を満たすようにしましょう。
浴室
デイサービスで入浴介助を行う場合は、浴室を設置することになります。
利用者は基本的に介助入浴となるため、手すりなどで利用者が使いやすくするのはもちろん、安全が確保される設備を設置しなければなりません。
トイレ
トイレは介護を伴って利用するという前提のもと、介護を行うために支障のない広さなど、利用者の使用に適した構造や設備を整備しなければなりません。
また緊急時に備え、ブザーや呼び鈴などの通報装置の設置も義務づけられています。
相談室
利用者や家族からの相談対応を行う相談室には、面積要件がありません。
ただしプライバシーに配慮した構造にするようにしましょう。
相談内容が外に聞こえないように、遮蔽物の設置などの対策が必要です。
静養室や厨房など
静養室は、利用者がゆっくり休めるよう複数の利用者が同時に利用できる広さをもつ専用室を確保しなければなりません。
また、利用者の食事を調理する厨房は、環境衛生に配慮することが求められるため、必ず保健所の指導を受けましょう。
③:運営に関する基準
指定を受け事業を開始してからの話になりますが、運営に関する基準も遵守しなければなりません。
一方的なサービスの押しつけにならないよう、運営基準は利用者との契約という考えのもと定められています。
デイサービス開業までの流れ
ここからは、デイサービスを開業までの流れをざっと確認していきましょう。
主な流れは、次のとおりです。
- コンセプト・サービス内容の決定
- 法人の設立
- 自治体への事前協議を実施
- 店舗物件の契約
- 内装工事の実施
- 什器・備品等の購入
- 新規指定前研修の受講(※東京都のみ)
- 自治体への指定申請を実施
①:コンセプト・サービス内容の決定
まずは開業を予定しているデイサービスのコンセプト・サービス内容を決めましょう。
デイサービスは、利用者の目的によって次のような種類があります。
- 認知症対応型デイサービス
- 機能訓練型デイサービス
- 利用定員が19名未満の地域密着型通所介護(小規模デイサービス)
自身が勤務してきた中で感じたデイサービス事業所が担うべき役割を実現できるようなコンセプトやサービス内容にするといいでしょう。
確保できそうな人材から、どのようなサービスが提供できるかどうかを考えてみるのも1つの手です。
②:法人の設立
デイサービス事業所を開業するには、法人を設立しなければならないというのは、先述したとおりです。
法人には次のような種類があります。
- 株式会社
- 合同会社
- NPO法人
- 一般社団法人
それぞれの設立費用や、設立するまでの時間などを加味したうえで、どの形態にするか決めましょう。
③:自治体への事前協議を実施
自治体によっては、デイサービス開業の届出を出す前に事前協議が必要な場合もあります。
事前協議が必要な場合は、開業しようとしているデイサービス施設の内装工事が基準を満たしているかどうかを、自治体が事前に確認することになるでしょう。
自治体によっては任意のところもありますが、事前に基準を満たしておいた方が、後々スムーズに事が運ぶはずです。
④:店舗物件の契約
続いて事業所となる物件を探して契約する段階に入ります。
場所によっては、利用者が集まるかどうかに影響する場合があるので、物件選びは重要です。
その際に気をつけたいポイントは、次のとおり。
- 地域の高齢者人口や世帯数はどのくらいか?
- デイサービス、介護施設、病院の施設数はどのくらいあるのか?
- 実際に利用してくれそうな人は何人くらいいるのか?
また自治体の公式サイトに統計データが掲載されている場合もあるので、事前に調査を行うこともできます。
時間が取れない場合は、専門の業者に頼んでみるのもいいでしょう。
⑤:内装工事の実施
次に設備基準を満たす内装工事を行いましょう。
自治体から事業所としての認定が受けるためには、基準を満たさなければなりません。
設備基準には次の設備が、安全に配慮されているかを確認されます。
- 食堂・機能訓練室
- 浴室
- トイレ
- 相談室
- 静養室や厨房
設備基準を満たしていない場合、再び内装工事をすることになってしまうかもしれません。
そのため、介護事業所の内装実績があり、設備基準にも精通している業者に内装工事を依頼することをオススメします。
⑥:什器・備品等の購入
什器や備品などの購入は、この段階で検討して行動に移しておきましょう。
⑦:新規指定前研修の受講(※東京都のみ)
東京都の場合は、申請する前に研修の受講が必要です。
研修では事業上関係する法令の説明や、申請手続などを学ぶことができます。
新規指定前研修は、東京都福祉保健局の公式サイトから申し込めるので、受講方法を確認してみてくださいね。
⑧:自治体への指定申請を実施
最後に都道府県または市町村に事業所の指定申請を行います。
指定申請とは、介護事業を行うにあたって、 都道府県や市町村に届出を出して、介護事業者としての指定を受けること。
指定申請時に必要となる主な書類は、次のとおりです。
- 指定居宅サービス事業所・指定介護予防サービス事業所指定申請書
- 登記簿謄本
- 従業員の勤務体制及び勤務形態一覧表
- 就業規則
- 事業所の平面図・建築図面
- 外観及び内部の様子がわかる写真
- 運営規定
- 利用者からの苦情を処理するために講ずる処置の概要
- 介護給付算定に係る体制等に関する届出書
書類に不備があると、指定が遅れてしまうかもしれません。
申請書の様式は自治体の公式サイトからダウンロードできるので、公式サイトを確認しながら準備しましょう。
まとめ
今回は、デイサービスの開業について、次の項目を紹介してきました。
- デイサービス開業するには、法人の設立が必須!
- デイサービス開業する際のあらゆる基準
- デイサービス開業までの流れ
もしまだわからないことがあれば、いつでもスタートアップ税理士法人までご連絡ください!
あなたからのご連絡、お待ちしております。
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