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軽減措置でもっとお得に!物件購入前に【不動産取得税】を確認しよう

「新しく物件を買いたいけど、どんな税金がかかるのかな?」

軽減措置って何だろう?本当に安くなるのかな…」

建物や土地の購を考えているなら、まず確認しておきたいのが不動産取得税についてです。

本記事では不動産取得税について、下記の流れで解説していきます。

  • 不動産取得税とは
  • 住宅ごとの軽減措置と要件
  • 申告と納付の流れ
  • 軽減措置の申請について

物件を購入する前に軽減措置申請方法を学んで、よりお得な不動産取得を目指しましょう!

目次

不動産取得税とは

不動産取得税とは、住宅を購入不動産を取得したすべての人に課される地方税です。

取得した建物土地それぞれに課税され、納税先は取得した不動産がある都道府県になります

有償・無償、登記の有無にかかわらず課税されますが、相続により取得した場合などは課税されません

課税される人 課税対象 納税先 課税されない場合 納税のタイミング
住宅を購入し不動産を取得したすべての人 取得した土地・建物それぞれに課税される 都道府県 相続により取得した場合など 不動産の取得時

不動産の購入時にかかる税金には、他に固定資産税などがあります。

固定資産税は毎年支払いが必要ですが、不動産取得税は不動産の取得時一度だけ支払う税金です。

課税対象

課税対象となるのは、下記のように取得・改造した土地建物です。

  • 売買・贈与で不動産を取得したとき
  • 不動産を新築・増築したとき

一般的に、個人が自分の住宅賃貸運営のために取得したほとんどの不動産は、不動産取得税の課税対象になります。

非課税になる場合

不動産取得税が非課税になるのは、下記のような土地や不動産取得の場合です。

  • 国や地方自治体など、公共機関が所有する土地
  • 一定の要件を満たした法人による不動産取得*

*…宗教法人が取得した不動産や、学校法人が教育用に取得した不動産など。

個人の不動産取得でも、下記の場合には非課税となります。

  • 相続によって取得した不動産
  • 課税対象額が次の一定金額に満たない場合
  • 土地:10万円未満
  • 家屋(建築により取得):23万円未満
  • 家屋(建築以外で取得):12万円未満

通常の計算方法

不動産取得税は、固定資産税評価額をもとに計算されます。

 【固定資産税評価額とは】

地方税では原則として、税率が4%に固定されています。

そのため通常時に不動産取得税を計算する式は、下記の通りです。

【不動産取得税の計算式】
土地・建物の税額 = 固定資産税評価額 × 4% 

しかし、現在は様々な軽減措置特例が実施されています。

軽減措置と特例

まず土地と住宅の取得にかかる標準税率は、2021年3月31日まで3%に軽減されます。

ただし別荘や倉庫など、住宅以外の用途で使用される家屋は4%のままです。

【軽減措置の概要】
  • 土地および住宅 … 3%2021年3月31日まで)
  • 住宅以外の家屋 … 4%

この軽減措置は2015年3月31日までの予定でしたが、政策的な理由により延長されています。

不動産購入を考えている人なら、延長時期は注目しておきたいポイントです。

宅地の特例

宅地にも課税標準額特例が設けられています。

一般的に宅地とは、建物の敷地になる土地のことです。

不動産取得税の計算で用いられる課税標準額とは、原則として固定資産課税台帳に登録された価格になります。

2021年3月31日までに宅地など*を取得した場合、課税標準額は固定資産税評価額1/2になることを覚えておきましょう。

*…宅地および宅地評価された土地。

【宅地の特例】
宅地の課税標準額 = 固定資産税評価額 × 1/22021年3月31日まで)
お問い合わせはこちら

住宅ごとの軽減措置と要件

ここまで不動産取得税の軽減措置について、概要を解説してきました。

実際には、住宅の種類ごとに細かく軽減措置が設けられています。

下記の順番に、それぞれの軽減要件計算方法を確認していきましょう。

  1. 新築住宅
  2. 中古住宅
  3. 認定長期優良住宅

①:新築住宅

新築住宅の軽減措置について、建物・土地ごとに要件計算式を説明していきます。

特例とその要件は、建物と土地のそれぞれに設けられているので注意してください。

別々に計算後、合計することで最終的な税額を導きましょう!

建物

新築住宅建物が軽減を受けるための要件は、下記の通りです。

【軽減の要件(増改築含む)】

  • 居住用その他も含め住宅全般に適用される(マイホーム・セカンドハウス・賃貸用マンションなど)
  • 課税床面積50㎡以上*、240㎡以下であること

*…戸建以外の貸家住宅は1戸当たり40㎡以上。

要件を満たすと、次の計算式が適用され、特例の税額を求めることができます。

【特例の税額】
不動産取得税 = (固定資産税評価額 − 1,200万円)× 3%

土地

新築住宅土地が軽減を受けるための要件は、次の通りです。

【軽減の要件】

  • 建物の軽減要件を満たすこと
  • 土地先行取得の場合…取得から3年以内2022年3月31日までの特例)に建物を新築すること
  • 建物建築先行の場合…土地を借りるなどして住宅を新築した人が、新築1年以内にその土地を取得すること

