【サブリース方式】と【管理委託方式】の違いと節税方法を徹底比較!
- 記事監修 大堀 優
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税理士・大堀優(オオホリヒロシ)スタートアップ税理士法人代表。1983年、愛媛県出身。2013年に税理士登録をした後、2015年2月に独立開業しスタートアップ会計事務所を設立。 2017年1月、社会保険労務士事務所を併設する。2021年6月に会計事務所を税理士法人化、8月に横浜オフィスを開設。2023年4月に銀座オフィスを開設。
【会社設立をしたい方へ一言】みなさんの不安を払拭できるように、“話しやすさNo.1の事務所”として寄り添ったサポートを心掛けています。なんでもお気軽にご相談ください!
物件など不動産を運用する際に気をつけたいのは、管理方式。
- サブリース方式
- 管理委託方式
上記2つの違いはご存知でしょうか?
今回はサブリース方式と管理委託方式のメリット・デメリットをはじめ、それぞれの節税方法、さらには最近施行された「サブリース新法」についても紹介していきます。
- 目次
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サブリース方式(一括転貸方式)とは?
サブリース方式(一括転貸方式)の場合は、契約は入居者とサブリース会社間で行われます。
貸主は、部屋の空室率に関係なく一定額の家賃が受け取れるので、ローリスクで運用することが可能です。
一方で、たとえ満室になっても受け取れる額は変わりません。(成約価格の80%~90%が相場)
管理委託方式とは?
管理委託方式の場合、契約は入居者とオーナー間です。
管理機能だけを委託する方式なので、空室率がダイレクトに収入に繋がります。
つまり入居者がいないと家賃収入もありません。
逆に満室になれば、サブリース方式よりも家賃収入が高くなる可能性があります。
サブリース方式と管理委託方式の違い一覧表
サブリース方式と管理委託方式の違いを一覧表にしてまとめました。
管理方式 | 家賃保証 | 管理手数料 | 家賃額 | 更新料・礼金など | リフォーム代 | トラブル関連 |
---|---|---|---|---|---|---|
サブリース方式 | 〇 | 受け取れない | 低額 | 受け取れない | 〇(サブリース会社指定の会社) | サブリース会社対応 |
管理委託方式 | × | 受け取れる | 適正額 | 受け取れる | 〇(自由に選択可能) | 貸主対応 |
それぞれの詳しいメリット・デメリットは、以下で確認してみてくださいね。
【サブリース方式】メリット・デメリット
ここからは、サブリース方式のメリットとデメリットを確認していきましょう。
【サブリース方式】メリット
サブリース方式のメリットは、大きく分けて次の2つです。
- 空室率を気にしなくていい
- 入居者の管理を任せられる
①:空室率を気にしなくていい
物件の管理や入居者の管理を一括してサブリースにすることで、入居者数に関わらず一定額の家賃収入を受け取ることができます。
つまりたとえ入居者が0人だとしても、家賃収入が0円ということにはなりません。
立地や条件などを鑑みて、需要があまりなさそうな物件にはオススメの管理方式です。
②:入居者の管理を任せられる
家賃の未納や、騒音問題など入居者とのトラブルがあった場合、契約次第でサブリース会社に管理を任せることができます。
【サブリース方式】デメリット
サブリース方式のデメリットは、主に次のとおりです。
- 満室でも家賃収入はそのまま
- リフォーム費用がかさむ可能性アリ
- 家賃の値下げが続くリスク
- 物件が相場より高くなるリスク
①:満室でも家賃収入はそのまま
サブリースは、空室率に関係なく一定の家賃収入が見込める一方で、満室になっても収入は増えません。
好立地など人気が見込める物件の場合は、サブリースにするべきか、もう一度検討してみるのもいいでしょう。
②:リフォーム費用がかさむ可能性アリ
物件のリフォームが必要になった際、サブリースだと会社が指定した業者しか利用できない可能性があります。
その会社が良心的な価格とは限りません。
場合によっては自身で業者を探すよりも割高になる可能性があるので、契約時にしっかりと確認しておきましょう。
③:家賃の値下げが続くリスク
空室率に関係なく一定額の家賃収入が見込めると上述しましたが、空室が続くとサブリース会社にとっては大きな痛手です。
そこでサブリース会社は、家賃の値下げに踏み切ること可能性があります。
家賃を下げれば入居率を上げることはできますが、その分オーナーが受け取れる家賃収入も下がってしまいます。(成約価格の80%~90%が相場のため)
