【飲食店を開業】するために必要な資格や申請書類のすべて
- 記事監修 大堀 優
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税理士・大堀優(オオホリヒロシ)スタートアップ税理士法人代表。1983年、愛媛県出身。2013年に税理士登録をした後、2015年2月に独立開業しスタートアップ会計事務所を設立。 2017年1月、社会保険労務士事務所を併設する。2021年6月に会計事務所を税理士法人化、8月に横浜オフィスを開設。2023年4月に銀座オフィスを開設。
【会社設立をしたい方へ一言】みなさんの不安を払拭できるように、“話しやすさNo.1の事務所”として寄り添ったサポートを心掛けています。なんでもお気軽にご相談ください!
「飲食店を開業して繁盛させたい!」
「美味しい飲食を提供して、たくさんの笑顔が見たい!」
「自分の好きな飲食を極めて、世に発信していきたい!」
飲食店を開業するにあたっての動機は人それぞれです。
しかしどの飲食店を開業するにしても、様々な資格や申請書・届出が必要になってきます。
人の口に入る飲食を提供する側としても、どんな資格や申請書がいるのかは、おろそかにしてはいけない部分です。
様々なケース別に紹介しているので、あなたの飲食店の形態に合った資格や申請書をおさえておきましょう。
- 目次
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必要資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」
飲食店を開業するときの必要最低限の資格は、
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
の2つです。それぞれ見ていきましょう。
食品衛生責任者
飲食店を開業するときに必須なのが、食品衛生責任者の資格。
この資格を持っていれば、調理師免許がなくても飲食店の開業が可能です。
取得方法は、各々の都道府県にて食品衛生協会が開催している講習を、6時間受けることで得られます。
受講費は約1万円。
ちなみにすでに調理師免許や栄養士の免許を持っている場合は、講習を受けなくても取得済みの扱いになります。
防火管理者(※30名以上収容できる飲食店)
収容人数が30名以上の飲食店を開業する場合は、防火管理者の資格も必要です。
取得するには、日本防火・防災協会が全国各地で開催している講習を受講する必要があります。
この講習には述べ面積により、
- 甲種講習(収容人数が30名以上&面積が300㎡以上)
- 乙種講習(収容人数が30名以上&面積㎡未満)
の2種類があり、講習時間は甲種が約10時間(2日)・乙種が約5時間(1日)です。
受講料は甲種が7500円・乙種が6500円。
飲食店は火を使用する機会も多いので、その分火災事故に繋がる確率も上がってきます。
いざというときに適切な対応ができるように、しっかりと講習を受けておきましょう。
必要な申請書・届出9選
飲食店の開業時に提出する申請書・届出は数多くあります。
代表的な申請書・届け出は9種類です。
- 飲食店営業許可申請
- 菓子製造業許可申請
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
- 開業(廃業)届出書
- 社会保険の加入手続き
- 防火管理者選任届
- 防火対象物使用開始届出書
- 水質検査成績書
- 火を使用する設備等の設置届
しかし全て必要になるケースは滅多にないので、あなたが開業する飲食店に沿った申請書・届出をそろえてください。
①:飲食店営業許可申請
飲食店を開業するのに避けて通れないのが、飲食店営業許可申請。
申請先は保健所です。
とはいえ、保健所に行けば当日中に許可申請が完了するわけではありません。
- 保健所に事前相談
- 営業許可申請
- 施設(店舗)検査日時の打ち合わせ
- 保健所の担当者による施設(店舗)の確認・検査
- 営業許可書の交付
上記の手順を経てようやく飲食店が開業できるので、時間には余裕を持って申請しましょう。
喫茶店営業許可申請
喫茶店を開業する場合は、喫茶店営業許可申請のみでOKです。
飲食店営業許可申請と比べると申請が通るまでのハードルが低いですが、提供できるものはアルコール以外の飲物と茶菓に限ります。
②:菓子製造業許可申請(※パン屋を含む菓子店)
- パン
- ケーキ
- 餅菓子
- 飴菓子
- チューインガム
など店内でスイーツを製造する業務を行う場合も、保健所に菓子製造業許可申請が必要です。
ただし、あくまでもメインでパンやケーキを提供する店を開業するときの申請なので、喫茶店やレストランのメニューの1つとして提供する場合は、菓子製造業許可申請は必要ないことが多いでしょう。
