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【法人化のタイミング】は2種類!検討ポイントと注意点を徹底解説

「事業を拡大していくために法人化したいけど、どれくらいの所得があればいいのかな?」

「個人事業主から法人へスムーズに移行できるのは、1年間のどの時期だろう?」

個人事業主の皆さんが法人化を考える上で、タイミングは重要な問題ですよね。

本記事では法人化を検討する際に知っておきたい、下記2種類のタイミングをご紹介します。

  • 【タイミング1】個人事業主が法人化を検討するポイント5選
  • 【タイミング2】1年間のどの時期に法人化するべきか 

法人化を見送るべきケースについても解説するので、法人化を見据えている方は最後までお見逃しなく!

目次

【タイミング1】個人事業主が法人化を検討するポイント5選

1種類目のタイミングは、個人事業主として創業した後、どのような場合に法人化を検討するべきか」です。

下記5つのポイントが、法人化を検討する目安になります。

  1. 所得金額が800万円を超えたら
  2. 課税売上高が1,000万円を超えたら  
  3. 売上アップが見込める場合
  4. 従業員を増やしたいとき  
  5. 取引先を開拓していきたいとき 

それぞれ確認していきましょう!

① 所得金額が800万円を超えたら   

個人事業主と法人では、利益にかかる税率が異なるのをご存知ですか?

個人事業主が支払う所得税の税率は、下表のように所得額が大きくなるにつれて税率が段階的に上がる超過累進税率です。

所得税率
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から194万9,000円まで 5% 0円
195万円から329万9,000円まで 10% 9万7,500円
330万円から694万9,000円まで 20% 42万7,500円
695万円から899万9,000円まで 23% 63万6,000円
900万円から1,799万9,000円まで 33% 153万6,000円
1,800万円から3,999万9,000円まで 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

(参照:国税庁HP「所得税の税率」

それに対して法人が支払う法人税は、税率が一定額で固定される比例税率となります

資本金1億円以下の普通法人の法人税率
課税される所得金額 税率
年800万円まで 15%
年800万円を超える部分 23.20%

(参照:国税庁HP「法人税の税率」

一般的に、法人化を検討する所得額の目安800万円を超えたあたりとされています。

800万円の所得金額にかかる所得税率と法人税率を比べると、法人税率のほうが低くなるからです。

ただし、所得控除や事業以外の収入などにより、必ずしも800万円を超えたときがベストなタイミングであるとは限りません。

あくまで目安なので、税理士に相談しながら法人化を検討すると安心です。

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② 課税売上高が1,000万円を超えたら  

課税売上高1,000万円を超える場合、法人化を検討しましょう。

下記の条件を満たすように法人化すれば、最長2年間、消費税の免税事業者となるからです。

【法人化後に2年間消費税の免税事業者となる条件】
  • 資本金が1,000万円未満
  • 設立開始年度の上半期の課税売上高が1,000万円以下
  • 事業開始年度の上半期に支払う給与および賞与等の合計額が1,000万円以下
  • 設立1期目が7ヶ月以下

