不動産・土地売却時の確定申告を税理士に依頼する場合の費用相場
- 記事監修 大堀 優
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税理士・大堀優(オオホリヒロシ)スタートアップ税理士法人代表。1983年、愛媛県出身。2013年に税理士登録をした後、2015年2月に独立開業しスタートアップ会計事務所を設立。 2017年1月、社会保険労務士事務所を併設する。2021年6月に会計事務所を税理士法人化、8月に横浜オフィスを開設。
【会社設立をしたい方へ一言】みなさんの不安を払拭できるように、“話しやすさNo.1の事務所”として寄り添ったサポートを心掛けています。なんでもお気軽にご相談ください!
不動産売却や土地売却で利益が出た場合、確定申告手続きが必要です。
この時、譲渡所得を自分で申告する方法と、税理士に依頼して申告する方法があります。
「自分での確定申告は面倒だけど、税理士への相談は報酬が高そう……」
そんな不安を抱えている方に、不動産売却や土地売却時の税理士費用相場、依頼の際に覚えておきたいポイントを解説いたします。
- 目次
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譲渡所得とは
確定申告の譲渡所得とは、土地や持ち家、マンションなどの不動産を売却し、利益が出た場合の収入を指します。株式やゴルフ会員権などを売却した利益も、譲渡所得に含まれます。
土地や建物の譲渡所得は、不動産の単純な売価ではなく、
「不動産の購入価格-売却価格-譲渡費用-特別控除額」
で計算します。
譲渡費用とは
譲渡費用とは、土地や不動産を売却する際に、不動産業者などへ支払った仲介手数料、立ち退き料などの費用です。
これまでに居住・維持する間にかかった建物の修繕費や支払ってきた固定資産税、抵当権抹消登記で発生した費用などは、譲渡費用に含まれません。
特別控除とは
特別控除額は、公共事業などのために、土地や不動産を手放した場合など、一定の条件を満たした場合に認められる特例です。自分が使える特例があるかどうか、事前にたしかめておきましょう。
これらの計算をして、購入価格より売却価格の方が安い場合は、確定申告の必要はありません。逆に、売却価格から譲渡費用、特別控除額を引いた金額が、購入価格を超えている場合は、確定申告作業が必要です。
譲渡所得額によって、税理士に依頼する場合の報酬が変動します。
確定申告の相談を検討している方は、まず譲渡所得額を計算の上、相場をたしかめてみましょう。
土地・不動産売却時の確定申告とは
普段サラリーマンとして勤務している場合、勤務先の企業が年末調整をしてくれるため、確定申告の手続きはありません。
ですが、副業や土地・不動産の売却などで利益を得た場合は、年末調整とは別に確定申告が必要です。
確定申告には白色申告と青色申告、2種類の方法があります。
青色申告は特例控除が受けられますが、不動産売却時の所得は特例控除の対象にならないため、サラリーマンが青色申告を選ぶメリットは特にありません。
個人事業主である程度まとまった収入がある場合は、青色申告を選択すると、支払う税金を抑えられます。
申告期間は、土地や家屋、マンションを売却した翌年の2月16日~3月15日です。
e-Taxや郵送で手続きをする、もしくは税理士に相談の上、間違いのないように申告を済ませましょう。
不動産・土地売却時に発生する税理士費用相場
不動産・土地売却時の確定申告を税理士に依頼する場合、いくらくらいの費用が発生するのか、安心して相談するために相場を知っておきましょう。
税理士報酬は、先ほど計算した譲渡所得額に準じて、各税理士事務所や税理士法人で定められています。相談する税理士によって金額が変わりますが、一般的な相場を知っておきましょう。
- 譲渡所得額1,000万円以内:税理士費用相場5~6万円
- 譲渡所得額1,000~3,000万円:税理士費用相場9~12万円
- 譲渡所得額3,000~5,000万円:税理士費用相場12~15万円
- 譲渡所得額5,000~8,000万円:税理士費用相場15~24万円
- 譲渡所得額8,000~1億円:税理士費用相場18~30万円
- 譲渡所得額1億円以上:税理士費用相場 要相談
提示された報酬が高過ぎないか、不安な場合はいくつかの税理士事務所、税理士法人で見積もりを依頼し、金額を比較検討すると安心です。
譲渡所得の確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリット
譲渡所得の確定申告を税理士へ依頼する場合、メリット・デメリットがそれぞれあります。
良い点、悪い点をたしかめて、税理士へ依頼するべきか、自分で進めるか決定してください。
税理士へ依頼するメリット3つ