要件を満たしたら、下記の計算式が適用され、特例の税額を求められます。

【特例の税額】
不動産取得税 = (固定資産税評価額 ×1/2×3%)− 控除額(下記AかBの多い金額)
【控除額】
・A = 45,000円
・B =(土地1㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2 )×(課税床面積 × 2(200㎡限度))× 3%

計算例

軽減措置の要件を満たす場合、新築住宅の不動産取得税がどれくらい減るのかを確認していきましょう。

不動産取得日、土地と建物の面積・評価額は下記の通りとします。

  • 不動産取得日…2020年11月1日
  • 建物…課税床面積:100㎡、固定資産税評価額:1,200万円
  • 土地…面積:120㎡、固定資産税評価額:2,400万円
種別 税額(軽減なし) 税額(軽減あり)
建物 1,200万円×3%=36万円 (1,200万円 − 1,200万円)×3%0円
土地 2,400万円×1/2×3%36万円 (2,400万円×1/2×3%)控除額60万円0円
合計 72万 0円

この条件で軽減措置を受けた場合、不動産取得税は0円なので、納税額の差は72万円となりました!

②:中古住宅

中古住宅の軽減措置について、建物・土地ごとに要件計算式を解説していきます。

建物の計算式は各都道府県によって異なる部分があり、必ずしも一定ではありません

お目当ての不動産について計算する際は、必要な数字をきちんと調べてから行ってくださいね。

建物

中古住宅建物が軽減措置を受けるための要件は、下記の通りです。

【軽減の要件】

  • 買主の居住用、またはセカンドハウス用として取得したこと(賃貸用マンションは適用外)
  • 課税床面積が50㎡以上240㎡以下であること
  • 次のいずれかに該当するものであること
  1. 1982年1月1日以降に建築されたものであること*
  2. ①に該当しない住宅で、新耐震基準に適合していることについて証明がなされたものや、既存住宅売買瑕疵保険**に加入している一定のものであること
  3. 新耐震基準に適合しない住宅で、入居前に新耐震基準に適合するための改修を実施する中古住宅であること

*…固定資産課税台帳に記載された新築日で判断する。

**…売買された既存住宅に瑕疵があった場合に、補修費用等を支払う保険のこと。

要件を満たしたら、次の計算式が適用され、特例での税額を求めることができます。

【特例の税額】
不動産取得税 = (固定資産税評価額 − 控除額)× 3%

不動産取得税の軽減に関する控除額は、各都道府県によって異なります。

詳しくは不動産所在の各都道府県税事務所に確認しましょう。

土地

中古住宅土地が軽減措置を受けるための要件は、次の通りです。

【軽減の要件】

  • 建物の軽減要件を満たすこと
  • 土地先行取得の場合…取得から1年以内にその土地上の建物を取得すること
  • 建物建築先行の場合…土地を借りるなどしてその土地上の建物を取得した人が、1年以内にその土地を取得すること

問題なく要件を満たせば、下記の計算式で特例の税額を求めることができます。

【特例の税額】
不動産取得税 = (固定資産税評価額 ×1/2×3%) − 控除額(下記AかBの多い金額)
【控除額】
・A = 45,000円
・B =(土地1㎡当たりの固定資産税評価額 ×1/2)×(課税床面積 × 2(200㎡限度))× 3%

計算例

軽減措置の要件を満たし、下記の条件で自己居住用中古マンションを取得した場合の不動産取得税を考えていきます。

  • 不動産取得日…2020年11月1日
  • 新築された年…2010年
  • 所在地…東京都
  • 建物…課税床面積:100㎡、固定資産税評価額:2,000万円
  • 土地…面積:150㎡、固定資産税評価額:3,000万円
種別 税額(軽減なし)
税額(軽減あり)
建物 2,000万円×3%60万円
(2,000万円 − 1,200万円) ×3% = 24万円
土地 3,000万円×1/2×3%45万円
3,000万円× 1/2× 3%) − 控除額60万円0円
合計 105万円 24万円

軽減措置の有無で、差額は84万円になりました。

③:認定長期優良住宅

長期優良住宅とは、以下のような措置が講じられている住宅のことです。

  1. 住宅の構造・設備について、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられていること。
  2. 良好な居住水準を確保するために必要な住宅面積を有すること。
  3. 地域の居住環境の維持・向上に配慮されたものであること。
  4. 維持保全の期間・方法を定めていること。

(参照:国土交通省HP「長期優良住宅のページ」

つまり、長く快適に住み続けるための措置が講じられた優良な住宅として、行政庁認定された住宅を指します。

 【認定長期優良住宅の認定を受けるには?】

長期優良住宅にも、不動産取得税の軽減措置があります。

特例の内容

長期優良物件として認定されれば、通常1200万円の控除額(新築住宅の場合)が1300万円にアップします。

これは2022年3月31日までの特例です。

計算例

それぞれ特例を受けた新築住宅長期優良物件の税額を、下記の条件の場合で比較してみましょう。

  • 不動産取得日…2020年11月1日
  • 建物…課税床面積:100㎡、固定資産税評価額:1,500万円
  • 土地…面積:120㎡、固定資産税評価額:2,400万円
種別 新築住宅の税額(軽減あり) 長期優良物件の税額(特例あり)
建物 (1,500万円 − 1,200万円)×3%=9万円 (1,500万円 − 1,300万円)×3%6万円
土地 (2,400万円×1/2×3%)控除額60万円0円 (2,400万円×1/2×3%)控除額60万円0円
合計 9万円 6万円