一般的に個人事業主の課税売上高が1,000万を超えると、消費税の納税義務者に該当します。

しかし、このタイミングで上記の条件を満たすように法人化すると、消費税の納税義務最長2年間先送りにすることが可能です。

インボイス制度に注意   

免税事業者は、令和5年10月1日から導入されるインボイス制度に注意しましょう。

インボイス制度とは、取引の正確な消費税額と消費税率を把握することを目的とした制度です。

導入後は請求書の様式が変更され、課税事業者が仕入税額控除をするためには適格請求書を受け取る必要がでてきます。

この適格請求書を発行できるのは課税事業者のみとなり、免税事業者は取引先に適格請求書を発行できません

インボイス制度の導入後に免税事業者のままでいると、企業に取引してもらえないなどのデメリットが生じる可能性があります。

そのため、インボイス制度が導入される前になるべく早く法人化し、導入までの免税義務をできるだけ長く受けるのがお得です

③ 売上アップが見込める場合

売上が伸びているほど、法人化による節税効果を高められます。

そのため売上のピーク時に法人化するのが望ましいですが、あらかじめ準備しておかないと手続きに追われ、事業に支障を来しかねません。

そのため、一定の所得が上がると想定できる場合には、売上のピークを迎える前に法人化しておきましょう

④ 従業員を増やしたいとき   

法人化すると、従業員数に関わらず社会保険の加入義務が発生します

法人が必ず加入する社会保険は、個人事業主の国民健康保険や国民年金よりも保証が手厚いです。

会社側は社会保険の半分を負担するので、従業員が増えるほど負担も大きくなる点に注意しましょう。

しかし、社会保険がしっかりした法人には人材が集まりやすくなるので従業員を増やしたい場合は法人化するのがオススメです

⑤ 取引先を開拓していきたいとき 

一般的に、法人化することで社会的信用を得られるため、企業との取引を円滑に進めやすくなります。

法人化によって社会的信用を得られる主な理由は、以下の通りです。

  • 決算書や登記簿などから、会社の情報がオープンになる
  • 事業主本人が契約の保証人になれる
  • 事業への本気度が伝わる

また、銀行からの融資を受ける場合にも、法人として貸借対照表などの会計資料を提出すると審査に通りやすくなります

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【タイミング2】1年間のどの時期に法人化するべきか

2種類目のタイミングは、「1年間のどの時期に法人化するべきか」です。

個人事業主から法人へスムーズに移行すると、申告の手続きが格段に楽になります

  • 個人事業主と法人の事業年度
  • 1月の法人化がオススメ

個人事業主と法人の事業年度

すべての個人事業主の事業年度は毎年1月〜12月となり、その機関の売上や経費を計算して、翌年の3月15日に確定申告をします。

しかし法人は会社ごとに事業年度が異なり、決算月もさまざまです

日本では3月決算の会社が一番多く、その場合の事業年度は毎年4月から翌年3月になります。

法人の決算月は会社設立時に決めますが、設立後の変更も可能です。

1月の法人化がオススメ

一般的に、個人事業主から法人へスムーズに事業を引き継ぐには、1月から法人として事業を始められるように準備するのがオススメです。

2022年の4月に法人化した場合と、1月に法人化した場合について比較してみましょう。

  2022年4月に法人化した場合 2022年1月に法人化した場合
個人事業主としての確定申告

2022年1月~2022年3月分を2023年3月に確定申告

2021年1月~2021年12月分を2022年3月に確定申告

法人としての決算申告

2022年4月~2023年3月分を2023年5月に決算申告

2022年1月~2022年12月分を2023年2月に決算申告

4月に法人化すると、個人事業主として営業していたその年の1月〜3月分を、翌年の3月に確定申告しなければいけません。

しかし1月に法人化すれば12月決算となり、個人事業として期が締まったタイミングで法人に移行できます。

【注意】法人化を見送るべきケースとは

ここまで、法人化を検討するタイミングについてご紹介してきました。

最後に、下記3点の法人化を見送るべきケースについても押さえておきましょう!

  1. 課税所得金額が330万円未満
  2. 事業が赤字、または利益が少ない 
  3. 固定費やコストを抑えたい場合

① 課税所得金額が330万円未満

法人化は、個人事業主よりも節税できることを見込んだ上で行うのが一般的です。

しかし、年間の課税所得が一定額に満たない場合は、法人化しない方が節税になります

例えば年間の課税所得が300万円の個人事業主なら、法人税率のほうが高くなってしまうため、法人化による節税メリットはありません

節税の面で考えると、所得が330万円未満であれば、法人化の見送りをオススメします

② 事業が赤字、または利益が少ない 

個人事業主の場合は、1年間の利益が赤字であれば所得税や住民税は発生しません

しかし、法人の場合は年間の利益が赤字であっても、法人住民税の均等割を約7万円納める必要があります。

そのため、現在のビジネスが赤字体質の場合、法人化は慎重に検討しましょう。

③ 固定費やコストを抑えたい場合

法人は個人事業主に比べ、必ず払わなければいけない税金が増えるので法人化すると固定費やコストが高くなります

社会保険の加入義務年間の役員報酬もその一例です。

また、毎年会社の決算を組み、法人税申告書を作成する必要が生じます

確定申告書よりも専門性が高く、作成が難しくなるため、決算や税務申告作業を専門家に依頼すると、支払う報酬も増えるのが一般的です

コストを全体的に抑えたい場合は、法人化による節税効果との兼ね合いを考えてみてください。

まとめ

個人事業主が法人化を検討する際に知っておきたい2種類のタイミングについて、下記の流れで解説してきました。

  • 【タイミング1】個人事業主が法人化を検討するポイント5選
  • 【タイミング2】1年間のどの時期に法人化するべきか 
  • 【注意】法人化を見送るべきケースとは

効果的なタイミングで法人化すれば、節税しながらスムーズに事業を拡大できます

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