まずは、税理士へ依頼するメリットをチェックしてみましょう。
メリット1:書類のミスを未然に防げる
税務のプロである税理士は、譲渡所得の確定申告に慣れている専門家です。
そのため、どのような書類が必要なのか、何を記載するべきか、間違いなく判断でき、ミスのない申告書を提出できます。
特別控除など、使える控除がある場合も見逃しなく、きちんと申告してもらえる点もメリットです。税務のルールは毎年のように変更があるため、個人で情報を集めるのが大変な場合は、最新の知識を持つ税理士の力が役立ちます。
申告内容に間違いがあった場合、追徴課税が発生する恐れもあります。
間違いなく申告を済ませたいなら、税理士へ相談しましょう。
メリット2:手間や時間を軽減できる
税理士に確定申告を依頼すると、煩雑な作業や税務署へ行く手間などを省けます。
e-Taxや郵送での手続きも可能ですが、税の知識があまりない場合、作業に時間がかかってしまいがちです。
確定申告を期間内に、速やかに進めたい場合は、税理士に相談すると楽に完了できます。
メリット3:譲渡所得以外の申告も相談できる
土地や建物だけでなく、副業や株式、ゴルフ会員権の売却などで利益がある場合、あわせて申告する必要があります。税理士に相談していれば、すべての確定申告をまとめて担ってもらえるため便利です。
その他、確定申告やお金について、分からないことを聞ける点もメリットです。
不動産売却に関連して相続などの問題が発生する場合、あわせて相談してみてください。
税理士へ依頼するデメリット2つ
次に、税理士へ依頼するデメリットをみてみましょう。
デメリット1:税理士費用が発生する
税理士へ確定申告を依頼する場合、報酬が発生します。
自分で申告すれば支払う必要のない費用のため、メリットと費用を比較して、どちらを選ぶべきか検討しましょう。
確定申告に関連する税理士費用は、先ほど解説した譲渡費用に含まれない点も、覚えておきましょう。
デメリット2:譲渡所得に強い税理士探しが必要
譲渡所得の確定申告は、どの税理士でも相談できるわけではありません。
法人の税務に強い税理士、相続に強い税理士など、税理士によって得意分野があります。
税理士の知り合いがいない場合、一から個人の譲渡所得をサポートしてくれる税理士探しが必要です。
税理士を探す場合は、事務所の看板やホームページに、譲渡所得の文字が書いてある税理士事務所、税理士法人を選んで、相談してみてください。
取得費が分からない場合は要注意!
不動産を売却する際、土地や建物の取得費が分からない、というケースが少なくありません。
土地や建物の取得費が明確でない場合、正しい譲渡所得の計算ができず、支払う税金が高額になる場合があります。
親から譲り受けた土地や建物、取得から数十年が経過した土地や建物で、購入額が不明な場合など、取得費が分からない不動産は、“売却価格から5%引いた額を「概算取得費」にする”という計算法があります。
仮に、土地や建物が6,000万円で売れた場合、6,000万円-300万円(5%)=5,700万円が取得費になる計算です。
この金額は譲渡費用などを引いた計算よりも、高額になるケースが多く、支払う税金額が大幅に上がってしまう恐れがあります。
購入価格が分からない場合も、銀行ローンの借入れデータ、当時の日記などのメモ、振り込み時の控え、土地評価額などの間接証拠があれば、正しい取得費を導き出せる場合があります。
専門家の知識が必要な部分のため、不動産の取得費が分からず、計算に困っている場合は税理士に相談の上、支払う税金を適正に抑えましょう。
まとめ
本記事では、不動産売却や土地売却時の税理士費用相場、依頼の際に覚えておきたいポイントについて、下記の流れで解説してきました。
- 譲渡所得とは
- 土地・不動産売却時の確定申告とは
- 不動産・土地売却時に発生する税理士費用相場
- 譲渡所得の確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリット
- 取得費が分からない場合は要注意!
次のような悩みがある場合、税理士へ確定申告を相談すると、スムーズに手続きを進められます。
- 仕事が忙しく申告作業が難しい
- 税関連の書類作成が苦手
- 土地の取得金額が分からない
- 税務調査が入る可能性を減らしたい
- 税務調査が入った際、専門家に立ち会ってもらいたい
不動産売却で利益が出ると分かったら、早めに税理士探しをスタートしましょう!
確定申告の時期に入ってしまうと、対応してもらえないケースがあります。
相談と同時に、通帳のコピーや不動産売却関連の資料などの準備を済ませておきましょう。
定められた金額を納税したら、確定申告完了です。
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