相続税の申告を税理士に相談する場合の費用は?相場と注意点を解説!
- 記事監修 大堀 優
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税理士・大堀優(オオホリヒロシ)スタートアップ税理士法人代表。1983年、愛媛県出身。2013年に税理士登録をした後、2015年2月に独立開業しスタートアップ会計事務所を設立。 2017年1月、社会保険労務士事務所を併設する。2021年6月に会計事務所を税理士法人化、8月に横浜オフィスを開設。
【会社設立をしたい方へ一言】みなさんの不安を払拭できるように、“話しやすさNo.1の事務所”として寄り添ったサポートを心掛けています。なんでもお気軽にご相談ください!
相続税の申告が必要な際、税理士への相談を検討される方が少なくありません。
この時、気になるのが税理士費用の相場や、税理士費用を誰が払うのか、という点です。
申告を不安なくスムーズに進めるために、事前に費用相場や注意点を覚えておきましょう。
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相続税の申告は自分でもできる?
相続税の申告は、自分でもできる作業です。
ですが、準備する書類が非常に多いこと、家族を亡くした後、精神的に落ち込んでいる状態で速やかに正しい判断をしなければいけないことなど、簡単ではありません。
実際に8割以上の家庭が、相続税申告に税理士の手を借りているというデータもあります。
相続に関連する手続きは、税務のプロである税理士でも、一番難しい作業だと言われています。
税理士に依頼することで節税できたり、税務調査が入る可能性を減らしたり、というメリットもあるため、自分では難しそうな場合は専門家の力を借りてみましょう。
相続税申告を税理士に依頼する場合の相場
相続税申告を税理士に依頼する場合の相場は、遺産総額によって変わります。
その他にも、必要に応じた加算報酬が追加される例があるため、あわせて覚えておきましょう。
相続税申告の基本報酬
税理士が相続税申告を担当する場合、遺産総額の0.5~1%が相場だと言われています。
中には2~3%の見積もりになる税理士もいます。
税理士報酬には決まった金額がありません。
価格だけでなく、依頼できる内容、税理士の質なども考慮しながら選択しましょう。
税理士の選び方については、このあと解説いたします。
また、遺産総額×○%と毎回計算するのではなく、総額によってあらかじめ基本料金を設定しているケースがほとんどです。
- 4,000万円以下:20~40万円
- 4,000~5,000万円:25~50万円
- 5,000~6,000万円:30~60万円
- 6,000~7,000万円:35~70万円
- 7,000~8,000万円:40~80万円
- 8,000~9,000万円:45~90万円
- 9,000~1億円:50~100万円
といった形で金額が上がっていきます。
4~5億を超えるような大きな遺産金額の場合は、別途見積もりになるケースが多いでしょう。
相続税申告の加算報酬
基本報酬に加えて、相続税申告が煩雑になったり、手間や時間がかかったりする場合は別途加算報酬が必要です。
- 所持している土地の数が多い
- 特殊な土地が含まれている
- 相続人の人数が多い
- 非上場株式を保有している
- 骨董品や書画などを保有している
- 相続税申告期限が迫っている
- 書面添付制度への対応
- 相続税物納への対応
- 現地調査や訪問時の交通費や旅費
- 税務調査があった場合の税務調査立ち会い報酬
- 戸籍や金融機関残高証明書などの取得代行費
など、土地が1利用区分増えるたびに○円、非上場株式1社につき○円、相続人が一人増える度に○%加算、といった金額が定められています。
書面添付制度は、相続税申告の際に書類の信頼度をアップできるサービスです。
このあと、税理士の選び方の部分で、内容を紹介いたします。
相続税申告の際の注意点5つ
相続税申告を速やかに進めるために、覚えておきたい注意点があります。
5つのポイントを押さえて、トラブルの少ないスムーズな申請にしましょう。
注意点1:相続税の申告期限
相続税には申告期限があります。
被相続人が死亡したことを知った日から、10ヶ月以内に申告が必要なため、税理士へ依頼する場合は間に合うように相談しましょう。
期限まで3ヶ月を切る頃から、加算報酬が必要になるケースが多くみられます。