その結果、物件購入時のローンさえ、家賃収入だけではカバーできなくなってしまうかもしれません。
④:物件が相場より高くなるリスク
サブリース契約を目的で物件を購入する際、その相場を事前に確認しておきましょう。
なぜならサブリース会社が、相場よりも高めの金額で物件を売る可能性があるからです。
たとえば相場が2000万円の物件を、2800万円などで提示されたときは、サブリース会社が管理料だけでなく、物件売却時の利益も加味しているかもしれません。
【管理委託方式】メリット・デメリット
続いて管理委託方式のメリット・デメリットも見ていきましょう。
【管理委託方式】メリット
まずは主なメリットから確認していきます。
- 管理業務の手間が省ける
- 賃貸物件の収益=オーナーの収入
①:管理業務の手間が省ける
契約内容にもよりますが、管理業務の手間を省けます。
主に建物の点検やメンテナンスをはじめ、退去後のリフォームの手配などを委託することが可能です。
②:賃貸物件の収益=貸主の収入
家賃を自由に設定できるので、物件の需要の合わせてコントロールできるのがポイント。
とくに好立地の物件を所有している場合は、設定した家賃が収入になるので、サブリースよりも収入を増やせるかもしれません。
【管理委託方式】デメリット
続いて主なデメリットも紹介していきます。
- 空室が続くと家賃収入もゼロ
- 入居者とのトラブル対応などの裁量が増える
①:空室が続くと家賃収入もゼロ
満室ならそれなりの家賃収入が見込めますが、空室が続くと家賃収入も0円です。
需要が見込めない場合は、サブリースにするか家賃を下げてでも入居率を上げないと、厳しい状態になりかねません。
②:入居者とのトラブル対応などの裁量が増える
入居者との間にトラブルがあったときに、オーナーが直接対応しなければなりません。
家賃の未納や騒音トラブルなど、自力で解決するのが面倒な場合は、サブリースにして会社を仲介するのも1つの手です。
サブリースは節税効果があります!
物件をサブリース契約するとき、収入管理のために資産管理会社を設立すると、節税に繋がることをご存知ですか?
不動産投資による利益は、個人だと所得税、法人だと法人税が課せられます。
所得税率>法人税率の場合は、法人化することで税負担を抑えることが可能です。
さらに法人化すると、経費の枠も増えるので、自身の配偶者や子どもを法人役員という形にすると、給与を経費として精算することができます。
さらにそれを受け取った配偶者や子どもには、給与所得控除が利用できるというメリットもあってお得です。
ただし、もちろん注意点もいくつかあります。
サブリースで節税をする際の注意点
サブリースで節税をしようと思っている場合は、ぜひ次の注意点も視野に入れておいてくださいね。
- ずっと家賃保証をしてくれるとは限らない
- 会社の設立・運営コストがかかる
ずっと家賃保証をしてくれるとは限らない
サブリース会社は、オーナーが空室率を気にしなくて済むように家賃保証をしています。
ただし需要の変化や老朽化などにより、契約時と保証の内容が変わるかもしれません。
数年おきに保証される家賃の額が変わるので、それらを見据えて計画的に運用していく必要があります。
会社の設立・運営コストがかかる
資産管理会社を設立すると節税になると上述しましたが、もちろん会社設立はタダではできません。
何も知識がない状態だと、設立までに時間がかかってしまうので、税理士へ依頼する方がほとんどでしょう。
さらに会社の設立が完了しても、ほったらかしでは経費として落とすのは厳しくなります。
業務実態をはっきりさせながら運用していくのは、金銭面・時間面でもコストはかかるので、シミュレーションは入念に行っておきましょう。
理委託方式で節税するには?
「サブリースが節税になるのはわかったけど、管理委託方式は?」
実は管理委託方式の方が、節税までのハードルは低くなります。
ただし実際の節税額は、サブリースよりも少ないので、その点を考慮して確認していきましょう。
【ポイント】管理料をいくらにするか?
管理委託方式の場合、物件の所有は個人のまま、法人に管理業務を委託する管理料を支払うことで所得を分散させ、節税します。
その際に重要になってくるのは、「管理料をいくらにするか?」ということです。
管理料の相場は家賃の3%~8%となっています。
これ以上にすると税務調査のときに引っかかる可能性があるので、心配な場合は、事前に周辺の管理料の相場を調査しておくといいでしょう。
さらに実際に管理している証拠として、日々の業務日誌をつけることも効果的です。
しかしたとえ税務調査が問題なくても、節税できるのは管理料の部分のみとサブリースと比較すると、節税の幅は狭くなります。
これらの点を考慮したうえで、決めていきましょう。
サブリース新法とは?