許可申請が通るための必要な施設基準には…
- 換気設備
- 冷蔵設備
- 施設内の明るさ
- 手洗い・消毒設備
- 原料倉庫の設置
など細かく要件が決まっています。
保健所の担当者と綿密に確認していきましょう。
③:深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(※深夜0時以降のアルコール類提供店)
深夜0時以降もアルコール類を提供する店を営業する場合は、深夜酒類提供飲食店営業開始届出書が必要です。
この届出書の提出先は、警察署になります。
最近は牛丼やラーメンの大手チェーン店でも、アルコール類が提供される機会も増えてきました。
ただし開業する店のメインが主食になりうるものなら、届出書の必要はありません。
ちなみにキャバクラなど、深夜0時以降の酒類提供だけでなく「接待」も行う場合は、深夜酒類提供飲食店営業開始届出書ではありません。
その場合に必要なのは風俗営業許可申請なので、注意しておきましょう。
④:開業(廃業)届出書(※個人事業主として開業)
飲食店に限らず個人事業として開業する場合は、開業(廃業)届出書を、税務署に提出します。
とくに何も用意しなくても、窓口で簡単に提出可能です。
営業開始日から1ヶ月以内に提出しましょう。
青色申告承認申請書も出して節税!
開業届出書は提出しなくても、罰則などはありません。
しかし節税効果の高い(最大65万円の控除)青色申告ができるというメリットがあります。
青色申告をするには、青色申告承認申請書が必要なので、提出を忘れないようにしましょう。
ちなみに営業開始日から2ヶ月以内に提出する必要があります。
⑤:社会保険の加入手続き
こちらも飲食店に限らず、事業を始めたら社会保険の加入は必須です。
従業員を雇う場合は、下記5つの保険に加入させる義務が発生します。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 介護保険
⑥:防火管理者選任届
必要資格のところで紹介した防火管理者の資格を取得したら、防火管理者選任届を消防署に提出します。
テンプレートは各消防庁のホームページにあるので、そちらを参考にしてみてください。
⑦:防火対象物使用開始届出書
火災予防条例に基づき、防火対象物使用開始届出書も消防署に提出する必要があります。
建物によって異なりますが、この届出書と一緒に
- 配置図
- 各階の平面図
- 電気配線図
も一緒に提出することになるかもしれません。
事前に消防署の担当者と相談して、必要書類をそろえるのがベストです。
ちなみに提出期限は、建物を使用する7日前までになっています。
忘れずに提出するようにしましょう。
⑧:水質検査成績書(※井戸水・貯水槽の水を使う店)
開業する飲食店で井戸水や貯水槽の水を使う場合は、水質検査成績書が必要です。
高層ビルの上階にあるレストランなどは直接水道を引くことができないので、一旦貯水槽に貯めて供給します。
また水質検査は1年おきにしなければいけないので、水質検査成績書は1年未満のものを提出しましょう。
⑨:火を使用する設備等の設置届
飲食店は火を使用する機会が多いため、その設備の設置届を提出します。
火を使用する設備等の設置届を出さないといけない設備は…
- 温風暖房機
- 厨房設備
- ボイラー
- 乾燥設備
- 給湯湯沸設備
- 火花が生じる設備
などが主な例です。
設置する5日前までに消防署へ提出しないといけないので、事前の確認を怠らないようにしましょう。
まとめ~必要な資格・申請書・届出を理解していこう~
最後におさらいすると、飲食店を開業するのに必要な資格は…
- 食品衛生責任者
- 防火管理者(※30名以上収容できる飲食店)
必要な申請書・届出は…
- 飲食店営業許可申請
- 喫茶店営業許可申請(※喫茶店)
- 菓子製造業許可申請(※パン屋を含む菓子店)
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
- 開業(廃業)届出書(※個人事業主として開業)
- 社会保険の加入手続き
- 防火管理者選任届
- 防火対象物使用開始届出書
- 水質検査成績書(※井戸水・貯水槽の水を使う店)
- 火を使用する設備等の設置届
など開業する飲食店の種類によって、様々なものがありました。
あらかじめ何が必要なのか把握しておいて、開業する際に慌てることがないようにしておきましょう。
あなたの提供する飲食が、誰かの心を満たすお手伝いができれば幸いです。
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