家族が亡くなった後はやることが多く忙しいこと、10ヶ月と聞くとだいぶ余裕があるように感じられますが、相続税申告前に、財産の調査や確認、必要に応じた相続放棄、所得税の準確定申告などの作業が必要です。お葬式が終わったら、できるだけ早く対応をはじめましょう。
万が一遅れてしまうと無申告加算税、延滞税といった税金が加算されてしまいます。
期限を過ぎると、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減といった特例も使えなくなるため、注意しましょう。
注意点2:見積金額と請求金額が同じである
相続税申告には、さまざまな加算報酬があります。
見積もりを依頼する際は、かならず加算報酬が含められた、最終金額が掲載された書面を提示してもらいましょう。
安心して相談するために、全体で○円、という出し方ではなく、何にいくら必要なのか、細かな明細をだしてくれる税理士を選びましょう。
注意点3:総額が増えた場合の考え方をチェック
遺産相続の手続きを進めている際に、新たな土地や財産が見つかったり、支払い費用が足りず物納を選んだり、といった理由で税理士報酬が変わる場合があります。
この時、はじめの見積もりが適用されるのかどうか、変更になる場合はいくらの追加支払いが必要なのか、という点をたしかめておくと安心です。
税理士事務所、税理士法人によっては、○万円程度の誤差であれば見積もりと同じで対応してもらえるケースがあります。+500万円程度までは見積もり範囲内など、規定がある場合は確認しておきましょう。
注意点4:相続税以外の相談の有無
家族が亡くなってしなった場合、相続だけでなく不動産登記や預金解約といった手続きが必要です。この時、相続税については税理士が対応できますが、不動産登記や預金解約は専門外です。
それぞれ別の専門家を探し相談するのは、慌ただしい中大変な作業になります。
相続税以外の相談も検討している場合は、税理士や行政書士、司法書士といったプロフェッショナルが一つの会社に所属している税理士法人への相談を検討しましょう。
注意点5:報酬相場を公開している
税理士のホームページや税理士との面談の際、報酬相場をオープンに提示している税理士事務所、税理士法人であれば、安心して相談できます。
逆に、サイトに金額が掲載されていない、個人事務所にも報酬相場が記載された資料がない、という場合、見積もり金額、請求金額が適正なのかどうかたしかめられません。。
安心して依頼するためにも、事前に相場の確認や料金シミュレーションができる税理士を選びましょう。提示された価格が適正なのか、不安な場合は、別の税理士にも相談の上、相談先を選択してください。
相談は相続にくわしい税理士へ
複数の税理士事務所、税理士法人で相続税申告の見積もりをお願いした場合、価格が大きく違うケースがみられます。
これは、担当する税理士によって、財産評価額が変わるからです。
相続にくわしくない税理士に相談してしまった場合、財産評価額をざっとで計算されてしまい、支払うべき相続税が高額になるケースがあります。
財産の分け方についても、相続にくわしい税理士は先頭に立って的確なアドバイスをしてくれますが、慣れていない税理士の場合は、少ない知識での対応となり、親族の間で不満が出たり、トラブルの火種になったり、という恐れがあります。
問い合わせの際は、税理士の得意分野、専門分野を事前に調べた上で、相続に強い税理士を比較検討するのが正解です。
次に、税理士のくわしい選び方をチェックしてみましょう。
相続に強い税理士の選び方5つ
相続を間違いなく進めるために、専門知識を持つ税理士を選ぶ必要があります。
どのような点に注意して、税理士選びをすればよいのか、5つのポイントを解説いたします。
ポイント1:相続を看板に掲げている
相続税申告の仕事は、いくつもある税理士の仕事の中でも難しいジャンルです。
そのため、本業でない税理士に依頼してしまった場合、税金が高くなってしまうなどのトラブルが起きがちです。
法人向けに税理士事務所を立ち上げたものの、思うように集客できず、個人の相続税申告にも手を広げる例が実際にありますが、相続税申告はそれほど簡単ではありません。
かならず看板やホームページの一番に「相続」を謳っている税理士事務所、税理士法人を選び、法人であれば法人申告実績、個人であれば個人申告実績をたしかめておきましょう。
個人で依頼する場合、最低でも年間30件以上相続に携わっている税理士を選んでみてください。
ポイント2:価格だけで比較しない
税理士業界の価格破壊が起きている背景があり、相場よりも安価な見積もりを出す税理士事務所、税理士法人が少なくありません。