この条件で計算した結果、両者の差額は3万円になりました。

新築住宅が長期優良物件として認められると、不動産所得税をさらに抑えることができますね。

お問い合わせはこちら

申告と納付の流れ

不動産を取得したら、まずその事実申告することが必要です。

不動産取得税の納付は、納税通知書が届いてから行います。

不動産を取得したことの申告と、不動産取得税の納付は別の手続きになる点に注意してください。

申告・納付それぞれについて、手続きの時期方法を解説していきます。

申告

不動産を取得してから定められた日数以内に、土地・家屋所在地を管轄する都道府県税事務所に申告してください。

この日数は都道府県によって異なり東京都の場合は30日以内となっています。

未登記物件を取得した場合にも申告が必要です。

申告方法

不動産取得税申告書をはじめとする必要書類を整え、各都道府県税事務所に提出します。

各都道府県不動産の取得状況によって必要書類は変わるので、提出先に確認しながら準備してください。

納付

不動産取得税納付について、時期方法を解説します。

取得から納付までの時間が長くなる場合もあるので、納付忘れには注意しましょう。

納付時期

納付時期は、都道府県税事務所から送付*される納税通知書で確認できます。

*…不動産所得税が0円の場合は、納付書が送付されないこともある。

不動産取得税の納税通知書が届く目安は、不動産の所有権移転の登記をしてから約4~6ヶ月後です。

住宅を新築した場合は、価格決定手続きが必要になるので、さらに時間がかかります

納付期限(原則として発送月の月末)は納税通知書に記載されているので、間に合うように納めてください。

納付方法

納付方法は各都道府県によって異なります

自分が利用できる納付方法を、各都道府県のHPなどで必ず確認してください。

例えば東京都での主な納付方法は、下記4つです。

  1. 窓口納付
  2. コンビニエンスストアでの納付
  3. ペイジー(Pay-easy)の利用
  4. クレジットカードの利用
納付方法 領収書の有無 備考
①:窓口納付 都税事務所・都税支所・支庁・金融機関・郵便局
②:コンビニエンスストアでの納付 納付書1枚あたりの金額が30万円以下の納付書に限る。
③:ペイジー(Pay-easy)の利用  
④:クレジットカードの利用

・納付書1枚あたりの金額が100万円未満のものに限る。

・別途手数料がかかる。

(参照:東京都主税局HP「不動産取得税」

軽減措置の申請について

軽減措置を受けるための申請手続きを解説していきます。

きちんと申請し、課税される不動産所得税を抑えましょう。

申請を忘れた場合の還付金についても紹介しているので、最後までじっくり読んでくださいね!

申請手続き

軽減措置を受ける場合は、不動産取得税の申告と同様都道府県税事務所へ申請します。

不備のない申請のために、下記の順で確認していきましょう。

  • 申請期限
  • 申請書類

申請期限

申請書の提出期限は、不動産を取得(登記)した日から原則60日以内です。

不動産取得税の申告と同時に、軽減措置の申請も行うようにしましょう。

申請書類

主な提出書類とその作成に必要なものは、以下の通りです。

  1. 不動産取得税課税基準の特例適用申告書
  2. 不動産取得税申告書
  3. 不動産取得税の納税通知書
  4. 土地と住宅の売買契約書(住宅引渡証書)
  5. 住宅の登記事項証明書(または登記謄本)
  6. 印鑑

①は、建物(家屋)用土地用それぞれ1通ずつ用意してください。

この他に必要書類が増えることもあるので、各都道府県税事務所に確認しながら申請書類を準備しましょう。

還付もできます!

軽減措置を受けずに不動産取得税を支払ってしまったあとでも、不動産の取得日から5年以内であれば、差額分還付されます。

軽減措置の申請を忘れていた人も、自分の住宅が要件を満たしているかを確認してみましょう。

また、土地を先に購入した場合は、3年以内に新築すると減税できる場合があります。

詳細は、都道府県税事務所の窓口へ問い合わせてみてください。

各都道府県ごとに違いがあるので、しっかり確認しましょう!

軽減措置で大幅に減額できる不動産取得税について、お分かりいただけましたか?

本記事では、以下の内容を解説しました。

  • 不動産取得税とは
  • 住宅ごとの軽減措置と要件
  • 申告と納付の流れ
  • 軽減措置の申請について

不動産取得税のポイントは、都道府県によって手続きや計算に違いがあることです。

お得に納税するためにも、きちんと確認して手続きのミスを防ぎましょう。

また、1度だけ課税される税金なので、納付忘れにも注意してくださいね。

不動産取得税についてしっかり把握することで、不動産の購入はよりスムーズになります。

不安なことがあれば、弊所までお気軽にご相談ください!

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