「突然、家賃減額などの条件変更を求められた」
「解約する条件などハードルが高すぎる」
このようなサブリース会社とオーナー間のトラブルを未然に防ぐために、サブリース新法が施行されました。
2020年12月施行の措置では、次のような規定があります。
参考:サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン(PDF)
- 誇大広告等の禁止
- 不当な勧誘等の禁止
- 重要事項説明
①:誇大広告等の禁止
実際よりも優良だと見せかけて誤認させる誇大広告や、虚偽の表示で騙す虚偽広告は禁止です。
主に次のような事項が該当します。
- サブリース会社がオーナーに支払う家賃の額、条件の変更に関する事項
- 賃貸住宅の維持保全の実施方法
- 賃貸住宅の維持保全の費用の分担に関する事項
- マスターリース契約(=サブリースを前提とした契約)の解除に関する事項
(誇大広告等の禁止)
第二十八条 特定転貸事業者又は勧誘者(特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)(以下「特定転貸事業者等」という。)は、第二条第五項に規定する事業に係る特定賃貸借契約の条件について広告をするときは、特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃、賃貸住宅の維持保全の実施方法、特定賃貸借契約の解除に関する事項その他の国土交通省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
(引用:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)
②:不当な勧誘等の禁止
サブリース会社等が、誤った情報による勧誘や、相手の意思決定を阻害するような勧誘、サブリースの解約を妨げるような行為も禁止です。
具体的には、次のような事例が挙げられます。
- 故意に事実を告げない行為
→家賃減額のリスク、期間中でもサブリース会社から契約解除される可能性のあること、修繕費の負担などがあることを、事前に伝えずにメリットだけを強調するような勧誘。
- 故意に不実のことを告げる行為
→家賃減額の可能性を否定したり、家賃100%保証の確約、修繕費をサブリース会社負担だと嘘をつく行為など。
(不当な勧誘等の禁止)
第二十九条 特定転貸事業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し、又はその解除を妨げるため、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者に対し、当該特定賃貸借契約に関する事項であって特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
二 前号に掲げるもののほか、特定賃貸借契約に関する行為であって、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるもの
(引用:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)
③:重要事項説明
サブリース会社とオーナーになろうとする者の間には、経験・専門知識の量に大きな差があります。
サブリース会社がこの差を利用して、自身が有利になる契約をさせるなどの行為を未然に防ぐため、重要事項はしっかりと説明しなければなりません。
契約前の説明必須事項は、次の①~⑭です。
- マスターリース契約を締結するサブリース業者の商号、名称又は氏名及び住所
- マスターリース契約の対象となる賃貸住宅
- 契約期間に関する事項
- マスターリース契約の相手方に支払う家賃の額、支払期日、支払方法等の条件並びにその変更に関する事項
- サブリース業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法
- サブリース業者が行う賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項
- マスターリース契約の相手方に対する維持保全の実施状況の報告に関する事項
- 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
- 責任及び免責に関する事項
- 転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項
- 転借人に対する⑤の内容の周知に関する事項
- マスターリース契約の更新及び解除に関する事項
- マスターリース契約が終了した場合におけるサブリース業者の権利義務の承継に関する事項
- 借地借家法その他マスターリース契約に係る法令に関する事項の概要
それぞれの詳細は、国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」のPDFをご覧ください。
(特定賃貸借契約の締結時の書面の交付)
第三十一条 特定転貸事業者は、特定賃貸借契約を締結したときは、当該特定賃貸借契約の相手方に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一 特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅
二 特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項
三 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法
四 契約期間に関する事項
五 転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項
六 契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
七 その他国土交通省令で定める事項
2 前条第二項の規定は、前項の規定による書面の交付について準用する。
(引用:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)
それぞれの管理方式のポイントを理解して節税しよう!
今回は「サブリース方式」と「管理委託方式」について…
- メリット・デメリット
- 節税方法
- サブリース新法について
上記の項目を順番に解説してきました。
「サブリース方式」と「管理委託方式」を選ぶ際の判断材料になっていたら幸いです。
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