ですが、安さだけで選んでしまった場合、税理士の知識が足りなかったり、早く終わらせるためにきめ細やかな対応をしてもらなかったり、という恐れがあります。
税理士費用を安く抑えられても、支払う税金の額が増えてしまっては本末転倒です。
安価な税理士に依頼した結果、税務調査が入り、追加で支払いを命じられた、という例もあります。
相続税申告を税理士に相談するなら、なぜその金額なのか、金額内で何ができるのかをしっかり説明してくれる税理士事務所、税理士法人を選びましょう。
ポイント3:節税の提案が受けられる
税理士へ相続税申告を相談する理由は主に2つ。
煩雑な申請を代行して欲しい、支払う税金の額を抑えたい、という目的で、依頼するケースがほとんどです。
相続税申告に関連する節税提案は、財産の価値や家族構成によって変わります。
税理士が財産の価値を過小に評価する、ということはできませんが、
- 遺産をどう分割するべきか
- 配偶者の優遇制度をどうすれば最大に活用できるのか
- 小規模宅地といった特例を利用できるかどうか
など、経験豊富な税理士であれば、税金をもっとも抑えられる方法を提案してもらえます。
これらの提案、説明なく、淡々と進めていくタイプの税理士だった場合は、申告内容に間違いがないかどうか、他の税理士へセカンドオピニオンを依頼するという方法もあります。
家庭環境に合った相続税申告で、適正な税金を納めるようにしてください。
ポイント4:二次相続の対策をしてもらえる
いざ相続の場面に立った時、目の前のことでいっぱいになってしまうと思います。
ですが、相続は現在やるべき相続だけでなく、父の財産を受け継いだ母がその後亡くなった場合、といった二次相続まで考えた、最善の対策が必要です。
二次相続にそなえて一時相続はこう進めるべき、という説明をしてくれる税理士を選んで、将来的にも節税できる仕組みを整えておきましょう。
ポイント5:書面添付制度に対応している
税務調査を受けたくないから、税理士へ相続税申告を依頼したい、という方もいると思います。この場合は、税務調査が入りにくい対策をしてくれる税理士を選びましょう。
私がこの申告に携わりました、という税理士の証明である書面添付制度に対応している税理士が作成した相続税申告は、申告ミスが少ない可能性が高く、税務調査が入りにくくなります。
書面添付制度はどの税理士も対応しているわけではなく、一部の税理士のみです。
追徴課税の不安からできるだけ免れたい、という場合は、書類添付制度に対応している税理士に相談してください。
これまでのどのくらい税務調査を受けた例があるのか、税務調査率をあわせてたしかめておくとより安心です。
税理士費用は誰が払う?
複数の人間で相続財産を取得する場合、誰がどのくらい税理士費用を支払うのか、という点が問題になります。
支払うべき相続税の金額は、財産の額などによってそれぞれ変わりますが、税理士へ支払う費用については“誰が納めるべき”という決まりはありません。
事前に親族同士で相談して、誰がいくら出すのかを決めておくと安心です。
仮に税理士費用が40万円かかる場合、4人の相続人で10万円ずつ出し合う、というのはよくある話です。
ただし、請求書は代表者宛の一通になります。
「分割で進める予定だったけれど、なかなか支払ってもらえない」というトラブルを招かないように、
- 相続人全員が税理士への依頼に納得してから相談する
- 一人ひとりの支払い割合を事前に決定し、書面に残しておく
といった配慮をしておきましょう。
まとめ
本記事では、相続税申告を税理士に依頼する際の費用相場や注意点について、下記の流れで解説してきました。
- 相続税の申告は自分でもできる?
- 相続税申告を税理士に依頼する場合の相場
- 相続税申告の際の注意点5つ
- 相談は相続にくわしい税理士へ
- 相続に強い税理士の選び方5つ
- 税理士費用は誰が払う?
手続きが難しい相続税申告は、税務のプロフェッショナルである税理士へ相談すると安心です。相続が必要になったら、できるだけ早めに税理士探しをスタートさせて、申告期限に遅れないように進めましょう。
的確な金額で相談できる税理士、書面添付制度に対応している税理士、相続以外も相談できる税理士法人など、費用は相談できる範囲はさまざまです。
事前に予算や希望を決定の上、複数の税理士事務所、税理士法人で見積もりを取って、安心して相談できる税理士を選択しましょう。
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